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2025

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    子どものSNSが危ない!10代に広がる“遊びの乗っ取り”と親が知るべき対策

    子どものSNSが危ない!10代に広がる“遊びの乗っ取り”と親が知るべき対策

    ある日、何気なくスマートフォンを手に取ると、見知らぬメッセージが送信されていたり、SNSにログインできなくなっていたりすることが、実は誰にでも起こりうる現実となっています。

    SNS乗っ取りの相談件数は年々増加し、特に2024〜2025年は金融アカウントとSNSの連携が進んだことで、被害が深刻化しています。

    最近では、友人や家族とのやり取りだけでなく、ビジネスや情報発信、自己表現の場としても重要なSNS。そのアカウントを乗っ取られてしまったとき、どんなリスクがあり、どう守るべきなのでしょうか。今回は、具体的な被害例や手口、そして今すぐできる対策まで、最新事情を踏まえて解説します。

    スマホネイティブ世代による「遊び感覚」のアカウント乗っ取り

    “SNSの乗っ取り”と聞くと、多くの方はハッカーやサイバー犯罪者の仕業を想像されるかもしれません。しかし、現代のSNS乗っ取りは遠い世界の出来事ではありません。特にスマートフォンが身近なZ世代――つまり10代の若者たちの間では、友人のSNSアカウントを“遊び半分”で乗っ取る行為が広がっています。

    実際に、InstagramやLINEなどを使いこなす中高生の間では、「あいつのアカウントを乗っ取った!」と自慢げに話すケースも見受けられます。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。理由の一つは、パスワードの予想が容易なことです。誕生日やニックネーム、好きな芸能人やペットの名前など、身近な人なら当てやすいパスワードを使っていることが多いからです。

    「友達だからわかるでしょ?」という軽い気持ちでログインを試し、うまくいくとストーリーズで乗っ取りを宣言したり、勝手にメッセージを送ったり。本人の許可なくこうした行為をすることは、明確な“違法行為”であり、「不正アクセス禁止法」に抵触します。遊び感覚であっても、最大で3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される犯罪なのです。こうしたことの背景には、若者の承認欲求、冗談と本気との境界線の薄れ、罪悪感の希薄化などがあると考えられています。

    乗っ取り被害がもたらすリスク

    SNSアカウントを乗っ取られると、どれほど深刻な被害を生むでしょうか。

    第一に考えられるのは、プライバシーの侵害です。たとえば、ある女子中学生は半年もの間、男子同級生にDMを覗かれていたことが後に発覚しました。ふとした違和感から周囲に相談したことで露見しましたが、気付かなければ個人的な会話や写真、交友関係まで筒抜けだった可能性があります。

    さらに、乗っ取られたアカウントで悪意ある投稿やメッセージが送られると、本人の知らないところで誤情報の拡散や、友人・知人への詐欺被害、誹謗中傷に利用されてしまうことも考えられます。社会的信頼が損なわれたり、思わぬトラブルに巻き込まれる危険性も無視できません。

    また、企業や有名人のSNSが乗っ取られた場合、ブランドイメージの低下や情報漏洩、金銭的な被害にもつながります。個人でも、オンライン決済や会員サイトとSNSアカウントが連携していれば、クレジットカード情報や個人データの流出につながる事例も報告されています。

    乗っ取りの進化する手口

    昔は単純なパスワード総当たりや、メールでのフィッシング詐欺が主流でした。しかし最近はさらに手口が高度化しています。

    たとえば、検索サイトの広告枠を悪用した「SEOポイズニング」。銀行名やカスタマーサポートで検索した際、正規サイトそっくりの偽サイトが上位表示され、無意識にアクセスしてしまうケースが増えています。デザインやURLも本物そっくりで、気付かずにログイン情報を入力してしまうケースがあります。

    また、SMSやメールで送られるワンタイムパスワード(OTP)を狙う“OTPボット”の存在も無視できません。偽サイトでIDとパスワードを入力すると、攻撃者がリアルタイムで正規サイトにアクセスし、あなたのスマホに届いた認証コードを電話などで巧妙に聞き出します。緊急を装い「今届いたコードを教えてください」と言われ、焦って伝えてしまうと、あっという間にアカウントが奪われてしまうのです。

    さらに、SNS連携アプリの悪用や、LINEで家族・友人になりすまし暗証番号を聞き出す手口など、手法は多岐にわたります。

    乗っ取られたとき、どうすればいい?

    もしもアカウントが乗っ取られた、もしくは「おかしい」と感じたら、まずは冷静に状況を確認しましょう。

    自分の投稿やDMに身に覚えのない内容がないか、ログイン履歴や情報変更通知が届いていないかをチェックしてください。身に覚えのない場所からのアクセスや、突然ログイン出来なくなる、勝手な投稿・フォロー・フォロー解除などがあった場合は、早急な対処が必要です。

    各SNSごとに対策方法は異なりますが、共通して言えるのは「パスワードの変更」「外部アプリの連携解除」「運営元への通報」です。ログインができない場合は、ヘルプセンターやサポートに連絡し、アカウント復旧の手続きを進めてください。InstagramやFacebook、LINE、Googleなど、それぞれ公式の復旧方法やサポート窓口が設けられています。

    また、乗っ取られている間に不正な投稿やDMが拡散されている可能性があるため、サブアカウントや他の連絡手段で友人やフォロワーに「乗っ取り被害に遭っている」旨を伝えておくと、二次被害の拡大を防げます。

    法的責任と実際の摘発例

    アカウントの乗っ取りは“犯罪”です。

    実際に、金融機関のアプリに不正アクセスして現金を引き出した中学生や、生成AIで作成したプログラムを使い大量の不正アクセスを行った高校生など、逮捕例は年々増加しています。遊び半分でやってしまう未成年こそ、注意が必要です。

    不正アクセス禁止法では、「不正アクセス罪」「不正取得罪」「不正助長罪」「不正保管罪」「不正入力要求罪」など、複数の罪が規定されており、違反が認められれば刑事罰の対象となります。たとえば、他人のIDやパスワードを無断で取得・保管したり、不正ログインを助長・要求したりする行為も犯罪です。

    また、被害が大きい場合は損害賠償請求や刑事告訴も可能です。開示請求により犯人を特定し、名誉毀損や経済的損失に対して法的責任を追及するケースも増えています。「バレなければ大丈夫」といった甘い考えは、取り返しのつかない事態を招きかねません。

    乗っ取りを防ぐ実践策

    乗っ取りの被害を未然に防ぐためには、どんな対策が有効なのでしょうか。

    まず、不審なメールやリンクを絶対に開かないこと。どんなに親しい相手や、よく見るサービスからのメッセージでも、URLを一度よく確認し、心当たりがなければ削除してください。

    次に、パスワードは“複雑で長いもの”を使いましょう。大文字・小文字・数字・記号を組み合わせ、推測されやすい単語や生年月日などは避けてください。複数のサービスで使い回すのも厳禁です。パスワード管理ツールを使うのも有効です。

    三つめは、アカウントを他人と共有しないことです。家族や恋人、親しい友人であっても、パスワードやログイン情報は教えないでください。共有は“リスクの入り口”になります。

    四つめは、多要素認証(二段階認証)の設定です。パスワードに加えてSMSや認証アプリによる追加認証を有効化することで、たとえIDやパスワードが流出しても第三者による不正ログインを大きく防げます。

    そして五つめ、セキュリティ対策ソフトの導入や、OS・アプリのアップデートを怠らないことです。常に最新の状態にしておくことで、既知の脆弱性を狙った攻撃から自身を守ることができます。

    まとめ:SNS時代の“自己防衛力”を高めよう

    SNSのアカウント乗っ取りは、技術の進化とともにますます巧妙化しています。

    大切なのは、「知ること」と「備えること」。

    今一度、ご自身のアカウント設定やパスワードを見直し、二段階認証の導入やセキュリティ習慣の徹底を心掛けてください。そして、万が一被害に遭ったときは、迅速かつ冷静に対応することが重要です。また親としては、我が子を犯罪者にしないためにも、アカウント乗っ取りは決してやってはならない犯罪であること、やってしまうとどうなるのかを、日頃子供に教えていくことが、大切です。

    安心してSNSを楽しむために、今日からすぐできる“自衛策”を始めてみてはいかがでしょうか。

    #SNS乗っ取り#アカウント乗っ取り#セキュリティ対策#不正アクセス#パスワード管理#二段階認証#情報漏洩#サイバー犯罪#SNSトラブル#ネット詐欺

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