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2026

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    「1社依存NG」の常識を覆す——パートナーとしての信頼を勝ち取るエンジニアリング力

    「1社依存NG」の常識を覆す——パートナーとしての信頼を勝ち取るエンジニアリング力

     東レの炭素繊維がボーイング787の機体に全面採用され、世界で独占的に供給し続けられている理由は、私たちが単に高性能な素材を開発し続けているから、というだけではありません。そこには、世界屈指の航空機メーカーであるボーイング社との、極めて深く、かつ戦略的な「現場での信頼関係」があります。

     前提として、アメリカの巨大企業や投資家たちは、基幹部材の調達を1社に依存することを激しく嫌います。リスク管理の観点から「他社とも組んで供給網を分散しろ」と迫ってくることが一般的です。

     複数購買することの意義は主に2つあります。一つは、一社依存ではその企業の動向次第で事業の存続が脅かされることになるという、事業の継続性に関するリスク回避です。またもう一つは、複数購買によって購買力が強化され、収益拡大に寄与するということです。

     一方、供給サイドにとっては、単独供給にすることは事業や収益の安定性の観点から非常に重要で、特許で確実にするなどの手段を講じることが一般的です。更に、踏み込んだ取り組みとして、戦略的なパートナーシップを構築することで、両社をバーチャルな一体運営にし、ともに成長発展していくことが可能になります。

     市場や顧客からの要望に応えるために、単純に供給者を増やすことを目的として競合同士で連携し、時には合弁することなども考えられますが、事業環境の変化や個社の事情等によって支障を来すことはよくあります。

     例えば半導体の分野では、革新的な高性能半導体を開発しても、採用のためには複数購買が必要と言われ、やむを得ず同業他社に技術供与することもあります。しかし、時間が経つと強い競合先となって自社の事業を脅かす存在になる場合もあります。

     ボーイング社との間では、どのようなやり方がベストかを考える中で、東レの技術力で同社の工程改善ができれば、より強固な関係が構築できるとの考えに至りました。

     そのようなことを想定して、私たちは、新しい材料の開発だけでなく、その材料を使う立場での技術開発も行い、製造プロセスの効率化と工程の安定化を、東レの技術で強力に支援できることをアピールしました。

     ボーイング社は、おそらく東レのことを「繊維を作るだけの素材メーカー」だと思い込んでいたことでしょう。しかし、私たちはその高度な自動製造装置そのものを、自社の「エンジニアリング開発センター」でゼロから設計し、自前で作り上げていたことによって、その材料が使われるときの品質を私たち自身で把握し、他社にない品質優位性を確保できたと信じています。

     以前もお話しした通り、東レには「世の中にない素材を作るために、製造装置も自作する」という、歴代の機械屋たちが築き上げてきた誇るべきエンジニアリングの伝統があります。この自社製装置の圧倒的なパフォーマンスと、プロセス効率を向上させるための共同開発プロジェクトを打ち出したことで、ボーイング社は完全に東レを「単なる部材ベンダー」ではなく「不可欠な技術パートナー」として認めるに至ったのです。この取り組みは、それから十数年経った現在も強固に続いています。

     この歴史的な共同プロジェクトが動き出した裏には、実はちょっとした巡り合わせもありました。当時、交渉のカウンターパートだったボーイング社のCTO(最高技術責任者)は、学生時代に炭素繊維を専攻していた専門家であり、しかも奥様が日本人だったのです。非常に日本への理解が深く、東レのエンジニアリングの凄みを誰よりも正当に評価してくれる人物でした。

     こうした幸運な縁をしっかりと成果に繋げられたのも、私たちが常に「他社には絶対に真似できない革新的な素材」を磨き続け、同時にそれを形にする「圧倒的な現場の設備技術」を両輪として備えていたからです。

     ただ良い素材を作るだけでは、いつか価格競争に巻き込まれ、グローバルな調達ルールの波にのまれてしまいます。顧客の製造工程そのものに入り込み、彼らの生産性を自社の技術で引き上げて、共に市場での圧倒的な優位性を維持していく。これこそが、日本の素材産業が世界で確固たる地位を守り抜き、勝ち続けるための本質的な戦略なのです。

    #東レ#東レ会長#現場主義#答えはすべて現場にある#企業共創#素材で社会を変える#日覺塾

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