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#12トップとしての覚悟——「社員の生活を守る」仕組みとインセンティブ制度
越村 義雄 2026/07/12
外資系企業の日本トップを任されるということは、そこにいるすべての社員と、その家族の生活を背負うということに他なりません。私の中に常にあったのは、「社員の生活を何としても守っていかなければならない」という強い覚悟でした。そのためには、会社が持続的に売上と利益を上げ続ける強固な体質を作ることが大前提となります。
私が経営において実践したのは、売上や利益の成長に対して、一般管理費の伸びを低く抑える仕組みづくりでした。例えば、売上が10%伸びたからといって、一般管理費も同じように10%増やしてしまっては、利益は残りません。売上が10%伸びても、一般管理費の増加は4%にとどめる。このバランスを徹底することで、売上高の成長に伴って利益が確実に、そして大きく膨らんでいく企業体質を構築していきました。
一方で、削るべきではない投資には十分な予算を投じました。広告宣伝費に関しては、常に売上の10%という明確な基準を設けていました。例えば、ビジネスが過去最高額である269億円に達した最終年には、年間で約27億円もの広告宣伝費を動かしていたことになります。
同時に、社員が何の不安もなく、高いモチベーションを持って仕事に打ち込める環境づくりにも注力しました。その一つが「給与保障保険」への加入です。定年が65歳だった我が社において、社員が業務中かプライベートかを問わず、万が一の大きな事故などで出社できなくなった場合でも、60歳までは従来の給与の約7割保障する制度を整えました。社員が安心して働ける組織にすることこそが、トップの責任だと考えたからです。
さらに、全社を挙げて目標へと突き進むため、独自のインセンティブボーナスシステムを導入しました。もともと、年間の固定ボーナスとして5.4カ月分を支給していましたが、それに上乗せする形で、トータルの年収の2割から最大5割を引き上げられるスキームを作ったのです。
仕組みは至ってシンプルです。会社全体の売上・利益の達成度と、個人が掲げた5つの目標の達成度合いを掛け合わせ、評価が最大に達すれば、年収1,000万円の社員は1,500万円に、年収1,500万円の社員であれば2,250万円にまで到達する設計にしました。この明確なリターンシステムは社員にとって非常に大きなモチベーションとなり、みんなが想像以上の底力を発揮して会社を引っ張ってくれたと、今でも感謝しています。


