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【解説】株価算定(株式評価)とは?3つの計算手法とビジネス・生活への影響
ビジョナリー編集部 2026/09/24
「株価の算定」と聞くと、大企業のM&Aや上場企業だけの特別なものと感じるかもしれません。しかし実際には、自社の適正な価値を知って資金調達や事業承継をスムーズに進めたり、個人の資産運用や相続対策の方向性を決めたりする上で、重要な手続きです。
本記事では、全体像から生活への影響、代表的な算定方法の違いまで、分かりやすく解説します。
なぜ必要なのか?その重要性と役割
株価算定(バリュエーション)とは、会社の財務状況や将来生み出す利益をもとに、株式1株あたりの適正な価値を算出する手続きのことです。
上場企業であれば、株式市場で日々価格が形成されるため明白ですが、99%以上を占める未上場企業には市場価格が存在しません。そのため、客観的な計算ロジックを用いて可視化する必要があります。
例えば、株式を売買する際に相場より著しく低い価格で取引すると、税務署から「実質的な贈与」とみなされ、意図しない課税(みなし贈与課税)が発生することがあります。
第三者が納得する根拠(フェアバリュー)を用意することは、法的なトラブルや税務リスクを回避し、円滑な交渉を進めるために不可欠なのです。
「仕事」と「生活」に与える影響
経営者や担当者の仕事だけでなく、個人としての生活や資産形成にも影響を与えます。
ビジネス(仕事)への影響
まずは、M&Aや事業譲渡の場面です。売り手は「少しでも高く売りたい」、買い手は「適正価格で買いたい」と考えます。双方が納得して契約を結ぶためには、第三者が見ても合理的な株価算定書が交渉の土台となります。
また、スタートアップやベンチャー企業の資金調達の場面でも重要です。投資家から出資を受ける際、自社のバリュエーション(企業評価額)が高ければ、少ない株式の放出で多くの資金を調達できます。
さらに、優秀な人材を獲得するための「ストックオプション(新株予約権)」の付与価格決定にも、正確な算定が欠かせません。
個人(生活)への影響
代表的なのが「事業承継と相続税対策」です。親が経営する会社の株式を子が引き継ぐ際、会社の業績が良いと株式の評価額が高騰し、大きな相続税や贈与税が課される可能性があります。事前に把握しておけば、生前贈与や株価引下げ対策を計画的に進めることが可能です。
また、個人の資産形成において株式投資を行う際も、会社の純資産や利益から算定される理論株価を知ることで、「現在の市場価格が本来の価値より割安かどうか」を冷静に判断する軸が持てるようになります。
主要な3つのアプローチ
算出するアプローチは、大きく分けて「インカム・アプローチ」「マーケット・アプローチ」「コスト・アプローチ」に分類されます。
インカム・アプローチ(将来の稼ぐ力に着目)
会社が「将来どれだけのキャッシュ(現金)を生み出すか」という収益力に着目して算定する方法です。代表手法である「DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法」では、将来の事業計画書をもとに期待されるキャッシュフローを算出し、それを現在の価値に割り引いて評価します。
成長性を評価に反映できる点がメリットであり、イノベーションを追求するスタートアップやIT企業の評価に広く用いられます。一方で、事業計画の精度によって試算結果が大きく変動するという難しさも持ち合わせています。
マーケット・アプローチ(市場の相場に着目)
株式市場や過去の類似取引など、「客観的な市場の価格」と比較して評価する方法です。よく使われる「類似会社比較法(マルチプル法)」では、事業内容や規模が似ている上場企業を選び、その企業の株価指標(PERやEBITDA倍率など)を参考に算出します。
市場の取引実態に基づいているため客観性が高く、納得感を得やすいのが強みです。ただし、自社と類似した上場企業を見つけるのが難しい場合もあります。
コスト・アプローチ(現在の財産価値に着目)
会社の「現在の純資産(資産から負債を引いた額)」をベースに計算する方法です。代表的な「時価純資産法」では、会社が保有する不動産や有価証券などの資産・負債を時価で評価し直して算出します。
帳簿や資産データをもとに計算するため客観的で理解しやすい利点がありますが、将来の稼ぐ力やブランド力といった「目に見えない強み」が評価に反映されにくい欠点があります。
状況に応じた手法の選び方と実務でのポイント
実務において、これらの手法は単体で使われるとは限りません。評価の精度を高めるため、複数の手法を組み合わせて多角的に分析するのが一般的です。
例えば、M&Aの現場では「DCF法」で将来性を試算しつつ、「類似会社比較法」で市場の相場観を確認し、交渉の価格帯を決定します。
一方、同族企業の事業承継や相続税の計算においては、国税庁が定める「財産評価基本通達(類似業種比準方式や純資産価額方式)」という独自の基準に従って計算する必要があります。
目的が「税務申告」なのか「買収交渉」なのかによって、選択すべき評価軸が異なる点に注意が必要です。
終わりに
会社が歩んできた歴史や積み上げた資産、そして未来への可能性を数値化し、関係者が次のステップへ踏み出すための重要な指標が、「株価」です。
資金調達やM&A、将来の相続対策など、目的に応じて最適なアプローチを選択することが成功の第一歩となります。自社の正確な価値を把握し、未来に向けた意思決定に役立てましょう。


