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2026

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    「すべて」を未来の力に変える——りそなショックから20年、南社長が語る変革のDNAとAI時代の人材論

    「すべて」を未来の力に変える——りそなショックから20年、南社長が語る変革のDNAとAI時代の人材論

     2003年の預金保険法102条適用による巨額の公的資金注入、いわゆる「りそなショック」。そこから再生を果たし、新たな挑戦のステージへと歩みを進めるりそなグループを率いるのが、取締役兼代表執行役社長兼グループCEO南昌宏氏だ。同社はなぜ自己変革を続けることができるのか。業界の垣根が溶け、AIが台頭するこれからの時代において、企業が大切にすべき「本質」と「変わる勇気」、そして次世代を担う若者たちへの熱いメッセージを語っていただいた。

    りそなショックが原点。恩師から学んだお客さまや地域社会のこまりごと起点で考えることの大切さ

    過去の厳しい金融環境や組織の転換期を経験される中で、南さんの経営観の基礎となった出来事や影響を受けた方はどなたでしょうか。

     私自身の銀行員生活を振り返ると、やはり2003年の「りそなショック」が最大の分岐点 でした。未曾有の混乱期に、りそなグループのトップに転じられた細谷英二さんの経営様を近くで見ることができたこと、企画部門として「りそなショック」の全貌に触れたこと、そしてその後の変革と再生の一翼を担えたことが、私自身の経営観の背骨をつくってくれたと思っています。

     りそなグループは、国内で初めて預金保険法102条第1項の適用を受け、ピーク時には3兆円を超える公的資金に支えられていました。そうしたなかで、金融とは縁もゆかりもなかった細谷会長が、まさに火中の栗を拾う形でトップに就任されました。想像を超える再生プロセスの中で、全身全霊を傾ける姿、臆することなく正面から向き合う姿勢に、強い感銘を受けました。

     細谷さんが語られた「りそなの常識は世間の非常識」という言葉は、変化が加速する時代だからこそ、忘れてはならない言葉です。自分たちの内側の論理だけで物事を見ていないか。お客さまや社会から見て、本当に価値ある存在であり続けているか。この問いを持ち続けることが、りそなの自己変革力の原点だと思います。

     現在の役員室には、当時の細谷さんの机が、全従業員の寄せ書きとともにそのままの形で残されています。月命日には花が飾られ、我々が道に迷うとき、苦しくなったときに立ち戻る原点です。そして、我々も危機から学んだ教訓を、未来の成長に向けた大事な判断軸の一つとして持ち続けていきたいと考えています。

     2003年当時に在籍していた従業員は、すでに2割程度まで減少しています。だからこそ、あの時に何が起きたのか、その真因は何だったのか、そこから何を汲み取るべきなのか、そしてどのような再生の道を歩んできたのかを、次世代に正しく伝えていく必要があります。様々な学びをりそなグループのDNAとして、次世代に正しく伝承しながら、さらなる成長につなげていくことが、当時を知る我々の責務だと考えています。

    人間の本質的なニーズは変わらない。現状維持バイアスを打破し「変化の先」へ

    りそなショックから20年以上が経ち、世の中も変化していますが、グループの中で「変えてはいけないもの」と「変えなければならないもの」は何でしょうか。

     守るべきものは、りそなグループの根底に流れる価値観と、「りそなショック」から学んできた変革のDNAです。2023年、りそなショックから20年となる節目に、前中期経営計画の策定と平仄を合わせながら、改めてグループの理念体系を再整理しました。100年を超える歴史の中で大切にしてきた想いを「金融+で、未来をプラスに。」というパーパスとして言語化するとともに、2003年に定めた経営理念については、その原点を次世代に残すために一字一句変えることなく継承しています。

     一方で、社会・産業構造は大きく変化し、お客さまのニーズも多様化・高度化・複雑化の一途を辿っています。こうしたなかで、我々は単に変化に適応するだけではなく、お客さまや地域社会の「こまりごと」を起点に、変化を創り出す側に回らなければなりません。

     時代が変わっても、人の本源的なニーズは大きく変わりません。例えば、遠くにいる誰かに思いを伝えたいというニーズは変わりませんが、その手段は古くは飛脚から郵便、電話、インターネット、SNSへと多様化を伴いながら変化を続けています。金融もまた同じです。例えば、安心して預けたい、必要なときに資金を得たい、将来に備えたい、地域を良くしたいというニーズ等は変わることはありません。しかし、それを支える発想・仕組みや仕掛け、商品・サービス・機能、スピードや体験価値等は変わり続けます。

     だからこそ、変えてはいけない本質を守るために、変えなければならないものは恐れずに変える。大事な原則です。変化の先を見据えて、自分たちが少しでも早く、その先にたどり着けるか。それがお客さまに新たな価値を提供することにつながり、次世代のりそなグループの競争力向上に直結するものです。今後も健全な危機感を持ちながら、恐れることなく新たな挑戦に向かいます。

    AIと人の融合。掛け算で生み出す圧倒的な顧客体験と生産性の向上

    AIへの取り組みを社内で牽引されていますが、これからの時代、AIと「人」の役割はどのように変化していくとお考えですか。

     AIを含めたテクノロジーの圧倒的な進化は、大きな機会とリスクを同時に連れてきます。こうしたなかで、生成AIを今後のグループ競争力の強化に、いち早くつなげられるかが喫緊の課題です。もちろん、AIの活用そのものが目的ではありません。大事なことは、いかに顧客体験を素晴らしいものに変え、いかにお客さまに新たな価値を提供できるかということです。そして同時に、アウトプットの質量や生産性を、これまでとは比較にならないレベルまで引き上げられるかということです。

     生成AIなどのテクノロジーは、人財やデータと高次元で融合してはじめて、その効果が最大化されます。現時点でAIの力が「10」、人間の力が「10」だとすれば、トータルの力は「20」ではなく、単純な掛け算ではありませんが「100」を目指すそんなイメージです。さらにAIは、人の能力そのものも拡張していきます。

     その時に人に求められる役割は、これまで以上にお客さまに寄り添い、背景にある真の課題を捉えて、未来を構想し、新たな価値を創り出すことへと移っていきます。共感する力、問いを立てる力、構想する力、周囲を巻き込む力。こうした人の力を、AIと共存しながらさらに高めていきたいと思います。

     りそなグループのビジネスは、もとよりリアルの接点である営業店と、地域・お客さまとのリレーション力が原点です。このリアルな接点をAIやデータで武装していくことが、お客さまの日常の金融をより高い次元で支えることにもつながります。一人ひとりのお客さまにとって「自分のこと、自社のことを深く理解してくれている」と感じていただける優れた提案を、これまでとは比較にならないスピードと質で生み出していきたいと考えています。

    人と人との触れ合いを大切に。多額の支援ができなくても「自分たちでできること」を

    社会貢献活動として、子どもたちへの支援や植樹活動なども行われていますね。どのような想いがあるのでしょうか。

     2015年に公的資金を完済したタイミングで、一つの節目として、社会への感謝を具体的な形にしたいという思いから、りそな未来財団を設立しました。かつて我々自身が社会から大きなサポートをいただいたからこそ、そのご恩をりそなグループらしい形で次世代へつないでいきたい。こうした考えのもとで、経済的に困難な環境にあるひとり親家庭の子どもたちへの奨学金支援などに取り組んでいます。

     こうした活動は、従業員アンケートでも多くの支持を集めたテーマでした。誰かの未来を少しでも良いものにしたい、社会の役に立ちたいという思いが、りそなグループの底流に根付いていることを実感しています。社会貢献について、我々がより大切にしているのは、人と人が触れ合うことで生まれる新しい価値 です。人と人が触れ合い、互いの存在を感じながら、未来への希望をつないでいくことに、大きな意味があると考えています。

     具体例として、東日本大震災の被災地である宮城県岩沼市で、グループをあげて海岸防災林再生のための植樹・育樹の活動を行いました。毎年、全国から従業員が集まり、植樹をしたエリアの下草刈りを続けています。多額の資金を拠出することが難しい時期もありましたが、「自分たちでできることを考え、行動する」という企業文化 をこれからも脈々と受け継いでいきます。

     決して派手な取り組みではありません。しかし、こうした地道な活動を通じて、社会への感謝を伝え、人と人がつながり、地域とともに未来をつくっていく。これもまた、りそなグループが大切にしてきた価値観の一つです。金融だけでは解けない社会の課題に対して、我々が持つ接点、信頼、行動力をどう生かしていくか。そこに、これからのりそなグループの新しい挑戦があると思っています。

    「起きた出来事をどう解釈するか」が成長を分ける。次世代へのメッセージ

    正解のない時代において、次世代のリーダーや若手社員をどのように育てていきたいとお考えですか。

     これからは、業界の垣根がどんどん融解していく時代です。異業種の参入やテクノロジーの圧倒的な進化は、過去の成功体験やこれまでの経験値だけでは、未来の勝ち筋を手繰り寄せることが難しくなっていきます。

     だからこそ求められるのは、過去の延長線上から正解を探す力ではなく、答えのないところに自ら問いを立て、新たな答えを創り出していく力です。

     自分たちの頭で考え続ける力、変化を恐れず一歩を踏み出す勇気、失敗から学び続ける謙虚な姿勢、そして未来に希望を持って挑戦し続ける意志。こうしたマインドを持った人財が次の時代を切り拓いていくのだと思います。

     我々は、単に優秀な人財を育てるのではなく、自ら変化を創り出し、周囲を巻き込みながら未来を共に創っていく、そんな人財を育てていきたいと考えています。

    重要なのは「起きた出来事」ではなく、「その出来事から何を学び取ろうとしたか」

    最後に、これから社会を担う若者たちに向けてメッセージをお願いします。

     毎日、いろいろなことが起こります。よいこと、思いどおりにいかないこと、苦しいこと、理不尽だと感じることも少なくありません。時には大きな災いに直面することもある。それが現実です。

     ただ、その後の人生を分けていくのは、起きた出来事そのものではなく、自分自身がその出来事をどう受け止め、どう解釈し、これからの歩みにどう活かしていけるかです。たとえ頭の整理に時間がかかったとしても、目の前の出来事を正面から受け止め、そこに少しでも前向きな意味を見いだそうとする。そうした小さな積み重ねが、その後の人生を大きく変えていくと思います。

     大きな困難や失敗に直面した時ほど、「自分には何か足りないものがあったのではないか」「何を気づき、何を学ぶか」「次の挑戦にどうつなげていくのか」を改めて問い直すことが重要です。こうした習慣化が、無駄なことのようで、後になって皆さんの財産になっていくと思います。

     これから皆さんが生きる時代は、変化が激しく、正解のない時代です。だからこそ、過去にとらわれず、未来を悲観することなく、今を大事にしながら、自ら未来を創っていくという気概を持ってほしいと思います。

     未来とは、与えられるものではなく、自ら創り出すものです。どうか希望を持って、自分の可能性を信じて、新しい時代の担い手として果敢に挑戦していって欲しいと思います。

    #りそなグループ#経営戦略#パーパス経営#マインドセット#イノベーション

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