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「披露したくない」けれど「残したい」。一見矛盾する若者の心理から紐解く、現代フォトウェディングの正体
ビジョナリー編集部 2026/02/10
フォトウェディング実施者の半数以上は挙式予定がない
結婚式を挙げないという選択は、もはや珍しい現象ではなくなりました。
ウェディングフォトスタジオ「studio LUMINOUS(スタジオルミナス)」が2025年の成約者を対象に行ったアンケートでは、その実態が浮き彫りになっています。「挙式予定がある」と回答したのは26.9%にとどまり、「実施済み」の1.1%を合わせても3割に満たない。一方で、「予定はない」が51.1%、「未定」が21.0%という結果になったというのです。
数字だけを捉えれば、「結婚式の代わりとしての写真」という解釈になるかもしれません。
挙式をしない理由として多く挙げられるのは、「経済的負担」や「人前で披露したくない」、「周囲への配慮が負担」といった切実な声です。その一方で、同アンケートの「フォトウェディングを選ぶ理由」の第1位は「結婚式・結婚の記念として残したいと思ったこと」でした。
人前に出ることは避けたいが、写真の中では"主役"としてカメラの前に立ちたい。一見すると矛盾しているようにも思えるこの選択。しかし、現代のカップルにとって、この両立は極めて合理的なものだといいます。

"見せ方"は、自分たちで選びたい
その背景にあるのは、「主役になること」と「披露すること」を、必ずしもセットで考えなくてもいいという価値観の変化です。
かつて、結婚という人生の一大イベントにおいて、この2つは分かちがたく結びついていました。しかし結婚式という場は、招待状を送った瞬間から、誰に見せるか、どう祝われるかを当事者がコントロールすることが難しくなる側面があります。親族、友人、職場――異なる関係性が一堂に会することで、ふたりの意思とは別に、周囲からの「期待」や「役割」に応えざるを得ない場面が生まれてしまうからです。
対して、フォトウェディングは決定権が自分たちにあります。「誰に見せるか」「いつ公開するか」、あるいは「自分たちだけの宝物にするか」。そのすべてを自分たちで設計できるのが大きな魅力だといえるでしょう。
スタジオルミナス統括部部長の阿原千明さんは、この変化を次のように分析しています。
「結婚式は、親御様への感謝を伝える場として今も大切にされています。だからこそ、周囲の意向を汲み取らざるを得ない場面も多く存在します。対してフォトウェディングは、それぞれの場所で自分をどう見せたいかを選択できます。純粋な『自己表現の場』になり得るのです」
特に新婦のドレス選びには、その傾向が顕著だといいます。「結婚式では親族の意見を取り入れたから、フォトウェディングは自分の好きなドレスを選ぶ」という声も現場ではよく聞かれるそうです。

「伝え方」を自分たちで描き、ふたりの「今」を定義する
さらに近年は、フォトウェディングで撮影した写真の「使い道」そのものも進化していると阿原さんは指摘します。
「以前は、前撮り写真の用途といえば式場装飾や映像素材としての活用にとどまっていました。でも今は、招待状のWEB化やSNSでの報告が一般化したことで、写真そのものが『結婚を伝える手段』として機能するようになっています。また、伝え方の手段としては静止画だけではなく、動画を組み合わせるケースも増えてきています」
背筋を伸ばして撮った1枚の写真は、ある時はSNSでの軽やかな報告になり、ある時は親御様の手元で一生大切にされる宝物になる。フォトウェディングとは、自分たちの手で納得感を持って人生の節目をつくる、「新しい結婚報告の形」そのものといえそうです。

フォトウェディングは人生の新しい表現法
結婚というライフイベントの内容が同じでも、それをどう表現し、どう残し、どう伝えるか。現代には多様な選択肢が生まれています。
フォトウェディングという選択。そこには、「見せるかどうか」「どう見せるか」を他人に委ねないという、今の時代らしい自律した意思が確かに宿っているようです。


