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マイホームと賃貸、どっちが得?人生100年時代の選択
ビジョナリー編集部 2025/10/22
「マイホームを買うべきか、それとも賃貸で暮らし続けるべきか」——。この問いは、誰もが一度は悩むテーマかもしれません。「人生100年時代」と言われる今、住まい選びは将来の安心や家計、そしてライフスタイル全体に関わる重要な選択となっています。
では実際、どちらが本当に“得”なのでしょうか?この記事では、マイホームと賃貸それぞれのメリット・デメリットや生涯コスト、そして老後の安心感まで、徹底的に比較していきます。これから住まいを考える方の一助となれば幸いです。
※ 記事内の情報は2025年10月時点のものです。
1. まずは「コスト」で比較!家計に優しいのはどっち?
生涯コストでシミュレーション
「家賃を払い続けるなんてもったいない」「住宅ローンの返済も大変そう」——。実際に50年スパンで試算すると意外な結果が見えてきます。
例:30歳から50年間住まいにかかる費用比較
- 新築マンション購入(3LDK・神奈川県横浜市・価格4970万円、頭金970万円、35年固定ローン)
総返済額:約5483万円(35年で完済)
頭金・諸費用:約1169万円
管理費・修繕積立金(50年分):約1306万円
税金(固定資産税等):年間数万円〜20万円
合計:約7958万円+税金 - 賃貸マンション(2LDK・家賃13万円からスタート)
50年間の家賃合計:約7776万円
更新料・引越し費用:約423万円
合計:約8199万円
このケースでは、35年以上住み続けるならマイホームのほうがコストは抑えられる傾向にあります。一方、30年以内の住み替えや家賃を下げていくなら賃貸のほうが安くなる場合も。もちろん、住む地域や物件、家族構成によって結果は大きく変わります。
まずは自分のライフプランに応じたシミュレーションが大切です。
2. マイホームのメリット・デメリット
マイホームのメリット
- 「自分の城」を持つ圧倒的な安心感
ローンを完済すれば完全に自分のもの。賃貸と異なり、家賃値上げや立ち退きリスクもありません。 - 老後の住居費が大幅に抑えられる
退職時までにローンを完済できれば、以降は家賃不要。年金生活でも安心です。 - 好きな間取りやリフォームが自由
家族の成長や好みに合わせてリノベーションも可能。バリアフリー化や趣味の部屋も実現できます。 - 団体信用生命保険で「もしも」に備える
万が一のとき、ローンは保険で完済され、残された家族も住まいを失う心配がありません。 - 資産としての価値
売却や賃貸への転用も可能。老後はリバースモーゲージ(自宅を担保に資金を借りる仕組み)を利用して生活資金に充てる選択肢も。
マイホームのデメリット
- 簡単に引越しができない
転勤や家族構成の変化に柔軟に対応しづらいです。特に都市部では売却や賃貸への転用も一筋縄ではいかないことも。 - 維持費・税金・修繕費がかかる
固定資産税や都市計画税、マンションなら管理費・修繕積立金、一戸建てなら外壁や屋根の補修費用が必須。数十年単位で見れば、数百万円単位の出費になることも。 - 災害時は自己責任
火災や地震などの被害は自己負担。保険に入っていても全額補償されるとは限りません。
3. 賃貸のメリット・デメリット
「自由」と「身軽さ」が最大の武器
- 引越しが圧倒的にしやすい
転勤やライフスタイルの変化に合わせて住み替えが可能。隣人トラブルや環境の悪化があればすぐ移動できるのは大きなメリットです。 - 維持費・修繕費がほとんど不要
固定資産税もなし。設備の故障や災害時の修繕も基本的にはオーナー負担です。 - 家賃補助や住宅手当が受けられる場合も
企業によっては賃貸限定で家賃補助が出る場合もあり、実質の負担がかなり減ることも。 - 収入減に応じて住居費を柔軟にコントロール
年収が下がったら家賃の安い物件に引っ越す、という選択肢も現実的です。
ただし、長期的には不安も…
- 一生家賃を払い続ける必要がある
退職後も家賃がかかり続けるため、年金生活では不安に感じる方も少なくありません。 - 資産として残らない
いくら家賃を払っても自分の財産にはなりません。住み続ける限り支出は止まりません。 - 高齢になると契約更新が難しくなるリスクも
保証人が必要になったり、更新を断られるケースも。近年は高齢者向けの支援制度も増えていますが、現実には制約があります。 - リフォーム・リノベーションは難しい
基本的に間取りや設備の変更はできません。原状回復義務もあるため自由度は低めです。
4. ランニングコスト、生活の質、資産価値
ランニングコスト
- マイホーム
管理費・修繕積立金・固定資産税など、必ず発生する維持費があります。
設備の交換やリフォームもすべて自己負担。
火災保険料は賃貸より高め。 - 賃貸
家賃・共益費・更新料・引越し費用が主な負担。
設備の修理は基本オーナー負担ですが、2年ごとの更新料や引越し費用がかかります。
生活の利便性・快適性
- マイホーム
郊外なら広い家や庭付き住宅も。家族の成長に合わせて自由に間取りを変更できます。 都市部では駅近物件は希少で高額ですが、資産価値も安定しやすいです。 - 賃貸
駅近や生活の利便性を重視した物件選びが可能。家族構成や職場の変化に柔軟に対応できます。
資産価値・老後の安心
- マイホーム
売却やリバースモーゲージで老後の生活資金に充てることも可能。ただし資産価値は立地や築年数で大きく変動します。 - 賃貸
住み替え自由で出費のコントロールはしやすい反面、資産は残りません。
高齢になると契約面での制約が増える可能性があります。
5. どんな人にどちらが向いている?
マイホームが向いている方
- 退職までに住宅ローンを完済できる計画性がある方
- 長く同じ場所に住み続ける予定の方
- 家族構成が安定していて、間取りや設備にこだわりたい方
- 資産形成を重視したい方
賃貸が向いている方
- 転勤や引越しの可能性が高い方
- 収入や家族構成の変化に柔軟に対応したい方
- 住宅に大きなこだわりがなく、コストコントロールを重視したい方
- 大きな借金(ローン)を背負いたくない方
6. 結論:「損得」だけでなく「生き方」も大切に
ここまでマイホームと賃貸の「得・損」や安心、コスト面を具体的に比較してきましたが、最終的な答えは“あなたの生き方”にあります。
人生100年時代、どこでどんな風に暮らしたいか。
家族が増える、独立する、仕事が変わる、健康状態が変わる——住まいに求めるものも変化します。
シミュレーションを重ねて数字で比較しながらも、「どんな暮らしをしたいか」という軸を忘れずに。
住まい選びは、これからの人生をどんな風にデザインしたいか——そのための土台になるはずです。

