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「うちは大丈夫」が一番危険!オートロック時代の防犯対策
ビジョナリー編集部 2025/09/05
マンションや戸建て、今や多くの住まいで導入されるオートロック。しかし、その安心感の裏には、見落としがちな落とし穴が隠れているのです。
今回は、オートロックの基本から最新の防犯事情を解説します。
オートロックがもたらす“安心感”
オートロックとは、扉が閉まると自動的に施錠されるシステムのことであり、「鍵の閉め忘れがなくなる」「不審者の侵入を防げる」といった安心感を与えてくれます。
実際、オートロック付きマンションは訪問販売や空き巣、ストーカー被害の抑止効果があることも事実です。
また、戸建てであっても後付け設置が可能になり、暗証番号式や指紋認証、カードキー、スマートフォン連動タイプなど、多様な選択肢が広がっています。
ですが、オートロックを「万能の防犯策」と過信するのは禁物です。
「オートロック=絶対安全」ではない理由
共連れ・入れ違い——不審者のすり抜け
オートロックがあるから絶対に部外者が入れないとは限りません。
実際には、住人がエントランスを解錠した際に、後ろから一緒に入る「共連れ」や、出てきた人とすれ違い同時に入る「入れ違い」が発生します。
裏口・窓・塀——“抜け穴”を突く手口
オートロックはエントランスからの侵入には効果がありますが、裏口や勝手口、窓、バルコニーなど、他の出入口が無防備であれば、そこが空き巣の侵入経路になります。
実際、警察庁の統計でも空き巣の侵入手段として、「窓から」「塀を越えて」「裏口から」などが上位を占めています。
エントランスのオートロックを過信して、窓や裏口の施錠をおろそかにした結果、被害に遭うケースは後を絶ちません。
暗証番号・カードキーにもリスクあり
暗証番号式の場合、「番号の盗み見」や「番号の使い回し」がリスクです。
実際、エントランスで番号を入力する際に背後から覗き見られたり、元交際相手や知人に番号を伝えてしまい、その後悪用されたというトラブルも発生しています。
また、カードキーやタグ式は「紛失・盗難」に要注意。集合キータイプ(1本で部屋とエントランス両方が開く)は、紛失時に合鍵を作られてしまうと自宅も共用部も突破されます。
この場合、管理会社や大家さんの判断で全戸の鍵交換が必要になることもあります。
センサーの誤作動・セキュリティの“ほころび”
オートロックの自動ドアは、センサーを利用して開閉を管理しています。
しかし、床との隙間に紙片や道具を差し込み、センサーを誤作動させて開錠する手口も存在します。
また、引き戸のタイプや扉の厚みに合わないオートロックを無理に設置した場合、正常に作動しないリスクもあります。「閉めたつもりが施錠されていなかった」という事態が起きてしまうのです。
電池切れ・停電——思わぬ“締め出し”に注意
電子錠やスマートロックの多くは電池式。電池が切れると、家に入れなくなってしまう危険性があります。
また、マンションのオートロックが停電時に解除されない仕様の場合、災害時に自宅へ戻れないトラブルも過去に発生しています。
オートロック誤信による防犯意識の低下
「うちはオートロックだから大丈夫」
この“安心感”が、むしろ危険を招くこともあります。たとえば、
- 窓や裏口の施錠を忘れる
- 貴重品の管理が甘くなる
これらはすべて、「オートロックが守ってくれる」という油断が生み出す隙です。
本当に安全な対策とは?
オートロックの限界を知った上で、私たちはどうすれば本当に安全な住まいを実現できるのでしょうか。
1. 施錠の“二重化”と“多層防御”
- 1ドア2ロック(玄関ドアに2つ以上の鍵を設置)
- 窓やバルコニーの補助錠・防犯フィルムの活用
- 人感センサーライトで侵入者を威嚇
空き巣は「侵入に5分以上かかる家」を避ける傾向があります。鍵や施錠を“増やす・強化する”ことで、ターゲットから外されやすくなります。
2. 防犯意識の“徹底”
- オートロックがあっても窓・裏口の施錠を毎回確認
- 暗証番号やカードキーの管理を徹底(番号の使い回しNG、カードの紛失注意)
- 不審者や共連れを見かけたら「一声かける」勇気を持つ
- 防犯カメラや警備会社の導入状況もチェック
3. 最新スマートロックの使い方
スマートフォン連動型のスマートロックは、便利な一方で「スマホの電池切れ=家に入れない」リスクもあります。予備の解錠手段を用意しましょう。
また、指紋認証タイプはメンテナンスが重要です。センサーの汚れや誤作動を防ぐため、定期的に掃除し、複数の指を登録しておくと安心です。
戸建て・マンション別:オートロックの“賢い付き合い方”
戸建ての場合
- 後付けオートロックはドアの厚み・種類に合ったものを選ぶ
- 工事不要の貼り付け型やスマートロックも増加中
- 玄関だけでなく、勝手口・窓の強化も忘れずに
- 家族が多い場合は合鍵不要の指紋認証や暗証番号式が便利
- 電池式なら定期的な残量チェックを習慣化
マンションの場合
- エントランスのオートロック+自室玄関のスマートロックで二重防御
- 防犯カメラ・管理人・裏口・非常口の管理体制も内見時に要確認
- 鍵の紛失時は速やかに管理会社へ連絡し、必要に応じて交換
- 共連れ防止のため、解錠時は周囲を必ず確認
事例で学ぶ「オートロックの盲点」
ケース1:鍵の紛失が招いた全戸交換
地方都市の分譲マンションで、住人が集合キーを紛失。
合鍵を作られてしまった可能性があるため、エントランスと全戸分の鍵交換が必要となり、交換費用や住民間のトラブルに発展した事例があります。
ケース2:暗証番号の使い回しで不正侵入
あるマンションで、複数の住戸が同じ暗証番号を使い回し。
その番号を知っていた元関係者が、簡単に建物内に侵入してしまったという報告があります。
番号は定期的に変更し、安易な共有は避けましょう。
ケース3:スマートロックの電池切れで締め出し
スマートロックを導入した戸建てで、家族全員がスマホ連動機能を頼りにしていたところ、電池切れで誰も家に入れなくなり、結局鍵業者を呼ぶ羽目に。
物理キーの携帯や、電池交換のタイミング管理が不可欠です。
まとめ
オートロックは、確かに便利な防犯設備です。
しかし、リスクや盲点を知り、自分自身と家族を守る“本当に安全な施錠”を習慣づけることが、これからの住まい手に求められる新常識です。
今日からできる防犯チェックリスト
- オートロック以外の窓・裏口も毎回施錠
- 玄関や窓に補助錠、防犯フィルムを設置
- 暗証番号・カードキー・スマートロックの管理を徹底
- 電池切れや停電対策として物理キーも携帯
- 不審者を見かけたら「声掛け」や管理会社への連絡を
「オートロックがある=100%安全」ではありません。むしろ、オートロックの安心を過信しないことこそが、これからの時代の“本当に安全な施錠”なのです。
あなたの住まいのセキュリティを、今一度、見直してみてはいかがでしょうか。

