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2026

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    「日本経済の中核を担うのは我々だ」——りそな新社長が語る、“りそなショック”の原体験と「挑戦を支える」組織づくり

    「日本経済の中核を担うのは我々だ」——りそな新社長が語る、“りそなショック”の原体験と「挑戦を支える」組織づくり

     2003年の「りそなショック」による公的資金の注入から、2016年に完済を果たし、次なる成長フェーズへと向かうりそなグループ。2026年4月に新社長に就任した千田一弘氏は、どん底の時代に支えてくれた「お客さまへの恩返し」を胸に刻み、長年法人渉外の最前線に立ってきた。

     これからのりそな銀行は、日本経済を支える中堅・中小企業に対して「深いリスクを取って挑戦を支える」と力強く語る。現場主義と従業員のモチベーションを何よりも重んじる新トップが描く、りそなの現在地と未来のビジョンを聞いた。

    「りそなショック」の原体験。お客さまへの恩返しが存在意義に

    銀行員として歩む中で、社長にとって転機となった出来事や、印象に残っているエピソードを教えてください。

     我々の世代にとって、やはり2003年の 「りそなショック」 は非常に大きな出来事でした。私は当時、大阪で勤務しており、長男が生まれた直後のタイミングでした。連日新聞で報じられ、非常に大きな不安を抱えていたことを今でも鮮明に覚えています。

     当時は先輩や同期の多くが辞めていきました。お客さまの中には取引を解消される方もいらっしゃいましたが、それ以上に「応援するから頑張れ」と励ましてくださるお客さまが非常に多かったのです。

     公的資金が注入され、世間の目も厳しい中、残った仲間たちと「我々は何故生かされたのだろう」「応援してくださるお客さまに何で返せばいいのだろう」と幾度となく語り合いました。国のためではなく、「お客さまのためになる銀行にならなければいけない」という強い決意が、我々の原点です。

     そこから公的資金を完済するまでの12年間、我々はただひたすらお客さま起点で走ってきました。しかし、当時は「公的資金の返済」という命題があり、お客さまの成長支援などに対し、十分なリスクを取ることができないという資本的な制約がありました。我々の体力や機能の不足から、規模の大きなご融資や海外展開のサポートなどで、お客さまが他行へ流れてしまうケースもありました。「お客さまに恩返しをすると言いながら、本当の意味で返しきれていないのではないか」という忸怩(じくじ)たる思い をずっと抱えていました。

    公的資金完済から10年。中堅・中小企業の「挑戦」に深いリスクを取る

    2016年に公的資金を完済されてからまもなく10年を迎えます。今後のりそな銀行が目指す姿について、どのようにお考えですか。

     昨年、我々の現在地をもう一度振り返るため、「営業改革プロジェクト」を開始しました。本部現場横断で「営業体制」「価値提供」「業務効率」「人事」「リスク管理」の5つの分野において、1年かけて変えるべきルールや仕組みを徹底的に見直しました。そして今年4月からは、それらを実行するフェーズに入っています。

     この改革の中で、公的資金注入時に仲間と語り合った我々の存在意義を現代に置き換え、「挑戦を支え、未来を動かす銀行へ」という目指すべき姿として言語化しました。

     現在、日本経済の企業数や付加価値の99%以上は中堅・中小企業が担っています。スタートアップ企業も近年増加していますが、提携の枠を超えて事業をスケール(拡大)させる段階で資金やサポートの壁にぶつかるケースが少なくありません。

     そうした中堅・中小企業やスタートアップの挑戦・成長に、我々がリスクを取って伴走することこそが、りそな銀行の存在意義です。資金を提供するだけでなく、我々のネットワークや情報を最大限に活用し、企業の成長投資においても一緒にリスクを取る。日本経済の底上げとなる中堅・中小企業を中核となって支えるのは、リテールに注力してきた、我々りそな銀行なのだという強い思いを持っています。

    企業の再生、そして「一企業の先」にある地域社会への責任

    「一緒にリスクを取る」という点において、具体的な原体験となったお仕事はありますか。

     かつて、ある地方都市で手掛けた企業再生案件が、私の視座を大きく変える転機となりました。

     私は「取引先企業の再生案件」としてその実務にあたっていました。地元の地方銀行も再生に向けて、当社とともに協力をしてくれていましたが、最終的に「りそな」が下す決断が、この案件全体の成否、ひいてはその企業の命運を分けるという非常に緊迫した状況だったのです。

     プレッシャーの中で苦闘しながらも、案件は見事に成功を収めました。本当にホッとしたのを覚えています。しかし、ドラマはその後にありました。後日、その都市の市長や、非常に多くの市民の皆さまから直接、「今回、本当にありがとうね」と、深く感謝されたのです。

     ハッとしました。その時に守られたのは、 単なる一企業ではなく、そこで働く膨大な数の「雇用」そのもの だったからです。それまでは目の前の「一取引先企業」だけを見ていましたが、その企業の先には多くの「従業員の方々」がおり、さらにその先には「従業員の家族の皆さま」の暮らしがある。そして自分たちの下す判断が、 「地域経済の基盤そのものを支えている」 という事実を、肌で実感しました。金融が背負う重大な責任と、これ以上ないやりがいを知った、私の大切な経験となりました。

    失敗を恐れず、現場で考え判断する。従業員の挑戦を後押しするカルチャー

    お客さまの挑戦を支え、深いリスクを取るためには、現場の従業員の皆さまの意識改革も重要になりそうですね。

     おっしゃる通りです。過去の延長線上にある、失敗を恐れるカルチャーのままでは、企業の成長を支えることはできません。 「従業員が挑戦して失敗しても、その挑戦に向けた行動や挑戦する姿勢を評価する。」 というメッセージを強く打ち出しています。行動したこと自体をプラスに評価し、その結果は分けて考える。結果だけを見るのではなく、プロセスもしっかりと評価する制度への転換 を進めています。

     もう一つ重要なのは、現場で自ら考え、判断し、行動できる権限を持たせる ことです。行き過ぎたルールを見直し、現場に権限と責任を委譲していきたいと考えています。いちいち本部にお伺いを立てる銀行は強くならないですし、何よりお客さまを理解しているのは現場です。

     組織の強さとは、単なる人数の合計ではなく、「モチベーションの高い従業員がどれだけいるか」の総和です。管理職には、部下に関心を持ち、将来像を共有してほしいと伝えています。私が大切にしているのは「誠実さ」です。客観的に自分を見つめ直す謙虚さを持ちながら、親しみやすく、誰とでも話しやすい雰囲気を作る。お客さまに対して「誠実」であり続けることこそが、我々の最大の武器 なのです。

    デジタル時代だからこそ高まる「人の価値」。誠実さと親しみやすさを武器に

    デジタル化が進む中で、今後の店舗のあり方や、お客さまとの向き合い方についてはどのようにお考えでしょうか。

     時代とともに店舗も変わってきています。かつては事務手続き拠点でしかなかった店舗が、これからは「お客さまとの接点を持てる場」になっていくでしょう。

     もちろんデジタル化は進めますし、スマートフォンのアプリで完結できる取引は増えています。住宅ローンの手続きでさえ、今や一度も対面せずにweb上で融資実行まで可能です。しかし、人生で一番大きな買い物をする際、「本当に一度も人に相談しなくていいのだろうか」と不安に感じるお客さまは数多くいらっしゃいます。 AIなどのテクノロジーが進化すればするほど、逆に 「リアルな人の価値」はますます高まっていく と私は確信しています。AIにはない「創造力」や、お客さまの顔色やその場の「空気」を感じ取る力は、我々人間にしかありません。だからこそ、我々は従業員という「人財」を何よりも大切にしなければならないのです。

     昨年にはベトナムのハノイ、アメリカのロサンゼルスに新たな海外駐在員事務所も開設しました。お客さまが世界へ出て活躍している以上、我々もグローバルなサポート体制を強化していきます。

     良質なバランスシートと、これまでに培ってきた親しみやすさや誠実さ。そして、より深いリスクを取れる人財の成長。りそなグループには、まだまだ大きな伸びしろがあります。 また、今年は新しい中期経営計画「Shift to the Next Stage ―新たなカタチをつくる3年間―」がスタートしました。お客さまとともに成長し、日本経済の底上げに貢献していくこれからの3年間を、私自身とても楽しみにしています。

    #りそな銀行#りそなグループ#千田一弘#トップインタビュー#日本経済#人的資本経営#銀行の将来

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