突然の災害への備え、できていますか?
「防災グッズを用意しているから大丈夫」
そう思っている人は少なくありません。
しかし、実際に被災を経験した方々の多くが、「用意したはずのグッズが思いのほか役に立たなかった」「逆に、まさかの物が大活躍した」と語ります。
日本は地震・台風・豪雨など、災害が多く発生する国です。
あなたの「もしも」が現実になる前に、経験者の声をもとに“本当に役立つ防災グッズ”、そして「これは意外と使いにくかった」というアイテムを知っておきませんか?
本当に役立つ防災グッズとは?──現場のリアルな声
1. 「絶対に欠かせない」水と非常用トイレ
災害時、一番困るのはトイレ問題
被災直後、電気やガスよりもまず困るのが「トイレが使えない」という事態です。水道が止まれば当然水洗トイレもストップ。この状況は、想像以上にストレスとなり、健康リスクにも直結します。
ポイント:携帯トイレは家族分×3日分以上を用意
- 1人1日当たり5回×3日=15回分
- 4人家族なら60回分
- 凝固剤や防臭・消臭袋もセットで
また、ゴミの回収が止まることも多く、「臭い対策」は必須。オムツ用防臭袋や猫砂なども合わせて備えておくと安心です。
飲料水の備蓄も忘れずに
- 1人1日2~3リットルを目安に最低3日分(できれば1週間分)
- 500mlペットボトルで小分けしておけば、持ち運びや衛生面でも便利
- お茶やジュースなど、味のバリエーションがあると心の負担も軽減
2. 「情報を得る」ためのスマホの充電手段とラジオ
スマートフォンは安否確認や情報収集に不可欠ですが、停電すると充電が困難に。
- モバイルバッテリー(複数、十分な容量で)
- 乾電池式充電器や、ソーラー式、手回し式も併用を
ポイント:複数の充電手段を組み合わせて準備
電池式ラジオも重要。手回しラジオは「手間がかかり疲れる」という声が多く、電池式やソーラー式のラジオがおすすめです。
3. 「明かり」──懐中電灯とランタンは家族分を
停電した夜ほど不安になるものはありません。
- 懐中電灯は家族人数分、できれば各部屋に
- ヘッドライトや据え置き型ランタンも「両手が空く」ので便利
豆知識:小さな懐中電灯でも、空のペットボトルと組み合わせるとランタン代わりになります。
4. 「温かい食事・衛生」──カセットコンロとウェットティッシュ
温かい食事は、被災生活の癒やし
- カセットコンロ+ガスボンベは必須(使用期限に注意)
- 湯沸かしだけでなく、哺乳瓶の消毒や体を拭く際のお湯にも活躍
衛生面では「おしり拭きシート」「除菌シート」
- 体を拭く、テーブルや食器を簡易的に拭くなど多用途
- 赤ちゃん用おしり拭きは大判で肌にも優しく、万能アイテム
5. 「現金」──キャッシュレス社会でも要注意
災害時は電子マネーやクレジットカードが使えなくなることが多々あります。
- 千円札や小銭を多めに用意
- 公衆電話用に10円玉も備えておくと安心です
6. 「片付け・掃除」用のグッズ
- ほうき、ちりとりは停電時のガラス片や土の掃除に必須
- ゴミ袋はトイレ処理や片付け時に大量に必要
- ブルーシートは床の養生、目隠し、雨漏り対策、間仕切りなど多用途
7. 「睡眠・心のケア」グッズ
- アイマスクや耳栓は避難所での安眠に
- トランプや折り紙など、気持ちが和む遊び道具もストレス軽減に役立ちます
実は「使いにくかった」防災グッズ──その理由と盲点
1. ロープやコンパス──素人には活用が難しい
- ロープは「救出用」と考えがちですが、専門知識がないと危険
- コンパスは、避難所までの道を知っていれば不要なケースが大半
2. カップ麺や携帯浄水器──水が貴重な災害時は不向き
- カップ麺は「お湯」がなければ食べられず、片付けもできない
- 携帯浄水器はペットボトルの水備蓄があれば出番は少ない
3. 手回しラジオ──「回すのが面倒」「労力がかかる」
- 短時間で充電が切れることも多く、長時間使用には不向き
- 電池式のラジオや、複数の充電方法を併用するのが現実的
4. テント──避難所で野外宿泊の機会は少ない
- テントは重く、かさばるため、実際の避難で持ち出すのは困難
- 多くの場合、避難所は屋内で寝泊まりできる
防災グッズ準備のコツ──「3つの分け方」と「ローリングストック」
1. 「3つのカテゴリー」に分けて備える
- 常時携帯品:カバンに入るミニ懐中電灯、薬、ウェットティッシュなど
- 非常持ち出し袋:自宅に一人一つ。着替え、非常食、飲料水、トイレ用品など
- 日常備蓄品(ローリングストック):日頃使いながら備蓄量を維持。保存食、水、ガスボンベ、衛生用品など
2. あなたの家族構成・体調・生活スタイルに合わせてカスタマイズ
市販の防災リュックをそのまま使うだけでは十分な備えになりません。
- 高齢者、乳幼児、持病のある方など、それぞれ必要なものを追加
- ペットがいる場合はペット用品も忘れずに
3. 賞味期限、使用期限の管理は「ラベル」で見える化
防災グッズは「使わない」のが理想ですが、使う前に期限切れになっては意味がありません。
- ローリングストックで使いながら補充
- 消耗品や電池の期限も定期的にチェック
防災グッズ選びで失敗しないために──心構えと注意点
1. 「これさえあれば大丈夫」は存在しない
一律の「正解」はありません。必要なものは人それぞれ違います。「ネットのリストをそのまま真似」ではなく、自分や家族の暮らしを想像して準備しましょう。
2. 「使う場面」を具体的にイメージする
- 「このグッズは、停電した夜、どうやって使う?」
- 「トイレが使えないとき、どこでどう始末する?」
- 「家族全員が移動するなら、誰が何を持つ?」
この「リアルな想像力」が、無駄な買い物や“使えない防災グッズ”を減らします。
3. 「日常でも使える」ものを選ぶ
アウトドア用品や日用雑貨は、普段使いもできて災害時にも役立つアイテムが多いです。
- 普段から慣れておけば、いざという時も安心
- 収納スペースも無駄になりません
防災グッズ準備の「新常識」──日々の暮らしとリンクさせて
最後に大事なポイントをまとめます。
- 「防災グッズ=特別なもの」から「日常の一部」へ
- 家族や周囲と「分担・共有」して備蓄の効率化を
- 防災意識を「イベント」ではなく「生活習慣」に
今すぐにでも始められるのは、「今日の買い物で水や食料を少し多めに買う」「スマホのモバイルバッテリーをチェックする」「ゴミ袋やトイレットペーパーの在庫を確認する」──そんな小さな一歩です。
まとめ──「備え」はあなたと大切な人たちを守る投資
被災経験者の声から見えてきたのは、「本当に役立つ備えは、あなた自身の暮らしとしっかり結びついたグッズ選びと準備」でした。
完璧を目指す必要はありません。
しかし、“何も備えていなかった”という後悔だけは、絶対にしないようにしたいものです。
ぜひ、今日からできる「あなた流の防災グッズ準備」を始めてみてください。
それが、あなたと大切な人を守る最強の「備え」になります。
<チェックリスト>これだけは揃えたい必須防災グッズ
- 飲料水(1人1日2~3リットル×3日分)
- 非常用トイレ・消臭袋
- 懐中電灯・ヘッドライト(家族人数分)
- モバイルバッテリー・ラジオ
- カセットコンロ・ガスボンベ
- おしり拭き・除菌シート
- 現金(小銭含む)
- ゴミ袋・ブルーシート
- トランプなどの遊び道具
- 着替え・アイマスク・耳栓
このリストをあなたの生活に合わせてカスタマイズし、「いざ」という時に本当に役立つ“あなた専用の防災セット”をつくりましょう。