その「欲しい」は「買う」に変わるのか?マクアケ木...
SHARE
「金融の枠を超え、日本の未来を共に創る」――西武信用金庫とスコレが描く、経営シミュレーションによる“学びのアップデート”
ビジョナリー編集部 2026/05/08
金融機関が融資を決定する基準。それは「担保」や「財務データ」といった保全面や財務面が重視されるのが一般的である。しかし、東京都中野区に本店を構える西武信用金庫は、融資先が抱える経営課題を伴走的支援により解決する「課題解決型金融」の先駆者と言われている。本シリーズでは、同金庫の「伴走型支援」におけるパートナー企業との取り組みを全5回にわたり特集する。
同金庫が掲げる「伴走型支援」は、単なる資金供給にとどまらない。それを象徴するのが、早稲田大学ビジネススクール発のベンチャー企業、スコレ株式会社とのパートナーシップだ。2021年の創業以来、大手企業を中心に「企業経営シミュレーション」を活用した人材育成プログラムを展開するスコレ。その代表取締役・須藤 奨氏の圧倒的な熱量に「雷に打たれたような衝撃を受けた」と語るのは、西武信用金庫の藤井氏。
なぜ両者は、信用金庫と取引先という関係を超え、互いの事業に深くコミットする最強のパートナーとなり得たのか。出会いから現在、そして日本を動かす未来のビジョンまでを語り合った。
始まりは「直感」と「共感」。数字の奥にある“想い”を信じた出会い
まずはお二人の出会いのきっかけを教えてください。
スコレ 須藤氏: 2024年の夏頃、もともと副業で始めた事業を本業としてさらにスケールさせたいと考えたタイミングでした。弊社のビジネスは、大手企業様との契約まで約1年のリードタイム(商談から実施までの期間)を要するため、成長にはまとまった資金と、信頼できるパートナーが必要でした。早稲田大学のインキュベーション施設に入居している縁もあり、地域に根差した西武信用金庫さんにご相談したのが始まりです。
西武信金 藤井氏: 最初に須藤社長の経歴――LINEでの実績やMBA取得、海外でのプロジェクト経験を伺ったときは、正直「どんなにすごい方が来るんだろう」と身構えていました(笑)。しかし、実際にお会いすると非常に物腰が柔らかく、何よりも掲げている 「人材育成を通じて日本を良くしたい」というミッションの熱量 が凄まじかった。資料一つとっても事業にかける想いが伝わってきて、一気に引き込まれましたね。
スコレ 須藤氏: 最初にお会いした時、藤井さんたちが「お金のこと」だけでなく、 「なぜこの事業が必要なのか」「何を成し遂げたいのか」という事業の本質や想い を深く理解しようとしてくださったのが印象的でした。単なる審査対象としてではなく、一人の経営者として向き合ってくれた。それが西武信金さんにお願いしようと決めた最大の理由です。
融資は“ガソリン”に過ぎない。販路開拓からイベント共催まで、汗をかく伴走
具体的に、どのような伴走支援が行われてきたのでしょうか。
スコレ 須藤氏: 西武信金さんには、資金面でのご支援はもちろん、私たちの事業そのものを広げるための「場」をいくつも提供していただきました。例えば、西武しんきんキャピタル(西武信金の子会社)のお客様や次世代の事業承継者の方々を集めて、弊社のプログラムを使ったイベントを共催したんです。
西武信金 藤井氏: スコレさんの「企業経営シミュレーション」は、実際に体験するとその価値が痛烈に分かります。PDCAを回しながら経営の難しさと楽しさを学べる画期的なメソッドです。これを 「地域のお客様や我々職員自身の成長にもつなげたい」 と考え、社内のさまざまな部署を巻き込んでいきました。
スコレ 須藤氏: 驚いたのはそのスピード感と主体性です。私がお願いする前に、藤井さんが「この人に会ってみてください」と次々にキーマンを紹介してくださる。金融機関でありながらフットワークが非常に軽く、 「スコレの事業を共に伸ばす」という姿勢 を肌で感じました。このご縁のおかげで、これまではリーチが難しかった中小企業様とのつながりも生まれ、新たな販路が確実に広がっています。
「0から1」の苦境を支えた信頼。属人的な経営からの脱却へ
スコレ社にとって、西武信金というパートナーの存在は組織にどう影響しましたか。
スコレ 須藤氏: スタートアップにとって、一番苦しいのは実績もブランドもない「0から1」のフェーズです。ここで資金のガソリンを注入していただいたことで、フルタイムの正社員採用に踏み切ることができました 。属人的な「須藤の会社」から、組織としての「スコレ株式会社」へと脱却する大きな一歩を踏み出せたのは、間違いなく西武信金さんの支えがあったからです。
西武信金 藤井氏: 須藤社長は常にビジョンを明確に共有してくださる。だからこそ、私だけではなく、人事、企画、VCと、金庫内のあらゆるセクションが「この人を応援したい」と自然に動いたんです。ここまで多くの部署が自発的に連携するケースは、正直私も見たことがありません。
スコレ 須藤氏: そう言っていただけると嬉しいですね。西武しんきんキャピタルさんが弊社のプログラムを 「お客様向けの研修」として実際に導入してくださった ことも大きな自信になりました。「お客様の気持ちに寄り添える人材を育てる」という信金さんの想いと、私たちの技術が合致した瞬間でした。
AI時代だからこそ、人間特有の「視座」をアップデートし続ける
最後に、今後の展望をお聞かせください。
スコレ 須藤氏: AIが進化する時代だからこそ、人間がどう意思決定し、どう視座を高めていくかという価値は相対的に高まります。西武信金さんという心強いパートナーと共に、学びの場を日本中に広げていきたい。単に仲の良い「友達」ではなく、常に成果を出し続け、信頼を更新し続けるビジネスパートナー でありたいと思っています。
西武信金 藤井氏: スコレさんの事業は、地域どころか日本全体、そして世界を変える可能性を秘めています。我々の役割は、その可能性を最大化するために限界までサポートし続けること。 「西武信金と一緒に走って良かった」 と10年後、20年後も言っていただけるよう、一担当として、一パートナーとして、とことん並走し続けます。
両社が生み出す大きなうねりが創り出す未来
「雷に打たれたような衝撃だった」と藤井氏が振り返ったあの日の出会いが、今、多くの部署や専門家を巻き込んだ大きなうねりとなっている。
スコレが提供する「経営シミュレーション」によって視座を高めた人材が、日本中に溢れる未来。そして、西武信用金庫のような「目利き」と「おせっかい」な支援が、挑戦者の背中を押し続ける社会。両者が描く未来予想図は、驚くほど一致している。
一社の成長が地域を刺激し、その活気がまた新たな挑戦者を生む。そんなポジティブな連鎖の最前線に、これからも注目していきたい。


