
「注目バイアス」が武器になる理由──情報を“引き...
8/1(金)
2025年
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ビジョナリー編集部 2025/07/31
あなたはこのような経験をしたことはありませんか?
このような「想定外」の出来事に出会ったとき、私たちはどう原因を考えるべきなのでしょうか?
実は、こうした局面で力を発揮するのが、アブダクション思考です。
「アブダクション」は、日本語で「仮説的推論」とも呼ばれます。
難しそうに聞こえるかもしれませんが、実は私たちの日常でも自然と使っている思考法です。
たとえば、外に出た時に地面が濡れていたとします。あなたは「雨が降ったのだろうか?」と考えますよね。
この「雨が降ったのかも」という推測は、観察した結果から原因を逆算して仮説を立てており、これがアブダクションの思考です。
アブダクションは、演繹法や帰納法と違い、必ずしも正解を導き出すものではありません。しかし、「未知の現象」や「前例のない問題」に直面したときに、柔軟に仮説を立てて素早く行動するための思考法です。
現代ビジネスは、「過去の延長線上の論理」や「データ分析」だけでは通用しない予測不能な時代に突入しています。
そのような中で、従来の演繹的な「正しさ」や帰納的な「再現性」だけを求めていては、 他社と同じ結論にしかたどり着けず、差別化やイノベーションは生まれにくくなります。
たとえば、新卒採用のエントリーが急増したとします。演繹法なら「景気回復の影響だろう」と一般論に落ち着くかもしれません。帰納法なら過去のデータを分析して答えを探すでしょう。
しかし、アブダクション思考なら
こうした仮説を次々に立て、実際にSNSや求人サイトを調べ、 素早く「本当に起きていること」を突き止めて対策に活かせます。
アブダクションで大切なことは「とりあえず仮説を立ててみる」ことです。日常の小さな疑問や違和感に対しても、「なぜこうなったのか?」と自分なりの仮説を立ててみましょう。
思いついた仮説は、できる範囲ですぐに検証してみましょう。
検証の過程でデータや新たな事実が得られれば、仮説を修正しながら、より現実に即した答えに近づけていきます。
アブダクションは「間違いを前提とする思考法」です。
すべての仮説が当たるわけではありませんが、失敗から得た学びやフィードバックこそが、次のイノベーションの種になります。
アブダクションは、個人の発想力だけでなく、組織としての「挑戦」と「学び」の文化が重要です。
こうすることで、現場から新しい価値やイノベーションが生まれやすくなります。
アブダクションは仮説の形成であって、証明ではありません。自分の仮説を事実と勘違いし早合点してしまうと、誤った判断や戦略に突き進んでしまう危険があります。
論理的思考は重要ですが、人の感情や現場のリアリティを無視しがちです。仮説を現場で検証する際は、必ず「顧客や関係者の声」も反映させましょう。
仮説を立てることに満足して、いつまでも分析や検討ばかりしてしまうのは本末転倒です。「まずやってみる」マインドが、変化の激しい時代には不可欠です。
アブダクションは手段であって、目的ではありません。「何のために仮説を立てるのか?」というゴールを常に意識しましょう。
アブダクションは、「結果」から「原因」を逆算して仮説を立てる思考法です。
あなたも今日から、「なぜ?」と問いかけ、小さな仮説を立ててみてはいかがでしょうか。思いがけない突破口やイノベーションが、きっと生まれるはずです。