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「新商品デビュー」から「持続的な成長」へ。Makuake5万件以上のデータと現場から紐解く、地方製造業が直面する構造的課題と変革への道
ビジョナリー編集部 2026/10/09
原材料高騰や人口減少に伴う国内市場の縮小など、地方のものづくり企業は既存のビジネスモデルからの脱却を迫られている。しかし、BtoB主体の構造やリソース不足が足かせとなり、自社主導の新事業展開に一歩を踏み出せない企業も少なくない。
これまで5万件以上のプロジェクトを見てきたマクアケの常務執行役員であり「Makuake」事業責任者の松岡宏治氏は、地方企業が陥りがちな構造的ボトルネックをどう分析しているのか。単なる先行販売に終わらせず、テストマーケティングから顧客獲得、事業の組織変革へとつなげる「共創循環モデル」のビジネスロジックを紐解く。
既存モデルの限界と、地方企業を縛る「リソースの構造的ボトルネック」
ー現在、地方の製造業・ものづくり企業が直面している外部環境の変化と経営上の構造的課題についてどう分析されているか。
松岡氏:マクロ環境視点から、人口減少に伴う労働力不足と人件費上昇、さらに地政学リスクや為替・関税等の外圧による原材料費の高騰がダイレクトに経営を圧迫しています。いわゆるコストプッシュ型の構造の中で利益率を維持・向上させることが極めて困難になっています。
トップライン(売上)を伸ばすには「単価×数量」の再定義が必要ですが、国内の消費人口自体が減っているため、従来と同じ手法で「数」を追うモデルは立ち行かなくなっています。
また、従来のBtoB下請け取引や中間流通を挟む流通構造では価格決定権が自社になく、利益率を高めにくい仕組みになっています。そのため、自社で価格決定権を持てる分野を特定し単価を引き上げる、自社主導で直接消費者に届けるD2C・新規事業の柱を立てる、あるいはグローバル市場に展開する、など事業構造のシフトが必然的に求められている状況です。
ー新しい事業展開の必要性を理解しながらも、実行に移せない企業が多い構造的・組織的な要因はどこにあるか。
松岡氏:本質的な要因は「新規事業に割くリソース(人財)の不足」と「既存事業とのインセンティブの不一致」にあります。地方都市では採用市場の流動性が低く、新規事業を専任で担当できる人材の確保が容易ではありません。既存事業で手一杯の現場にトップダウンで指示を出しても、短期的なオペレーションが優先され、不確実性の高い新規の取り組みは後回しにされてしまうのが実態です。
この構造を打破している企業の多くは、事業承継のタイミングにある「後継者」がキーマンとなっています。10〜30年という中長期の経営責任を負う後継者は、既存事業の延長だけでは会社が持続しないというリスクを当事者として認知できるため、リソースを未来の教育や投資に振るという合理的な判断を下すことができます。
一方、老舗企業の事業承継だけでなく、ゼロから地方で創業するスタートアップの参入も注目されます。福島県南相馬市や浪江町などでクラフトサケを手がけるhaccobaのように、人口が減少した地域を新しいチャレンジができる機会と捉え、自治体や地域の人間関係を巻き込んで新事業を立ち上げるプレイヤーの登場も、地方の産業構造に刺激を与えています。
仮説検証から一気通貫のグロースへ。実績が証明する「愛される先進企業」への変革プロセス
ー「Makuake」を活用して企業の事業構造そのものを変革させた事例について教えてください。
松岡氏:例えば、樹脂製品メーカーの石川樹脂工業様(ブランド名:ARAS)の事例では、下請け主体の利益率や不透明な市場環境から脱却すべく、自社直販の新ブランド立ち上げを行いました。
当時、高価格帯のプロダクトであったため「実際に市場に受け入れられるか」という仮説の検証が必要でした。そこで「Makuake」を通じて事前テストマーケティングを実施したところ、市場の受容性と適正価格の検証、初期顧客の獲得という客観的な数値データと確信を得ることができたんです。
この初期の成功体験とデータに基づき、経営陣はデジタルマーケティングや成長施策へ本格的な投資を決断。立ち上げ当初から事業規模を飛躍的に成長させ、収益構造の転換に成功されています。
ー「Makuake」での実施結果が、一般流通や会社組織全体にどのようなインパクトを与えますか。 松岡氏:「Makuake」を活用するメリットは、マーケティング・検証・販売・顧客対応・物流といった「EC/D2C事業に必要な全工程の検証」を一気通貫で完結できる点にあります。
第一に、初期段階で数百個規模の注文(需要)をまとめて獲得できるため、ロットや配送コストの最適化、検品フローの実証をリスク最小限で行うことができます。 第二に、「Makuake」で獲得した初速の売上実績と熱量あるユーザー評価は、大手ECモールや全国の大手量販店・百貨店等のバイヤーに対する最も強力な営業エビデンスとなります。
さらに定性面では、自社製品に対するユーザーからのダイレクトな評価や感謝の声が社内にフィードバックされることで、硬直化していた組織文化が自社ブランドへの自負と能動的な挑戦体質へと変容する効果も確認されています。
挑戦のハードルを下げる構造改革。マクアケが提示する「PDGサイクル」と持続的エコシステム
ーマクアケが地方企業の伴走に力を入れる経営上の狙いと、プラットフォームとしてのエコシステムについてお聞かせください。
松岡氏:日本の産業構造において、高い技術力や素材、製造基盤(サプライチェーン)が集積しているのは間違いなく地方都市です。これらの資産が活かされずに縮小することは、日本全体の経済競争力低下を意味します。
そこでマクアケが目指しているのは、単発の資金調達やマーケティングのためツール(点)ではなく、新商品の企画(Plan)・デビュー(Debut)・拡販(Growth)という挑戦のサイクル(PDGサイクル)を回転させる持続的なプラットフォーム(線)の確立です。
このサイクルを回すことで、得た利益と知見を基に事業者が次の挑戦を繰り返すという「持続的な成長循環」の定着を目指しています。
ー最後に、事業変革や全国展開へ一歩を踏み出せずにいる経営層に向けて、ビジネス視点での提言をお願いします。
松岡氏:一足飛びに大規模な投資を行う必要はありません。まずは50人〜100人程度の初期ファンをターゲットに最小単位で事業性を検証し、小さな挑戦から始めるべきです。
国内に様々な産業のサプライチェーンが整っていること自体が、これからのAI時代における大きな価値になりうると考えています。作るものや販売先など、ビジネスモデルをアップデートすれば、Makuakeを活用して飛躍されている企業のように、全国へ展開できる可能性は十分にあると考えています。マクアケはその最初の一歩のリスクを抑え、成長までを一気通貫で共創するパートナーとして、全国の挑戦者を支援していきます。


