
スパイシーで、後味さわやか!「ケララチキンカレー...
10/12(日)
2025年
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ビジョナリー編集部 2025/09/30
戦後80年という節目を迎え、この連載を通じて、過去の教訓と未来への指針を探求してきました。最終話では、これまでの振り返りと共に、私たちが次の世代に何を伝え、どのような未来を築くべきかを考えてみたいと思います。
第二次世界大戦を迎える時、多くの困難が日本を襲っていました。明治維新以降の躍進をもってしても未だ、世界的に見ると貧しい国と思われていた日本。そのような中で先人たちが、欧米列強に負けない、世界に通用する強国を築きたいと志を抱いていたのではないかと思われます。そして、ハングリー精神をもって国力向上を目指した志は、素晴らしいものだったのではないかと想像します。
しかし、どのような理由であっても戦争によって列強との差を縮め世界に踊り出ようとした歴史は、人類の尊厳から逸脱した歴史であり、許されることではありません。そして、進んでしまった戦争の過ちは教育まで浸透し、誰も止められなくなり日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦となり尊い命を犠牲にし続けても続いていく、暗黒の歴史となりました。
今を生きる私たちができることは、過去を知り、尊い命の犠牲を伴った失敗を繰り返さないことです。世界中の紛争に対しても、世界平和を願う国であれば、どのような立場にあっても戦争反対を強く主張し、現代に戦争なき社会の実現を考えることではないでしょうか。失ったものの大きさを深く理解せず、世界中で起きている紛争に対して傍観すれば、また戦争ありきの社会に巻き込まれていく危険性もあります。当時の国民の決死の覚悟からも、戦争によって築かれるものは何もないということを、現代社会で生きる以上わからなければいけません。
使命をかけて生命の尊厳を訴え続けるには、この社会において、人生は何のためにと生き方を問い続けることが、大切であると考えます。社会で活躍する方々が力強く生きる姿が、若い世代の希望となり、高齢の世代の方々の活力となるよう、敬意を抱き願っています。
改めて、現代の日本を見てください。海外からの羨望を集めるほどに治安も良く、学力レベルも国外の環境と比較しても平均よりも上がっていると言われています。しかし一方で、社会全体での目標を見失い、自分さえ良ければいいという個人主義の波に飲み込まれているとも捉えられます。
先進国に多く見受けられる核家族社会は、利己主義的な生き方を確立していきます。そしてそのような社会は、互いに主張だけが強くなり、混乱に陥る危険性も予見されます。そのような状況下において、この豊かさは永続に続くものではないことを、客観的事実からも証明されています。
日本社会は、2030年までに超高齢化社会となり、約600万人の労働者不足が予測されております。GDPの順位も下がり続けていく日本の状況下は、平和の名のもとに徐々に国力を低下させるリスクを孕んでいます。
大前提として、戦争による問題解決を放棄するということは、大事な概念です。これを、現代を生きる私たちが当然のことのように思えるのは、先の戦争の悲惨な記憶を知っているからです。しかし、人間は強い生き物ではないため、この記憶を忘れ、例えばこの先より経済状況が悪化し、未曾有の危機に瀕した時、再び暴力という形で短絡的に解決をしようとするかもしれません。
その時にこそ、私たちの真価が問われます。それぞれ考え方や手法は違えど、一人ひとりが未来の日本を担う社会を考え、経済成長を目指し、世界の平和のためにどのように動くのか。問題解決へ向かう知恵を働きかせ、世界の平和の大使となって協力し合う必要があるのです。
また、AI時代という観点から考えても、今こそ人間の創造性や知恵が求められているときです。手塚治虫の作品『火の鳥』においては、人間は自ら考え意思決定をすることを放棄し、AIが都市の制御機能を持つようになります。そして各都市のAIの意見に相違が生まれたときに、核戦争が起こるという未来を描き出しています。
しかし、私たちは異なる未来を描き出すことができるはずです。AIを活用しつつも、人間の能力を拡張し、社会全体の福祉を向上させること。これが、これからの私たちや企業に求められる姿勢です。出光氏や松下氏が示した「人間尊重」の精神は、AI時代においても変わらぬ価値を持ち、危機を自己変革の機会として捉え、未来への礎を築くことを大切にしているのです。
この連載を通じて、私たちは過去の成功と失敗から学び、未来への道を照らすための知恵を得てきました。日本が直面した危機とそれに立ち向かう挑戦の歴史は、私たちにとって貴重な教訓です。この教訓を活かし、どのような逆境においても、人間の尊厳を守り、社会全体の生活を向上させるために努力し続けることが、私たちの責務です。未来は不確かであり、可能性に満ちていますが、あらゆる時代にも問題を乗り越え、より良い世界を築くことを目指していきたいと願います。それは、過去の偉大な先人たちが示した道に学び、彼らの精神を受け継ぎながらも、これからの時代に合った方法で前進することによって、達成されるのではないでしょうか。
戦争から学び、世界平和を導ける国民であり、社会にしていくのは私達人類の責任であり使命だと願います。