「検討はやめて、まずやってみろ」——開業25周年...
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「できない理由」は時間の浪費——自称・頭の良い人が陥る罠と、逆境ほど燃える逆張りの思考
日覺 昭廣 2026/06/12
エンジニアリング部門を率いる中で、私が組織に対して一貫して求め続けた姿勢があります。それは、「できることをやるのではない、やるべきことをやるのだ」という極めてシンプルな原則です。
装置産業において、設備の競争力を強化することは会社の命運を左右します。だからこそ「基本に忠実にあるべき姿を目指して、やるべきことをやる」ことが肝要なのですが、このように発信すると、往々にして「日覺さんはできないことをやれと言うのか」と質問をされることがあります。
それに対し、私の答えは明確です。「いかにしてやるか」だけを考える、ということです。
もし、今の自分たちの能力でできないのであれば、社内外を問わず、それができる人を探してきて巻き込めばいい。それだけのことです。
世の中で「自分は頭が良い」と思っている人ほど、新しい課題に直面した時に「いかにそれが困難か」「なぜできないのか」という理由を、実に見事に並べ立ててしまいます。しかし、私に言わせれば、それは完全なる時間の無駄遣いです。できない理由を考える時間があるなら、「どうすれば突破できるか」という一点にすべての知恵を絞るべきなのです。
多くの人は、想定外のトラブルや大きな難題に直面すると「壁にぶつかった」と頭を抱えます。しかし、私には「壁」という感覚がそもそもありません。大変な問題やトラブルが勃発した時ほど、私の心はむしろ激しく燃え上がります。
何も問題が起きない平穏無事な状態であれば、私がそこにいる必要はありません。大変な問題が起きているということは、裏を返せば、あとは「良くなるしかない」ということです。本質的な手を打ってそこを乗り越えれば、事態は確実に前より好転します。
だからこそ、私は業績が絶好調の時ほど「何か見落としはないか」と恐怖を感じ、逆に問題が噴出している時ほど、「よし、これを片付ければ一気に強くなれるぞ」とやりがいを感じるのです。ある種のひねくれた、逆張りの思考法かもしれませんが、この精神的なタフさこそが修羅場をくぐるリーダーには不可欠です。
部下からトラブルの相談を受ける時も、私のスタンスは一切ブレません。彼らは焦りから、しばしば「すぐにこの対策を打ちたいと思います」と表面的な解決策を持ってきます。そんな時、私はすかさず率直に問うのです。
「ちょっと待て。なんでそうなったんや。原因は何なんや」と。
なぜそうなったのかという本質原因が分かっていないのに、焦ってバタバタと手を打っても、何も解決しません。表面を取り繕うために動くことは、時間の無駄であるばかりか、真の解決を遠ざける害悪でしかありません。焦る気持ちを抑えて、まずは徹底的に事実を整理し、原因を究明する。原因さえつかめれば、打ち手は自ずと決まります。
ビジネスの現場に、あらかじめ用意されたルールに則っていれば解けるような親切な問題などありません。すべては、これまでに培った基本を総動員して挑む「応用問題」です。だからこそ、できない言い訳を捨て去り、「いかにしてやるか」という一点に執着し続ける組織だけが、過酷な競争を勝ち抜くことができるのです。


