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生成AIで生産性20%向上。年間44万件を支える「AI×人間」の最適解と、MJSが貫く“選ばれ続ける”ための顧客支援
ビジョナリー編集部 2026/04/15
「できません」は禁句。顧客満足度1位を支える、ミロク情報サービス「44万件の問い合わせ」への緻密な戦略
会計事務所や中堅・中小企業向けにERPシステムを提供する株式会社ミロク情報サービス(以下、MJS)。同社が単なるシステムベンダーにとどまらず、多くの顧客から支持を得ている大きな理由に、その「手厚いサポート体制」がある。
全国33拠点のネットワークに加え、システムの要となっているのが「カスタマーサービスセンター(CSC)」という専門組織だ。今回、同組織のフロントランナーである東京CSC第一グループ 部門長の輿水敏氏に話を伺った。年間44万件超の問い合わせに向き合い、いかにして顧客満足度1位に至ったのか、その舞台裏に迫る。
年間44万3,000件超、アナログから高度システム化への軌跡
CSCの歴史は、1992年に東京の顧客を対象に設立されたことに始まる。当時は手書きのメモで応対していたというから驚きだが、1999年に全国対応のコールセンターが設立されて以降、劇的な進化を遂げてきた。
現在では、会計事務所向け、一般企業向け、税務システム、ハードウェア・ネットワークといった専門チームに細分化。さらには、顧客が自己解決できるようFAQサイトを運営する部隊まで擁する巨大組織へと成長している。
▲輿水 敏氏(隣には、MJS公式キャラクターのミロにゃんも)
CSCの拠点は東京と新潟県長岡市の2拠点。そこに約190名の人員が配置されている。
▲東京都内(左)と長岡市(右)のコールセンター
「2024年度の対応件数は44万3,000件を超えました」と輿水氏は語る。この膨大な数字を支えるのは、単なる人海戦術ではなく、緻密に設計された「受電システム」にあった。
「待たせない」ための徹底したオペレーション改革
かつて、MJSのCSCでも「電話がつながらない」という課題に直面していた時期があったという。オペレーターが受電から回答までを一人で行っていたため、どうしても話中状態が続いてしまったのである。
そこで同社は、まず「受付担当者」を配置した。さらに、その電話で即座に解決を図る「直受け対応率」を上げるため、「1.5次受付担当者」という独自の役割を設けた。この担当者が受付をしながらFAQレベルの回答を行うことで、待ち時間を劇的に改善させたのである。

2025年2月からはボイスボットによる自動受付も開始した。こうした一連の施策により、直受け対応率は5年前と比較して30%近く改善。20分以内の対応率も約23%向上するなど、顧客を「待たせない」体制が着実に強化されている。
生成AIとITツールの融合が、オペレーターを「超人」に変える
MJSの強みは、ITシステムの徹底した活用にもある。オペレーター1人当たりの対応件数は、2022年度からの2年間で20%超も向上した。

その中核を担うのが、CTI(電話・コンピュータ連携)とCRM(顧客管理システム)の連携だ。入電と同時にお客様の利用環境や過去の履歴が画面に表示され、誰が対応しても一貫したサポートができる環境を構築している。
さらに、驚くべきは生成AIの活用術だ。
- 音声認識で会話をテキスト化し、生成AIが要約。CRMへ自動入力することで後処理時間を短縮。
- 2024年10月からは、オペレーター向けの生成AIチャットボットを導入。 (関連ニュースリリース:https://www.mjs.co.jp/news/news_2024/000000399.000018493/)
このチャットボットは、膨大なマニュアルや過去の履歴から回答案を瞬時に提示してくれるため、調査時間が大幅に削減されたという。

また、言葉だけでは伝わりにくい複雑な操作については、顧客の画面を共有してポインターで誘導する「オンラインサポート」へ即座に切り替えるなど、ITを駆使した「解決への最短ルート」が確立されている。
こうした努力が実を結び、2025年の法人向けテクニカルサポートコールセンター満足度調査(業務ソフト部門)では、「電話のつながりやすさ」「応対の丁寧さ」など主要4項目で最高評価となり、第1位に輝いた。
(関連ニュースリリース:https://www.mjs.co.jp/news/news_2025/000000482.000018493/)
採用基準は「代替案を提示できる柔軟性」
ハイテク化が進む一方で、同社が何より重視しているのは「人」の教育である。動画教材を用いた応対品質の平準化はもちろんのこと、何よりその「マインド」にこだわりがある。
輿水氏に、オペレーターの採用基準を問うと、「代替案を提示できる柔軟な考え方」が挙げられた。
システムが対応していない要望に対しても、単に「できません」と突き放すのではなく、「できないですが、こういう方法もありますよ」と一歩踏み込んだ提案ができるか。顔が見えない電話応対だからこそ、その対応力が信頼に直結すると考えているのだ。
輿水氏は新入社員に対しても、「全国の営業が契約し、導入いただいたお客様を支えるのはあなたたちだ。離れていてもつながっている」と、組織における重要性を説き続けている。
サポートは「コスト」ではなく、サブスク時代の「成長エンジン」
MJSがこれほどまでにCSCへ投資し、磨き上げるのには理由がある。それは、同社が主力製品の販売モデルを「サブスクリプション型」へ移行させているからである。
「お客様はいつでも解約ができる。だからこそ、製品の機能だけでなく、それを使いこなしていただくためのサポートサービスが非常に重要」だと輿水氏は語る。CSCはもはや単なる事後対応の部署ではなく、顧客を末永く支え、LTV(顧客生涯価値)を最大化させるための戦略的拠点となっているのだ。
また、現場で拾い上げた「お客様の声(VOC)」を開発部門や営業部門へフィードバックし、製品改良や新提案につなげるサイクルも、同社の成長を支える裏方としての重要な役割を担っている。
「どの人が電話に出ても対応が良い」という顧客からの称賛の声に甘んじることなく、MJSのCSCはさらなるサポート品質の向上を目指している。ITと人間力が融合したその体制は、これからのビジネスサポートの理想形を体現していると言えるだろう。


