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仕事はあるのに会社が潰れる?2026年度上半期「人手不足倒産」過去最多の裏側と対応策
ビジョナリー編集部 2026/10/07
2026年度上半期(4月〜9月)における「人手不足倒産」の件数は、過去最多となる240件を記録いたしました。5年連続で前年同期を上回る形となり、深刻な問題が進んでいることが浮き彫りとなっています。
なぜ今、これほどまでに増加しているのでしょうか。本記事では、人手不足が多くなる要因を整理し、企業が講じるべき戦略と、働く個人が身を守るための具体的な対策を解説します。
人手不足が起こる背景
注目すべきは、倒産に至る変化と企業規模の偏りです。まず、大きな要因は、「人件費高騰(賃上げによる採算悪化)」です。これを要因とする倒産は130件と前年の約1.7倍に激増し、全体の半数以上を占める結果となりました。また、資本金1,000万円未満の企業が全体の約66%を占めており、体力の乏しい中小規模の事業者にリスクが集中している実態が伺えます。業界別で見ると、建設業や物流・運輸業、そしてサービス業など、いわゆる「現場主体の労働集約型産業」が全体の6割以上を占めています。
また、以下のような現象も見られています。
例えば、大企業主導で進んだ賃上げに伴う「賃上げ疲れ」です。採用難を背景に、中小企業も無理をして給与水準を引き上げざるを得ませんでした。しかし、上がった人件費をサービスや商品の価格へ十分に転嫁しきれず、結果として自社の首を絞めてしまうケースが起きています。
また、「2024年問題」の長期化による影響もあります。建設・物流業界などで時間外労働の上限規制が導入されてから2年が経過しましたが、人材確保の難航による受注抑制が常態化し、収益性が低下しています。
さらに、キーマンの離職に伴う連鎖退職も見られます。現場の要となる熟練社員が1人抜けたことをきっかけに、残された社員に負荷が集中し、それに耐えかねた他の社員も次々と辞めていく負の連鎖が起きています。
企業が生き抜くための経営戦略
単に「応募が来るのを待つ」という従来のやり方では会社を守れません。企業には、以下のような改革が求められています。
少ない人数で成果を出す「業務のDX・効率化」
人に頼り切っていた業務プロセスを見直し、AIや自動化ツールを導入する必要があります。事務作業の自動化や現場業務のデジタル化を進め、限られた人員でも同等のパフォーマンスを発揮できる体制を作り上げることが重要です。
「賃上げ」だけに頼らないエンゲージメントの向上
資金力で大手に対抗するのが難しい中小企業こそ、働きやすさや職場環境の魅力で勝負する必要があります。リモートワークの導入や柔軟なシフト設計、公平な評価制度の導入など、「この会社で働き続けたい」と感じられる環境整備が離職防止に直結します。
適正な「価格転嫁」と事業の選択・集中
人件費や原材料費の上昇分を、顧客への販売価格に反映させる交渉力が不可欠です。厳しいことではありますが、価格交渉に応じてもらえない低利益な取引からは撤退し、高い付加価値を生み出せる得意分野へ経営資源を集中させる英断が求められているかもしれません。
働く人が自らを守るためのキャリア自己防衛術
働く個人も自らのキャリアを守る視点を持たなければなりません。勤務先の倒産という事態で慌てないように、日頃から意識しておくべきポイントがあります。
まずは、「勤務先の危険なサイン」を見逃さないことです。求人広告が掲載され続けているにもかかわらず一向に人が増えない職場や、急激な業務量増加に対して適切なフォローがない場合は注意が必要です。
次に、個人としての「ポータビリティスキル(持ち出し可能なスキル)」を高めることです。自社でしか通用しないローカルルールに依存するのではなく、デジタルツールの活用スキルや、少数精鋭チームで多角的に動ける汎用的な業務遂行能力を磨くことが重要になります。
そして、日頃から自身の「市場価値」を把握しておき、勤務先が人手不足によって倒産危機に瀕したとしても、社外で評価されるスキルを持っていれば、落ち着いて次のステップへ移ることができます。
終わりに
「人を安くたくさん集めて事業を拡大する」という従来のビジネスモデルは限界を迎えています。これからの時代に求められるのは、業務の効率化と価格転嫁によって1人あたりの生産性を高め、質の高い労働環境を用意することです。
変化を恐れずに改革へと踏み切る企業と、自らの市場価値を高めて対応する個人が、この厳しい時代を切り拓いていくでしょう。


