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2025

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    もしもの時に備える 住まいを失った際に知っておきたい公的支援と補償制度

    もしもの時に備える 住まいを失った際に知っておきたい公的支援と補償制度

    日本は地震や台風などの災害が多く、また火災も決して他人事ではありません。

    しかし、災害や火事で自宅が住めないほどの被害に遭った場合、どんな支援を受けられるのか、どこに相談すればいいのか、具体的なイメージを持っている人は少ないのではないでしょうか。

    本記事では、急な災害や火事で家に住めなくなった時、どんな支援や補償制度があるのか、「もしも」のときに役立つ知識をまとめました。また、必要な手続きや注意点、そして被災後の生活を再建するために知っておきたいポイントも解説します。

    ※ 記事内の情報は2025年11月時点のものです。

    被災で住めなくなったら

    地震や火災、水害などで家が「住めない」状態になることは、誰にでも起こる可能性があります。

    例えば、被災直後に多くの方が直面するのは次のような課題です。

    • 住まいが全壊・半壊し、帰る家がない
    • 家財の多くを失い、生活必需品が不足
    • 住宅ローンや家賃の支払いはどうなるのか
    • 修繕や再建にかかる費用の捻出
    • 仮住まいや今後の生活の見通しが立たない
       

    突然の混乱の中で「何から始めればいいのか分からない」という声をよく耳にします。そんなとき、どんな支援制度があるのかを知っているかどうかが、その後の生活再建のスピードや安心感に大きく影響します。

    罹災証明書の取得

    被災した際に、優先して取り組みたいのが「罹災証明書(りさいしょうめいしょ)」の申請です。 この証明書は、災害や火災で住宅がどの程度被害を受けたかを市区町村(火災の場合は消防署)が公式に認定するもので、公的支援や保険金請求の際に必要となります。

    罹災証明書の発行手順

    1. 被害状況を写真・動画で記録

    • 家の外観を四方から撮影
    • 浸水の場合は水位が分かるように
    • 屋内の壁、床、天井、被害を受けた家財も記録
    • 家電や家具はメーカー名や型番も分かるよう撮影

    2. 自治体や消防署に申請

    • 必要書類(申請書・本人確認書類・被害写真)を準備
    • オンライン申請が可能な自治体も増えています

    3. 自治体職員の現地調査(または写真審査)

    • 認定基準に基づき、被害程度が判定されます

    4. 罹災証明書の交付

    • 「全壊」「大規模半壊」「半壊」など被害区分が記載される
    • 支援金額や支援内容はこの区分によって大きく変わります

    POINT

    証明書の発行には時間がかかる場合がありますので、早めの申請が重要です。また、認定結果に不服がある場合は再調査の申請も可能です。
    写真や動画は申請後も大切に保管しましょう。

    被災後に受けられる主な支援制度

    被災者生活再建支援金(給付)

    代表的な制度の1つが、国の「被災者生活再建支援制度」です。これは、自然災害や火災で住宅が全壊、大規模半壊などの認定を受けた世帯に、生活再建のための資金を支給する制度です。

    支給額の目安

    【全壊・解体・長期避難】
    基礎支援金:100万円
    加算支援金:建設・購入:200万円 補修:100万円 賃借(公営住宅除く):50万円

    【大規模半壊】
    基礎支援金:50万円
    加算支援金:建設・購入:200万円 補修:100万円 賃借(公営住宅除く):50万円

    ※世帯人数1人の場合は4分の3の金額
    ※申請期限や詳細は各市区町村で異なるため、被災後は早めの相談が肝心です。

    補足

    • 持ち家だけでなく、賃貸住宅の入居者も対象になります(ただし空き家や別荘は対象外)
    • 他の給付金や保険金と重複して受給できます

    災害援護資金・災害復興住宅融資(融資)

    災害援護資金

    • 自然災害や火災で住宅や家財に被害を受けた世帯に、生活再建のため低利で最大350万円まで貸し付け
    • 所得制限あり。返済が必要ですが、金利や返済条件は通常より優遇されています

    災害復興住宅融資

    • 独立行政法人住宅金融支援機構による融資
    • 罹災証明書が必要。新築や購入の場合は最大5,500万円までの融資が可能
    • 申し込みは災害発生日から2年以内に

    仮設住宅・災害公営住宅の提供

    大規模災害などで住まいを失い、自力で住居を確保できない場合、自治体が「応急仮設住宅」を提供します。

    仮設住宅のポイント

    • 原則2年間(状況により延長もあり)無料で入居可能
    • プレハブ型、トレーラーハウス、民間賃貸住宅を自治体が借り上げる「みなし仮設」も増加
    • 仮設住宅退去後は、希望すれば家賃が安い「災害公営住宅」への入居も可能

    住宅ローンや家賃、生活資金はどうなる?

    住宅ローン返済は免除される?

    残念ながら、住宅が全壊してもローン残債の返済義務は基本的に消えません。
    しかし、被災で返済が困難な場合、「自然災害債務整理ガイドライン」に基づき、ローンの減額や免除が認められることがあります。

    自然災害債務整理ガイドラインの特徴

    • 弁護士など専門家が無料で手続きをサポート
    • 信用情報に記録されず、今後の借り入れに影響しない
    • 住宅ローンだけでなく、自動車ローンや事業ローンも対象
       

    ※ 利用条件や手続きは専門家に相談するのがおすすめです。

    賃貸住宅の場合の家賃・敷金

    • 全壊や住めない状態になった場合、賃貸契約は終了し、以降の家賃支払い義務は消滅し、敷金も全額返還されるのが原則
    • 住み続ける場合は、オーナーに修繕義務があります。修繕がされない場合は家賃減額を求めることもできます

    民間保険での備えも重要

    公的支援だけでは住宅再建に必要な全費用を賄えない場合が多く、民間の火災保険や地震保険の活用も選択肢の1つです。

    火災保険・地震保険のポイント

    • 火災保険:火災、落雷、爆発、風災などの損害を補償
      ※地震や津波による損害は補償外
    • 地震保険:火災保険に付帯して加入。地震・噴火・津波による家屋・家財の損害を補償
      ※保険金額は火災保険の30~50%が上限
    • 居住不能信用費用保険:被災後、住めなくなった期間の住宅ローン返済相当額を補償

    POINT

    保険の補償範囲や保険金額は契約内容によって異なるため、日頃から見直しや確認をしておくことが大切です。

    生活面・教育面・仕事面の特別支援

    被災後は住まいだけでなく、仕事や子供の就学、生活資金にも不安が生じることがあります。

    生活・雇用・教育の支援

    • 災害弔慰金・障害見舞金:災害による死亡・障害の際に支給
    • 雇用保険の特例給付:事業所が休業や倒産になった場合の、失業手当や未払賃金立替払い
    • 学用品・教科書無償支給、就学援助、授業料減免:子供の学用品や給食費、授業料などを支援
    • 税金や社会保険料の減免・猶予:所得税の雑損控除や減免、保険料の支払い猶予など

    POINT

    これらの多くも「罹災証明書」の提出が必要です。被災直後は各種窓口が混雑するため、申請は早めに行いましょう。

    まとめ

    急な災害や火事で家を失うことは、誰にとっても想像を絶するほどショッキングな出来事です。しかし、支援制度などの知識があるかどうかで、その後の生活再建の道のりは大きく変わります。

    • 被災時はまず「罹災証明書」を取得
    • 公的支援金や融資、仮設住宅の利用が可能
    • 住宅ローンは原則残るが、債務整理ガイドラインで減免も
    • 火災保険・地震保険など民間保険の備えも重要
    • 生活・教育・雇用の支援も受けられる
       

    少しの準備が、大きな安心につながります。

    「自分には関係ない」と思わず、ぜひこの機会に、もしものときの備えと行動シミュレーションをしてみてください。

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