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2025

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    ともに会社を創り上げてくれた4人の逸材

    #19ともに会社を創り上げてくれた4人の逸材

    原石からダイヤへ

    創業当初は挫折の連続でした。事業はなかなか軌道に乗らず、親会社からは再三「もうやめろ」と勧告されていました。しかし、私の中では絶対に成功するという未来しか見えていませんでした。「今の日本には、幼児向けの思考力や生命力を育てる塾がない。絶対に社会に必要とされるはずだ」。そう信じて疑わなかったので、周囲からはおめでたい人間だと思われていたかもしれませんが、私自身に失敗するイメージは全くありませんでした。

    とはいえ、事業を続ける中で問題は次々と起こりました。中でも最も大きな壁は、創業3、4年目に訪れた「300人の壁」です。お母さんたちの口コミのおかげで教室は5、6か所ほどに増えましたが、私が直接指導に入らない教室は、とたんに生徒数が伸び悩むのです。まるで皿回しのように、私一人が必死に駆け回っても、会社は少しも大きくなっていかない。くたくたになるだけで、これ以上の拡大は見込めない。このままでは正社員を雇うことすらできず、会社として未来がないのではないか。そんな焦りを感じていました。

    限界を感じていた創業6年目の夏、サマースクールで運命的な出会いが訪れます。アルバイトの中に、闇夜で光を放つように輝いて見える二人の人物がいたのです。1人は、動物のように目がきらきらと輝く工藤くん。もう一人は、後に取締役となるRin。2人はずば抜けて優秀で、子どもたちを惹きつける華があり、とにかく動きが良かったのです。

    「彼らのような人材が来てくれれば、うちもより会社らしくなるかもしれない」。そう心の中で願っていた矢先、サマースクールの打ち上げで、なんとその2人の方から私の元へやって来て、「社員にしてほしいんですが…」と申し出てくれたのです。あまりのタイミングの良さに、私は「どこかの国王が、私の会社に逸材を送り込むという壮大なゲームを企てたのではないか」と本気で疑ったほど、「なぜ突然こんな並外れた逸材が来るんだ」と不思議で仕方がありませんでした。

    この2人に加え、教え子のいとこで優秀な青年だった持山くん、そして佐藤さんという女性を迎え、私を含めて5人の会社になりました。それまでは、何人か採用してはすぐに辞めてしまい、事実上私1人だった会社が、初めて「組織」になった瞬間です。その変化は劇的でした。1足す4は5ではなく、100になったのです。

    新入社員たちは、私の想像をはるかに超える活躍を見せてくれました。Rinは変わった人で、話し始めは敬語なのですが、すぐに「ダメだよそんなんじゃ。ちゃんと積み上げないと」と、臆せず意見してくる。その物言いに驚きつつも、指摘がピタリピタリと的を射ていることに舌を巻き、私は早々に彼女を取締役に抜擢しました。

    彼女と持山くん、工藤くんの3人は、個人の力量に頼るのではなく、「入社した誰もが子どもを伸ばせる仕組み」として、現在の研修システムの原型をゼロから作り上げてくれました。そして佐藤さんは、私以外には誰も成功できなかった幼稚園への(花まるの教室として貸してくださいとお願いする)営業を次々と成功させ、たった一人で神奈川に花まるを浸透させていきました。今でもその幼稚園に行くと「佐藤先生は元気ですか?」と声をかけられるほど、彼女は伝説的な存在です。

    工藤くんは、「私は将来、故郷の市長になりたいんです。そのために、高濱さんのもとで3年間、死に物狂いでやりますから、期間限定の社員にしてください」と申し出てきました。そして入社した彼は、野外体験部門の責任者としても素晴らしい仕組みを多々構築した後、宣言通り故郷に戻り、見事、市長になりました。親子キャンプで、誰よりも先に冷たい水に飛び込んでいく彼の姿は、保護者たちの心を打ち、今でも「工藤先生は最高だった」と懐かしまれています。

    当時は今では考えられないほどハードな働き方でしたが、彼らは皆、泥々になりながらもニコニコ、「楽しいっす!」と笑っていました。ゼロから何かを創り上げる人だけが知っている、特別な喜びがそこにはありました。

    この5人のチームができたことで、属人的だった「花まる学習会」は、研修、教材、野外体験の全てがシステマティックに機能する組織へと生まれ変わりました。経営者仲間ともよく話しますが、「最初のチームを誰と組むかで、会社は大きくステップアップする」というのは、まさしく真理です。

    この第一世代の活躍がなければ、今の「花まる学習会」はありません。会社の歴史における、本当に大きな出来事でした。この成功を礎に、私たちは初めて定期採用を開始しました。そうして入社した1期生から数え、今年、21期生を迎えることができました。

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