
これからの日本語教師に期待される、新たな役割とは...
6/7(土)
2025年
SHARE
パスメイクホールディングス 宇坂 純 2025/06/06
MBA(経営学修士)は、日本では歴史が浅いものの、欧米においてその歴史は19世紀にまで遡る。中でもアメリカは長い歴史を誇る多彩なスクールが様々なMBAプログラムを提供しており、多くの志願者を惹きつけている。
MBAスクールの世界ランキングとして広く参照されているQS Global MBA Rankingの2025年版データが発表された。同ランキングを過去3年ごとに遡り、上位30校を国別に集計すると、アメリカが半数近くを占めていることが分かる(*1)。
国の規模や学校数からしてアメリカが突出するのは当然かもしれないが、ケースメソッド教育法、経営学教育の品質認証機関の設置、エグゼクティブMBA、オンラインMBAなど、これら世界初の取り組みは全てアメリカで始まっており、ビジネスのスピードと変化に対応した革新が行われ続けていることは米国MBAの魅力だろう。
MBAはキャリアチェンジのきっかけになる「パスポート」を取得できる一方で、特に上位校への入学に際しては競争率も高く、留学をすれば厖大な費用もかかる。それでも多くのビジネスパーソンがMBA取得を目指すのは、時間とお金に見合うリターンが得られると信じているからだ。
そこで注目したのがQS Global MBA Rankingが開示している「Return On Investment(投資利益率)」と「Employability(雇用可能性)」のスコアである。ROIはMBA取得に投じた大きなコストをその後のキャリアでいかに早く回収できるか、雇用可能性は雇用主からの大学の評判や卒業生の就職率等の複数の指標で評価されている。
世界トップ30に複数校がランクインしている上位3カ国のスクールのスコアを集計してみた。ROIではフランスが高いスコアを示しているが、全体として米国はROIと雇用可能性の両面で複数の世界上位校を持つイギリスやフランスよりも総じて高いスコアになっていることが分かる。
米国MBAスクールの雇用可能性の高さは教育内容や知名度だけではなく、企業やそこで働くアルムナイ(再雇用者)とのネットワークが強固でキャンパスでの豊富なリクルーティング機会も多い上に、米国は労働市場として高給職が豊富であることが考えられる。
例えば2025年のMBA世界ランキング1位である米国スタンフォード大学は、88%の卒業生が卒業後3カ月以内に就職できている上に、オファーされた基本給の平均は2700万円、このうち64%の卒業生は平均1450万円の業績連動賞与もオファーされている(*2)。高給職へのキャリアチェンジが実現できることが、米国MBAの高いROIと雇用可能性の数値に表れていると考えてよいだろう。
一方、近年ではMBA取得目的で米国へ留学する日本人学生数は減少している(*3)。コロナ禍を経て回復はしたものの、長期トレンドでは減少傾向にあると見てよい。円安傾向や直近では米国政府の学生ビザ発給に対する考え方の変化も見られる中、選択肢として注目されるのが米国オンラインMBAプログラムである。後編ではこの可能性について見てみたい。
宇坂 純
パスメイクホールディングス株式会社 代表取締役社長
株式会社アビタス 代表取締役社長
註:
(*1) 複数国にキャンパスがあるスクールの場合、本部が置かれている国で集計。
(*2) 出典: 2024 MBA Employment Report。1ドル=145円換算。
(*3) アクシオムによる調査。日本からのMBA留学生数の推移