アメリカのMBAを考える 後編 「選択肢としての...
SHARE
「何もない」場所からどう世界へ? 国際教養大学、20年の激闘を描いた動画が映し出す“急成長の裏側”
ビジョナリー編集部 2025/12/11
国際教養大学の「20年の軌跡」描くドキュメンタリーが金賞受賞、審査員が評価した「知られざる凄み」
国際教養大学(AIU)の開学20周年記念ドキュメンタリーが、日経BPコンサルティング大学ブランド・デザインセンター(BDCU)主催の『大学広報メディアアワード2025』動画コンテンツ部門において、最高位となる金賞を受賞したことがわかった。
異例の「英語のみの授業」「留学義務」で高等教育を先導
2004年4月に開学し、2024年で20周年を迎えた国際教養大学。「グローバルリーダーの輩出」を使命とし、日本の高等教育では異例ともいえる「すべて英語の少人数授業」や「1年間の留学義務」といった革新的なカリキュラムを導入してきた。その独自の教育環境は高く評価されており、英国の教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」(THE)による日本大学ランキング2025で総合10位にランクインしたほか、「2023年度グッドデザイン・ベスト100」を受賞するなど、日本の大学の国際化を牽引する存在として知られている。
「何もない」場所からの挑戦、卒業生が描くリアルな20年
華々しい実績の一方で、その道のりは決して平坦ではなかったようだ。
今回金賞を受賞したドキュメンタリー「国際教養大学の20年の歩み / Twenty Years of AIU」は、膨大なインタビューとアーカイブ映像を通して、その軌跡を浮き彫りにしている。
開学間もない頃から大学を支えてきた教職員や卒業生、在学生たちが語るのは、新設大学ならではの苦労や葛藤だという。「何もない」地で、前例のない道を切り拓いてきた彼らの回想は、どこか不器用でありながらも、まっすぐな情熱に満ちているとのことだ。
本作の制作にあたっては、同大の卒業生が取材・演出・編集を一貫して担当したという。故・中嶋嶺雄初代学長のテレビ放送アーカイブ映像などを分析しつつ、関係者への深度のあるインタビューを実施。世代や立場の異なる一人ひとりの記憶を重ね合わせることで、大学に受け継がれる精神と価値を映像として具現化したようだ。
また、本作は対外的な広報だけでなく、在学生や教職員などが大学の原点や進むべき方向を再認識するための「内向けの広報媒体」としての役割も意識して制作されたという。
「一大学の広報の枠を超えた」と審査員も絶賛
こうした制作姿勢と完成度の高さは、審査員からも高い評価を獲得している。
「膨大な取材量、映像の取れ高が要求されるドキュメンタリー番組に匹敵する完成度。抑えのきいた映像表現が、逆に短期間で驚くべき実績を上げてきたAIUの知られざる凄みを感じさせる。一流大学の一角を占めることに甘えないメッセージは、一大学の広報としての枠を超えて、日本の高等教育に問題を投げかけるほどのパワーを持つ。真の広報と言える一本」
国内でも類を見ないユニークな教育手法を貫き、大学変革の最前線で奮闘してきた国際教養大学。その20年の記録は、単なる広報動画にとどまらず、日本の高等教育史における貴重な資料としての価値も帯びていると言えそうだ。


