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2026

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    言葉の壁を越えたパネルディスカッションと、一貫して流れ続ける「共生の思想」

    #21言葉の壁を越えたパネルディスカッションと、一貫して流れ続ける「共生の思想」

    原石からダイヤへ

     アジアの様々な国際舞台に立たせていただく中で、時に外資系企業で揉まれてきたタフな経験がそのまま活きる場面が多々あります。

     以前、中国の「ペットフェアアジア」のメインプログラムとして、巨大な特設会場でパネルディスカッションが開催されたときのことです。パネリストとして招聘されたのは私を含め、中国を始めとするアジア、欧米のペット産業のグローバルリーダーたち7名。会場は数千人の聴衆で埋め尽くされ、非常に張り詰めた緊張感が漂っていました。

     さらにその場に立ってから分かったのですが、準備されていた同時通訳のシステムに、なぜか「日本語」のチャンネルが含まれていませんでした。飛び交う言葉はすべて中国語と英語のみ。予期せぬ状況下で私は即座に頭を切り替え、日中ペット産業振興会の代表として、すべて英語で自らの意見を述べ、欧米のトップたちと対等に激論を交わしました。外資系企業の日本トップとして、またアジア太平洋地域の責任者として、長年アメリカ本社や各国のディストリビューターと英語で丁々発止の交渉を重ねてきた経験が、こうした予期せぬ国際舞台の難局において、私を大いに助けてくれました。

     こうした現在の私の活動を見て、周囲の方々からよく「越村さんは、かつては外資系メーカーのトップとして『ペットフードを売る側(ビジネスの視点)』にいたのに、今はペットフード協会や様々な団体を通じて『人とペットの共生社会を作る側(社会貢献の視点)』へとシフトされた。何か途中で大きな価値観の転換があったのですか?」と尋ねられることがあります。

     しかし、私自身の感覚から言えば、途中で価値観が変わったわけでは決してありません。ビジネスの最前線にいた頃も含めて現在も、私の中に流れる根本の想いは一貫しています。

     日本ヒルズ・コルゲートの社長を務めていた現役時代から、私は自社の利益だけを追うような狭いビジネスには関心がありませんでした。当時から、公益社団法人日本動物病院協会(JAHA)さんが海外から高名な専門医や教授を招いてセミナーを開催するとなれば、私は一受講生として自ら会場へ足を運び、熱心に講義に耳を傾けていました。学問としての動物行動学や、社会におけるペットの役割、動物福祉といったテーマに、当時から人一倍強い好奇心と興味を抱いていたのです。JAHAさんのCAPP(コンパニオン・アニマル・パートナーシップ・プログラム「人と動物のふれあい活動」)にヒルズ時代から支援させていただいたのもその大切さを痛感していたからです。

     私にとって、ヒルズで「サイエンス・ダイエット」や療法食を日本に普及させることも、ペットフード協会で「3つの資格制度」や「インターペット」を創設したことも、そして今、日中やアジアを結ぶ学会を立ち上げて人と動物の共生社会を訴えかけていることも、すべては同じ一つの線上にある活動です。表現の形や立場が変わっただけで、その根底にあるのは、幼少期に新潟の自然の中で多くの生き物たちから教わった「命への慈しみ」であり、「良いものを与えて、動物たちに少しでも健康で長生きしてほしい。人とペットがともに幸せになれる温かい社会を作りたい」という、ごく純粋な願いに他なりません。

     私はこれからも、このブレない軸を胸に、生涯を賭けてアジア、そして世界のペット社会の未来のために微力ながら貢献して参りたいと思います。

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