
孟子の哲学──性善説から導く人間力とリーダーシッ...
8/11(月)
2025年
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ビジョナリー編集部 2025/08/08
毎日の仕事、会議、意思決定──そのやり方、なぜそうなっているのか考えたことはありますか?
もしかしたら「昔からこうだから」「みんなそうしているから」と、無意識に受け入れていることがたくさんあるかもしれません。
現状に違和感を覚えたり、「もっと良い方法があるのでは?」と感じたことがあるなら、デカルトの哲学にヒントが隠れているかもしれません。
ルネ・デカルトは、17世紀フランス出身の哲学者であり、数学者、科学者でもありました。
当時のヨーロッパはキリスト教の価値観が強く、学問は「神への信仰からのみ真理を知ることができる」と教えていた神学(スコラ哲学)が隆盛を誇っていました。
そのような中、デカルトは「全てを疑う」徹底した姿勢で、それまでの常識や伝統を根底から見直し、「近代哲学の父」と呼ばれています。
デカルトは確実に正しい知識を得るために、全てを疑うところから始めました。これまで正しいと思われていた常識を疑いました。五感で感じることも、錯覚をしたり夢であるかもしれないと疑いました。数学的真理も、後から間違いに気づくことがあるからと疑いました。たとえば「1+1=2」さえも本当は間違っているかもしれないと疑うほどに、全てを疑いました。
そうして疑わしいものを排除していった結果、「疑っている自分だけは確かに存在する」という結論に至りました。疑っている自分が存在していなければ、疑うことさえ出来ないからです。
「我思う、ゆえに我あり」
デカルトは「全てを疑う自分の存在」だけは否定できず、それこそが真理の出発点だと考えました。
デカルトは著作『方法序説』において、複雑な課題を解決するための思考法として4つの規則を示しました。
1.明証:明証的に真であると認めるもの以外は、真として受け入れない
2.分析:問題をできるだけ多く分割する
3.総合:単純なところから取り組み複雑なものに至る
4.枚挙/点検:見落としがないか確認をする
デカルトがあらゆるものを疑って排除していったように、常識や慣例を疑って「これは正しい」と信じられるものだけを残していきます。
過去の延長線上に答えが見つからないときは、一度すべてをリセットする勇気が必要です。
デカルトは、難しい問題ほど「小さな部品」に分割して考えるべきだと説きました。 これは、現代のビジネス分析やプロジェクトマネジメントでも王道の手法です。
「全体が見えない」と感じたら、まずは細かく分解します。その上で一つ一つに取り組むことで、解決への道筋が見えてきます。
どんなに難しい課題も、やりやすいところから手をつけるべきとデカルトは考えました。 いきなり全体最適を目指すのではなく、できることから一つずつ積み上げていくことで、複雑な問題も突破口が生まれます。
まずはやれるところから始めることが、難題を前にしたときの突破力となります。
最後に大切なことが、「やったつもり」で終わらせないことです。全体をもう一度見直し、抜けや重複がないか、全体の整合性が取れているかを徹底的に検証します。
点検を怠ると、小さなミスが後々大きなトラブルにつながります。最後まで油断せず、全体を俯瞰する習慣を持ちましょう。
デカルトの「全てを疑う」姿勢は非常に強力ですが、実際のビジネスでは疑いすぎて決断できなくなることもあります。
100%確実な情報や証拠は、現実にはほぼ存在しません。ある程度のリスクを許容し、今できる最善で踏み出す勇気も大切です。
リセットして考え直すことが有効な場面もありますが、歴史や先人の知恵を全て切り捨ててしまうことはリスクもあります。
再構築が必要な部分と引き継ぐべき部分を見極め、バランスの良い判断を心がけましょう。
課題を分解しすぎて、細かいところにばかり気を取られ、全体を見失ってしまうこともあります。
定期的に全体の目的に立ち返るクセをつけることで、ブレない判断が可能になります。
デカルトは「全てを一度疑う」ことで、世界の見方を変え、現代にも続く哲学の基礎を作りました。
これらを実践すれば、あなたの思考を変えるきっかけになるのではないでしょうか。デカルトが切り開いた哲学を、ぜひビジネスの現場で体感してみてください。