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2026

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    東京ドームが「文学」で仕掛ける熱狂。新感覚アプリ『コトアム』が目指す、創作のセーフティネット

    東京ドームが「文学」で仕掛ける熱狂。新感覚アプリ『コトアム』が目指す、創作のセーフティネット

    スマホで「ことば」を編む。若年層を惹きつけるプレイリストの魔力

     スマートフォンで「ことば」を投稿し、編んで楽しむ新感覚SNSアプリ『コトアム』。同アプリの最大の特徴は、作品を生み出す「書き手」と、それを味わう「読み手」の双方が主役になれる体験設計にあるという。

     書き手は、詩歌や小説、エッセイ、さらには日常の日記やおすすめの本の紹介まで、あらゆる「ことば」を自由に投稿できる。一方で読み手は、アプリ内の無数の作品からお気に入りのことばを集め、「プレイリスト」としてまとめることが可能だ。

     これは、自分だけの「アンソロジー(選集)」を編むような体験であり、作成したプレイリストはアプリ内だけでなく「X」などの外部SNSでシェアして楽しむこともできる。

     リリースから1年で1万ダウンロードを突破し、現在では10代〜30代の若年層がユーザーの約8割を占めるなど、着実に支持を広げている同アプリ。単なる作品投稿にとどまらず、独自の「プレイリスト機能」を搭載したことで、読み手の側にも新たな創作意欲を呼び起こす。『コトアム』は、これまでにない新たな価値を提供するプロダクトとして、文学のあり方を変えようとしている。

    巨大空間の熱狂を手のひらへ。東京ドームが挑む「異色の新事業」

     『コトアム』は、株式会社東京ドームの社内新規事業提案制度「mokuMOKU」から誕生した事業化第1号案件だ。

     東京ドームといえば、野球やコンサートなど、巨大なリアル空間で数万人の「熱狂」を生み出してきた企業である。一見すると、個人の内省的な営みである「文学」やデジタルの「アプリ」は、既存事業と真逆の領域に思えるだろう。

     しかし、エンターテインメントの本質が「クリエイターの表現」と「それを支持するファンの熱量」が交差するコミュニティづくりにあるならば、両者は同じ構造を持っているといえる。同社が「ことば」の領域に目を向けた背景には、企画者であり開発担当である木村氏の強い原体験があった。

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     「私自身、もともと31字の短い文学・短歌の創作者でした」と、木村氏は振り返る。

     かつてX(旧Twitter)で作品を投稿していた木村氏は、インプレッションがフォロワー数に左右されたり、「いいね」がついても二度と読み返されなかったりすることに虚しさを感じていたという。「魂を込めて作った作品がタイムラインに流れて、忘れ去られてしまう。創作者としてやるせない思いがありました」と語る。

     周囲の創作者へのヒアリングでも、多くの人が同じ悩みを抱え、中には創作をやめてしまった人もいた。「私は詩歌を読んだり創作したりする中で救われてきた人間です。だからこそ、筆を折ってしまう人を引き留め、その後、花咲くような世界を作りたい。それが『コトアム』を立ち上げた原点です」と、その想いを明かした。

    300人の声から見えた現実。ECサイト構想からの「大胆なピボット」

     実は『コトアム』の事業モデルは、当初の構想とは大きく異なっている。mokuMOKUの第2期でグランプリを獲得した際のアイデアは、「自費出版の文学作品を売買できるECプラットフォーム」だった。

     「作品が人の手に渡って大切にされる」ことは「本を売買する」ことで解決できると考え、自費出版を行う約300名へのヒアリングを重ねて企画を練り上げた。しかし、事業化へ向けて動き出した矢先、大きな壁に直面する。

     オンラインで文学作品を販売する個人書店にインタビューしたところ、「魅力的な本を揃えても、オンラインでは1日に1冊も売れない日がある」という厳しい現実を突きつけられたのだ。

     一方で、オフラインの文学作品即売会「文学フリマ」は急激な盛り上がりを見せていた。木村氏が気づいたのは、両者の差が、人が滞留し回遊する「場」と「お祭り感」にあるということだった。

     しかし、オフラインイベントへの出展は、出版費用や参加費、遠方からの交通費など、創作者にとって負担は大きい。「この現実のギャップを知り、深く考えさせられました。大金を投じずとも人が自然と集まり、作品が大事にされる仕組みを作らなければ根本的な解決にはならない。そう気づき、ECから現在の『コトアム』の形へと大きく方向転換したのです」と、ピボットの背景を語る。

    「誰も筆を折らない」ための設計。脱・いいね機能とプレイリストの思想

     ECからSNSへと舵を切った『コトアム』だが、目指したのは既存のSNSの代替ではない。

     現代のタイムライン型SNSは、数字の可視化によるプレッシャーや消費スピードの速さにより、創作者が疲弊しやすい環境にある。だからこそ「誰も筆を折らない世界」を実現するために、徹底した心理的安全性と独自のUI/UX設計にこだわったという。

     その象徴が、一般的なSNSに欠かせない「いいね機能」の排除だ。

     「『いいね』が基準になると、どうしても『共感』や『恋愛』といったトレンドを意識した作品づくりになりがちです。私たちが目指したのは、自分と向き合い、自分だけの感性で『たった一人の誰か』に刺さればいい、と思える場所です」と木村氏は説明する。

     その代替として導入されたのが、音楽アプリから着想を得た「プレイリスト機能」だ。読み手が今の気分に合った作品やマイベストをテーマごとに編んでいく。

     「文学にプレイリストの文化を持ち込むことで、作品が読み手の手元に保管される『本』のような役割を果たします。読者にとっては『読む』先に『編む』楽しさが生まれ、創作者は『作品が誰かに届いた』という喜びを得られるのです」

     さらに、2026年7月下旬の大型アップデートでは、新たに「スキスタンプ機能」が実装された。

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     これは、ゼロからプレイリストを編むハードルが高い人向けの補助機能だという。「推・共・愛・温・美・笑・驚・涙」の8つの感情スタンプを一つ押すだけで、感情ごとに自動でプレイリストが作成される。これまで「作る人≒読む人」という閉じた世界になりがちだった詩歌の世界を、純粋な「読者」へと広げる入り口になることが期待されている。

    デジタルとリアルの融合。東京ドームが描く「文学の新しいビジネス圏」

     「誰も筆を折らない世界」を目指す『コトアム』の挑戦は、アプリの中だけにとどまらない。東京ドームという企業が手がけるからこそ可能な、オンラインの熱狂をリアルな空間へと拡張する「新たなエンターテインメント体験」こそが、本事業の真の狙いであるという。 すでに、小学館の文芸誌『GOAT』とのコラボレーションや、歌人・俵万智氏を巻き込んだ短歌賞などを展開。
    GOATコラボ詳細

     さらに、自社施設「東京ドーム天然温泉 スパ ラクーア」では、入選作を館内に展示し、温泉と短歌で心身を潤すリアルイベントも実施し、確かな手応えをつかんでいる。 スパ ラクーアでの取り組み

     こうしたリアルとデジタルの融合は、ユーザーや企業にポジティブな連鎖をもたらしている。

     「『GOAT』とのコラボでは、選者が応募作を選んでプレイリストを作る文芸賞を開催しました。参加者からは『音楽のプレイリストと同じで、作品を組み合わせて文脈を作るのは新しい発見だった』という声が寄せられました」と、木村氏は文学とプレイリストの親和性に確信を深めている。

     現在では、他業種からのタイアップ依頼も増加傾向にあるという。

     「TikTokなどの受動的なコンテンツが主流な現代において、能動的に読む文学は追いやられがちです。だからこそ、東京ドームグループの強みを活かし、タイアップを通じて『文学が日常に溶け込む世界』を実現したいと考えています」

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     最後に木村氏は、今後のビジョンについてこう結んだ。

     「単に作品を募集するだけなら他でも可能です。しかし『コトアム』なら、プレイリスト機能を活かし『読み手まで巻き込んで楽しめるコンテスト』が企画できます。現在もインスタレーション展示を伴う新しい企画が進行中です。東京ドームグループだからこそできる大規模な展開で、文学事業を牽引していきます」

     東京ドームが仕掛ける、デジタル上の「ことば」のプラットフォーム。一見すると異色の挑戦だが、その根底にある「クリエイターの熱量を守り、ファンと繋ぐ」という姿勢は、同社がリアルな場で長年培ってきたエンターテインメントの神髄そのものだ。「誰も筆を折らない世界」から、どのような新しい体験が生まれるのか。その展開に注目したい。

    ■コトアム公式サイト
    https://www.tokyo-dome.co.jp/kotoamu/
    ■コトアム公式Xアカウント
    @kotoamu_app
    ■コトアム アプリダウンロードページ
    《iOS版》
    https://apps.apple.com/jp/app/コトアム-短歌-エッセイ-小説を書く-読む短編文学アプリ/id6526468549
    《Android版》
    https://play.google.com/store/apps/details?id=com.kotoamu
    ■コトアムに関するお問い合わせ
    https://x.gd/Nm1Ck
    ■コトアムとの協業についてのお問い合わせ先
    (株)東京ドーム 新規事業室 木村
    〒112-8575 東京都文京区後楽1-3-61
    ■法人・団体様向けお問い合わせフォーム
    https://x.gd/NnQoO2

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