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2025

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    アメリカのMBAを考える 後編 「選択肢としてのオンラインMBA」

    アメリカのMBAを考える 後編 「選択肢としてのオンラインMBA」

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    アメリカのMBAを考える 前編 「米国MBAの魅力とは」

    世界初のオンラインMBAは米国コロラド州のアスペン大学が1987年に開始したと言われている。今日では世界各国でオンラインMBAプログラムが提供されているが、とりわけ国土の広い米国では遠隔教育技術の発展も相まって、オンラインMBAは著しい成長を遂げてきている。

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    オンラインMBAへのシフト

    この流れに拍車をかけたのがコロナ禍であった。完全オンラインMBAプログラムを提供する米国の認定校数は、2016-17年度に284校だったところからコロナ禍の2020-21年度には526校へと激増した。2025年、Poets & Quantsが発表したレポートによると2023年時点で米国オンラインMBAプログラムは732まで増加しており、MBA取得コースに在籍する学生の実に58%がオンラインで学んでいる(*1)。

    パンデミックがこの増加要因であることに疑いの余地はないが、オンラインMBAプログラムが提供する低コストと柔軟性という価値が、この勢いに拍車をかけていると言ってよいだろう。フルタイムで働きながらビジネススクールに通い、現職でのキャリアや得られる給与を諦める必要もなく、しかも学んだことをリアルタイムで現職の仕事に応用できるという大きな利点がある。

    ビジネススクールにおけるオンライン教育の普及は、学習経験だけでなく入学要件にも変化をもたらしている。例えば、アメリカの名門校パデュー大学のビジネススクールが提供するオンライン経済学修士課程(MS in Economics)は、入学要件として英語試験のスコア提出の必要がない。オンラインプログラムは様々なツールを使えば英語力のハードルを解消できるというのが同大学の入試担当による説明だ。

    もちろん最低限の英語力がなければ米国大学の修士課程を修了することはできない。現地留学であろうとオンラインであろうと同じカリキュラムで学べば得られる知識やスキルの差は本質的にはないはずで、得られる学位は同じMBAであることに変わりはない。

    米国MBA取得の好影響

    実際、日本で働きながら米国オンラインMBAを取得したことで、その後の年収アップを得ている社会人はいる。日本で唯一、米国州立大学のMBAを完全オンラインで取得できるマサチューセッツ州立大学MBA(UMass MBA)の2021年卒業生を対象に行われた調査では(*2)、卒業生の43.5%が年収1,400万円以上、約66.6%が年収増加を実現している。米国オンラインMBA取得が昇進や転職にも良い影響を与えていると言えよう。

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    日本で米国MBAを学べる環境に

    UMassオンラインMBAは、日本国内から全課程をオンラインで修了でき、学費も約32,000ドルと比較的抑えられており、条件を満たせば最大128万円の教育訓練給付金の対象にもなる。プログラムによっては学費・生活費・キャリア中断で無給になる機会費用を合わせると4,800万円ほど必要な米国留学MBA取得と比べ、圧倒的に費用対効果は高い。

    もちろん、現地留学で得られる人的つながりや異文化体験といった価値はオンラインでは代替しづらい。しかし、オンラインだからこそキャリアを中断せずMBAを取得できるメリットは大きく、経済面のみならずライフイベントや家庭の事情も考慮しながら柔軟に米国MBAを取得できるのはより良い選択肢だと言えよう。

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    MBAは単に学位を得ることではなく、入学から取得の過程を通じて自らのキャリアを見つめ直し、今後の生き方を考え、身につけた知識とスキルをどのように活かすかを考えるプロセスそのものだ。オンラインで本格的な米国MBAを取得できる今日、このプロセスをより多くの社会人が経験することで、キャリアの可能性を拓き、グローバル人材として活躍することを願っている。  
    宇坂 純
    パスメイクホールディングス株式会社 代表取締役社長
    株式会社アビタス 代表取締役社長

     
    註:
    (*1)出典: https://poetsandquants.com/2025/01/18/online-mba/
    (*2)出典: https://www.abitus.co.jp/information/mba/almni_survey_20250219.html

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