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2025

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    打倒ハイブランド! じゃない。新興レザーブランドMackerel Grand(マカレルグランド)が描く、日本のモノづくりの未来図

    打倒ハイブランド! じゃない。新興レザーブランドMackerel Grand(マカレルグランド)が描く、日本のモノづくりの未来図

    経営者必見!日本の未来を創る新興成長企業特集

    衰退する日本の皮革産業――新興ブランドMackerel Grandが描く未来図

    日本の皮革産業が、今まさに岐路に立たされている。1990年代に約2兆円規模を誇った日本の皮革製品出荷額は、2025年には5分の1以下にまで減少。その一方で輸入品は増加の一途をたどり、今や市場の約8割を海外製品が占めるまでになっているという。

    新興レザーブランドであるMackerel Grandは、この厳しい状況の要因を、生産コストの低い海外製品の進出と、海外ハイブランドへの人気集中にあると分析する。実際に、皮革製品の輸入国は1位が中国、そして多くのハイブランドを擁するフランス、イタリアが続く。

    問題は国外だけではない。国内に目を向ければ、サプライチェーンの分断と、製造を担う職人の高齢化が深刻だ。技術継承は困難を極め、「10数年後には皮革製品を国内で製造すること自体が困難になる」という声さえあるという。

    さらに、円安や海外の物価高騰は、品質の高い北米や欧州の原皮(革に加工する前の素材)の価格高騰に直結し、製造コストを圧迫。これもまた、国内ブランドの価格競争力を削ぐ要因となっている。

    逆境だからこそ活きる、日本のモノづくりの底力

    こうした状況の中、Mackerel Grandは、日本の皮革産業が生き残るためには、ブランディングへの取り組み強化が不可欠だと指摘する。国内で生産される革は、世界的に見ても高い評価を受けているにもかかわらず、その価値が消費者に十分に伝わっておらず、高い付加価値を訴求できていないのが現実だ。

    また、欧米のハイブランドが調達基準とするLWG(Leather Working Group)認証(革の生産工程における環境対策を審査する国際認証)を持つタンナーが、国内にわずか7社しか存在しない点も、本格的な海外進出への障壁となっているという。 記事内画像 しかし、Mackerel Grandは、それでもなお日本のモノづくりには世界に通用する強みがあると語る。

    「日本のモノづくりの強みは、多様な技術の蓄積、作り手と消費者が連携して作り込みを行う開発力、三現主義による課題解決能力、そして何よりも、より良い製品を作ろうとする情熱です。既存製品に満足することなく常に改善するという思想こそが、最大の財産だと感じています」

    同社は、日本が長年かけて培ってきた高い技術を駆使し、細部にまでこだわった丁寧なモノづくりをすることで、社会に貢献することを一番の目標に掲げている。課題は山積しているが、現場の力で美しい製品を作り上げる日本のモノづくりの強みを活かせば、必ず消費者に響くはずだと考えているようだ。 記事内画像

    業界再生の鍵は「コーペティション」

    では、具体的にどのような手を打つべきなのか。Mackerel Grandが提唱するのが「コーペティション」という考え方だ。これは、Competition(競争)とCooperation(協調)を組み合わせた造語で、競合同士が互いの利益になる分野では協力し合う戦略を指す。

    「これまでは、同産業内の企業は争うべきライバルでした。しかし、多くの課題を抱える今、日本の皮革産業は、市場のパイを奪回するという共通の目的のため、大きな視点で有機的に手を組むべきです」

    タンナー、革の卸売業者、そして我々のようなレザーブランドが連携し、コーペティションによって生まれた製品を海外の見本市やインバウンド施策を通じて世界に発信していく。そうして初めて、日本の皮革製品のブランディングが確立できるのではないか、と同社は考えている。 記事内画像

    目指すは「アフォーダブル・ラグジュアリー」

    業界全体の未来を見据えつつ、Mackerel Grandは自社の進むべき道も明確に定めている。それが、「アフォーダブル・ラグジュアリー・ブランド」という立ち位置だ。

    日本の市場は、ファストファッションのような低価格帯と、海外のハイブランドという高価格帯に二極化しており、その中間で独自性と高品質を確立することは容易ではない。

    しかし、Mackerel Grandは、ハイブランドのような高級感と品質を保ちながらも、より消費者の手に届きやすい価格帯を実現することで、新たな価値を提供できると確信しているという。

    「単にモノを売ることだけが目的ではありません。日本の皮革産業に貢献するとともに、消費者の皆様に心から喜んでいただける、価値の高い製品を提供することを目指しています」

    衰退が叫ばれて久しい日本の皮革産業。しかし、その伝統と技術を胸に、未来を見据えるプレイヤーの登場は、市場に新たな風を吹き込む一筋の光明となるかもしれない。 記事内画像 Mackerel Grand
    mackerel-grand.myshopify.com

    Instagram
    https://www.instagram.com/mackerelgrand/

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