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「福利厚生」ではなく「事業基盤」。ENSAPIAグループがシェフを直接雇用し、徹底して『食』にこだわる理由
ビジョナリー編集部 2026/07/02
「潔く生きよう。健康に生きよう。人生を磨こう」――。
このミッションを掲げるENSAPIAグループでは、社員の健康維持を単なる「福利厚生」ではなく、より良いサービスを生み出すための「投資」であり、欠かせない事業基盤であると位置づけている。
“誰か”を幸せにするためには、まずは作り手である一人ひとりが幸せであり、健康的で満足のいく生活を送ることが不可欠であるという考えだ。同グループでは、まだ企業の規模が小さかった頃から、トレーナーが常駐するジムの設置や「食」の充実といった取り組みを、歩を緩めることなく継続してきた。
そのなかでも、特に異彩を放つのが「食」へのこだわりである。
一般的に、社員食堂の運営は外部業者へ委託する企業が大半だが、ENSAPIAグループはあえて「食」のプロフェッショナル集団を自社の部門として組織した。彼らは単なる調理スタッフではなく、事業を支える重要な一翼を担っているのだ。
外部委託業者の場合、その主なミッションは「売上」の最大化に置かれることが多い。しかし、同グループのデリ部門が追うのは売上ではない。もちろん多くの社員に利用してもらう目標はあるが、その真の目的は「メンバーを健康にする」という、数値化の難しい領域にある。
毎日同じ場所で、同じ時間に顔を合わせ、「元気?」「どれが苦手?」といった言葉をかけながら、仲間のコンディションを気遣う。それができるのは、彼らが外部の業者ではなく、志を同じくする “仲間” だからこそなのだという。
今回、その現場を支えるENSAPIAグループのグランシェフ、島田氏と山内氏の言葉から、独自の食戦略の舞台裏を探った。
「委託」では到達できない、社員との距離感と柔軟な対応
一般的な社員食堂と、同グループのデリにはどのような違いがあるのだろうか。山内氏 は、直接雇用という形態がもたらす価値を次のように語る。
「委託ではなく、私自身が社員であるため、利用してくれるメンバーに直接好みや感想を聞くことができます。他社の社員食堂で働いた経験もありますが、以前感じていた利用者との距離感や壁が、今は全くありません。委託の場合は予算やレシピが細かく決められており、個別の要望に応えることは困難でしたが、現在は一人ひとりの好みを把握し、臨機応変に対応できるようになりました」
また、グランシェフの島田氏 は、会社という枠組みを超えた「体験」の提供に意欲を見せる。
「とにかく、会社に来れば『食』に関するすべてのことが満たされるようにしたかった。美味しいコーヒーのためにバリスタのいるカフェだけでなく、クオリティの高いお酒のためにバーテンダーのいるバーまでも作ったんです。ここまでこだわる会社は、なかなかないはずです」
こうした徹底したこだわりは、同グループが重視する「感性」を育むことにも繋がっている。
「当社は感性を非常に大切にしています。サービスだけでなく、食を通じても温かさを感じ、心が満たされることで、結果として良いアウトプットが生まれる。そうした点でのサポートも、チームが社員だからこそ実現できることだと思います」と、山内氏 はその意義を強調する。
「食」を通じて組織の一体感を醸成する、デリの未来像
同グループのデリは、今後さらなる拡大と充実を見据えている。
朝食ラインナップの見直しや、季節感を取り入れたイベントの開催など、自社運営ならではの機動力で、働く仲間の要望に応える施策が次々と準備されているという。
さらに、その活動は国内にとどまらない。海外拠点のシェフを招いたイベントを主催するなど、食を媒介としてグループ全体の一体感を高める取り組みも、デリチームが主導している。こうした「社内の専門家」がいるからこそ可能な施策は、組織の成長に伴い、ますます重要な役割を果たすことになるだろう。
デリを担う二人のシェフの根底にあるのは、「食事を通じて喜んでもらいたい」「食を楽しんでもらいたい」という純粋な想いだ。
日々、忙しく仕事と向き合う社員たちにとって、この場所が心地よい空間であり続ける理由。それは、“仲間”だからこそ交わされる「元気?」「ちょっと疲れてない?」といった何気ない会話と、そこから生まれる細やかな気遣いに隠されているのかもしれない。


