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2025

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    【新事実】ブロッコリーにまさかの「リラックス効果」があった! キユーピーが科学的に証明

    【新事実】ブロッコリーにまさかの「リラックス効果」があった! キユーピーが科学的に証明

    ブロッコリーを食べると、リラックスできるかもしれない。そんな興味深い研究成果を、キユーピー株式会社が発表した。野菜が心身に与える情緒的な効果を検証する中で、ブロッコリーの摂取がリラックス効果につながる可能性を確認したという。この研究成果は、2025年9月17日(水)から19日(金)にかけて開催された第27回日本感性工学会大会※1でポスター発表された。

    ※1 第27回日本感性工学会大会

    研究の背景――野菜がもたらす健康効果を解き明かす

    現代はストレス社会と言われ、心身の不調を防ぐために精神的なリラックスやリフレッシュを求めるニーズが高まっている。その解決策の一つとして「食」が注目されている。特に野菜の摂取は、不安のリスクを低減させ、幸福感を高めるとの相関が報告されており※2,3、日常的に取り入れやすい解決策といえる。

    一方で、日本人の野菜摂取量は減少傾向にあるのが現状だ※4。キユーピーはこれまで、主に野菜の健康機能やおいしい食べ方について情報発信を行ってきた。同社によれば、これらに加え、野菜がもたらす情緒的・精神的な価値と、そのメカニズムを明らかにすることで、野菜摂取不足や心身の不調といった現代社会の課題解決に貢献することを目指し、本研究を行ったという。
    ※2 Stranges, S., et al. Major health-related behaviours and mental well-being in the general population: the Health Survey for England. BMJ Open 4, e005878 (2014).
    ※3 Radavelli-Bagatini, S. et al. Higher Consumption of Fruit and Vegetables Is Associated With Lower Worries, Tension and Lack of Joy Across the Lifespan. Front Nutr 9, (2022).
    ※4 厚生労働省 令和5年「国民健康・栄養調査」

    なぜブロッコリーなのか?

    野菜が心身の健康に寄与し、ウェルビーイングの向上につながる可能性を探究する中で、同社が着目したのがブロッコリーだったという。マヨネーズとの相性も良く、2026年度からは「指定野菜」に加わるなど、注目度も高い野菜だ。

    今回の研究では、ブロッコリーの摂取が心身に与える情緒的・精神的な効果のメカニズムを解明するため、生体指標(オキシトシン※5測定、脳波・心拍測定)と主観評価の両面から検証を行ったとのことだ。

    ※5 主に人と関わったり触れ合うときに分泌される幸せホルモンで、愛情ホルモンとも呼ばれる。やすらぎ感をもたらしたり、ストレスを低減する働きがある。

    「幸せホルモン」が増加し、脳波はリラックス状態に

    研究の結果、主に以下の2点が明らかになったという。

    一つは、「幸せホルモン」として知られるオキシトシンの変化だ。研究によると、ブロッコリーを摂取した後は、唾液中のオキシトシン分泌が増加した。同時に行われた気分の主観評価でも、「うれしい」という感情が増加し、「憂うつである」という感情が減少する結果となった。

    もう一つは、脳波と心拍の変化だ。脳波測定では、水を摂取した場合と比較して、ブロッコリーの摂取時と摂取後において、リラックス状態を示す値が有意に高くなった。また心拍測定では、ブロッコリー摂取時に副交感神経の活動が活発になり、自律神経のバランスがリラックスした状態へと傾くことが分かった。 記事内画像

    ▲図1 脳波計装着イメージ

    今回の研究から、ブロッコリーの摂取がリラックス効果をもたらす可能性が示された。キユーピーは、「今後は、他の生体指標の測定や、他の野菜での検証も行い、野菜摂取とウェルビーイングの関係を科学的に追究していきます。野菜の新たな価値を発信し、社会課題解決に貢献していきます」と語る。

    <研究詳細>

    試験1:オキシトシン濃度測定

    【方法】
    ブロッコリーが「やや好き」または「好き」な成人14名を対象に、加熱して一口大にしたブロッコリーを摂取してもらい、摂取前後の唾液中のオキシトシン濃度を測定。また、簡易気分調査票日本語版(BMC-J)による気分の主観評価も併せて実施したという。

    【結果】
    安静時と比較して、ブロッコリー摂取後のオキシトシン変動率※6は有意に高いことが判明。これにより、ブロッコリーの摂取が唾液中のオキシトシン分泌量を増加させることが示唆された(図2)。

    また、摂取前後の気分評価では、安静時に比べてブロッコリー摂取後は「うれしい」が有意に増加し、「憂うつである」が有意に減少したとのことだ(グラフなし)。

    ※6 各被験者の安静時を100%としたときの摂取後の値 記事内画像

    ▲図2 オキシトシン測定結果(安静時と摂取後の比較)/外れ値となった3名を除外した。

    試験2:脳波・心拍測定

    【方法】
    加熱したブロッコリーと水を1:0.5の割合でミキサーにかけたものをサンプルとして使用。被験者(「野菜が嫌いではない」成人12名)にサンプル5gを口の中で味わってもらい、摂取前後の脳波と心拍を測定した。対照として水5gでも同様の試験を実施。なお、順序による影響をなくすため、半数の6名は水から、残りの6名はブロッコリーから試験を開始したという。

    脳波測定・解析については、株式会社ハコスコの青澤さおり氏のアドバイスのもと実施された。

    • 脳波測定 :FocusCalm(BrainCo社製)を用い、本機専用の脳波解析アルゴリズムで算出されたMeditation(リラックス)の値を評価に使用。
    • 心拍測定 :ウェアラブル心拍センサ WHS-1(ユニオンツール社製)で測定し、副交感神経の活動を評価する指標としてHFnorm値を用いた。 記事内画像

    ▲図3 脳波測定イメージ

    【結果】
    脳波測定では、摂取前と比較したMeditation値の変化が、水を摂取した場合に比べて、ブロッコリーを摂取した時・摂取した後ともに有意に高くなるという結果が得られた(図4)。
    記事内画像

    ▲図4 脳波測定結果 /Meditationの値を正規化し、平均値を算出した。摂取前との差を、水(対照)とブロッコリーで比較した。

    心拍測定では、摂取前と摂取時を比較したHFnorm値の差が、水を摂取した場合に比べてブロッコリーの方が有意に高く、副交感神経の活動が優位になることが確認された(図5)。一方で、摂取後では有意な差は認められなかったとのことだ(グラフなし)。 記事内画像

    ▲図5 心拍測定結果 /装着不良の2名、外れ値となった2名の計4名を除外した。

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