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フェイラーのハンカチはなぜそんなにも人気?魅力とマーケティング戦略に迫る
ビジョナリー編集部 2025/10/23
「フェイラー」と聞いて、どんなイメージが思い浮かびますか?
黒地に華やかな花模様、ふんわりと厚みのある感触、お母さんやおばあちゃんが使っていた“ちょっと上質なハンカチ”。
しかし、今やフェイラーのハンカチは若い世代からも支持され、SNSでは“推し柄”を自慢する投稿があふれ、ポップアップショップには行列ができるほどの人気ぶりです。
なぜ、世代を超えてこれほどまでに愛されるのでしょうか。
本記事では、フェイラーのハンカチが持つ独自の魅力と、ブランド復活を支えたマーケティング戦略に迫ります。
シュニール織が生む極上の肌触りと高級感
フェイラーのハンカチを語るうえで欠かせないのが、「シュニール織」という伝統技法です。
シュニール(Chenille)はフランス語で「いも虫」を意味し、モール糸のふっくらとした質感が特徴。1本の糸を作るだけでも、平織りした生地を細かくカットし、高速でスピンをかけるという手間のかかる工程が必要です。
フェイラーのハンカチは、このシュニール織によって、
- もっちりと厚みがあり、柔らかい肌触り
- 吸水性・乾燥性に優れ、長く使ってもへたらない耐久性
- 18色の先染め糸で織り上げる美しい発色と繊細なデザイン表現
という、他にはないクオリティを実現しています。
しかも、仕上げの工程は職人の手作業。1枚1枚微妙に表情が異なり、まさに“一点もの”の特別感が漂います。
また、OEKO-TEX STANDARD 100という国際的な安全基準をクリアした綿100%素材を採用しており、赤ちゃんや敏感肌の方にも安心して使える品質です。
「お母さんのもの」から「私の一枚」へ――ブランドイメージの転換
かつて、フェイラーは「黒地に花柄=年配女性向け」というイメージが強く、実際に2010年代初頭には顧客の平均年齢が65歳を超えていました。
このままではブランドの未来が危うい――。そんな危機感から、フェイラーは大規模なリブランディングに舵を切ります。
具体的な変革ポイント
- デザインの多様化:フルーツや動物、スイーツ、寿司やラーメン、サウナなど、思わず笑顔になるユニークな柄を次々と投入。
- コラボレーション戦略:サンリオやディズニー、人気ブランド・企業とのコラボ商品を展開し、幅広い層にアプローチ。
- 新規店舗の出店:ギフトに特化した「LOVERARY BY FEILER」や、若者が集うファッションビル・駅ビルなど新たな場所での直営店展開。
これにより、「お母さんやおばあちゃんのもの」から、「私の“推し柄”を選ぶ楽しさ」「自分へのご褒美」へと、顧客層が一気に若返りました。
特に「ハイジ」柄は、SNSのハッシュタグ「#ハイジの日」がファン発案で生まれ、ブランドと顧客が一緒に盛り上げる“共創”の象徴にもなっています。
SNS時代のファンマーケティングで熱量を可視化
フェイラーが若い世代の心をつかんだ背景には、デジタルを活用したファンマーケティングの徹底があります。
2015年から公式インスタグラムを開設し、双方向のコミュニケーションを推進。ユーザーが「#フェイラー」で投稿した写真に公式が丁寧にコメントを返すなど、顧客との距離を縮めてきました。
その結果、
- 1日150件以上の「#フェイラー」投稿
- 20万人超のインスタグラムフォロワー(2023年時点)
- ファン同士がオフラインイベントやコレクション交換会を開催
と、ブランドと顧客、ファン同士がつながり合う“コミュニティ”が形成されました。
さらに、アンバサダー制度を設け、ファンの声を取り入れた商品開発やインスタライブでの企画募集など、消費者参加型の共創マーケティングも実践しています。
こうした地道な取り組みが、ブランドへの「愛着」と「共感」を生み、リピーターやコレクターを生み出す原動力となっています。
コラボ&限定品の爆発力――“争奪戦”が生むブランド価値
近年のフェイラー人気を象徴するのが、企業やキャラクターとのコラボレーションアイテムです。
サンリオ、スヌーピー、ドラえもん、ディズニー、ペコちゃんなど、国民的キャラクターとの限定柄は発売と同時に即完売することも珍しくありません。
また、企業や美術館、学校とのタイアップでオリジナルハンカチを制作するなど、新たなファン層の開拓にも積極的です。
これらのコラボ商品は「その時しか手に入らない」「他人と被らない自分だけの一枚」という付加価値を生み出し、ハンカチが単なる日用品から「コレクションアイテム」へと格上げされました。
“お守り”のような情緒的価値――思い出と共に手元に残る存在
フェイラーが他のブランドと一線を画す最大の理由は、「情緒的価値」の訴求にあります。 吸水性や耐久性といった機能面だけでなく、
- 卒業式や異動、人生の節目の贈り物として
- 大切なプレゼンや面接の日、お守り代わりに
- 母から子へ、祖母から孫へと受け継がれる“家族の記憶”として
など、ハンカチにまつわる“物語”や“思い出”が自然と生まれるのです。
実際に、「お母さんが使っていたフェイラーを引き出しで見ていた」「自分が赤ちゃんのころ使ってもらったおくるみを今は自分の子どもに」など、世代を超えて受け継がれているケースも多数あります。
この「思い出をアーカイブする」ようなユーザー体験が、フェイラーのハンカチを“手放せない特別な一枚”にしているのです。
日本市場に寄り添う独自展開――季節・文化・ギフトニーズ
フェイラーの日本での成功は、単なる輸入ブランドではなく、日本人の暮らしや感性に合わせた商品開発とマーケティングにも支えられています。
- 四季のデザイン:桜や朝顔など日本の季節感を取り入れ、年間を通じて新作を投入
- 和モチーフ:寿司や相撲といった、日本文化を象徴する柄も展開
- ギフト文化への適応:高級感と実用性が兼ね備わり、贈り物としても高い需要
また、データ分析やターゲティング広告など最新のデジタルマーケティングも積極的に導入し、より細やかな顧客理解とプロモーションを実現しています。
「クラフトマンシップ」と「時代への適応」を両立して100年ブランドへ
フェイラーのハンカチは、職人の手仕事と最新トレンドへの柔軟な対応が絶妙に融合したブランドです。
大量生産が難しい製法をあえて守り抜く一方で、ファッションやSNS、コラボなど時代の変化を敏感にキャッチし続けています。
「変えるべきもの」と「変えてはいけないもの」のバランスを大切にしながら、世代を超えて愛されるブランドを目指す――。
これこそが、フェイラーの人気が衰えない最大の理由と言えるでしょう。
まとめ:あなたの“人生の一枚”を見つけてみませんか
フェイラーのハンカチは、単なる日用品の枠を超え、
- 手にした時の幸福感
- 贈る人・贈られる人の想い
- 思い出や日々の物語
を包み込みます。
まだフェイラーを手に取ったことがない方は、ぜひ店舗やオンラインでお気に入りの“推し柄”を探してみてください。
きっと、あなたの日常にもささやかな特別感と、長く愛せるパートナーが加わるはずです。


