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2025

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    お年玉から始まるお金の学び|起源・相場・投資教育まで

    お年玉から始まるお金の学び|起源・相場・投資教育まで

    新年の朝、家族や親戚が集まるにぎやかな居間。子どもたちがワクワクしながら差し出されるお年玉。多くの人が、自分の子ども時代の記憶を思い出すのではないでしょうか。このお年玉に深い歴史や意味が息づいていることをご存じでしょうか。

    お年玉の起源――神様の恵みを分かち合う時代から

    お年玉のルーツをたどると、現代の“現金”というイメージとは大きく異なる姿が浮かび上がります。諸説ありますが、起源は室町時代の日本、あるいはさらに古い中国の風習にまでさかのぼります。

    もともとお年玉は「お金」ではなく、神様の恵みを分かち合う宗教的な意味合いを持つ贈り物でした。

    日本ではお正月に「歳神(としがみ)さま」を各家庭でお迎えし、五穀豊穣や家族の健康を祈願する習わしがありました。この歳神さまへのお供え物として用意された鏡餅を、神様がお帰りになった後に家族や奉公人に分け与える――これが「お年玉」の始まりとされています。当時は、餅そのものが“魂(玉)”を宿した神聖な贈り物と考えられていたのです。

    また、中国では春節(旧正月)に子どもへ小さな袋に入ったお金「压岁钱(やすいせん)」を贈る風習がありました。この習慣が日本にも伝わり、やがて江戸時代には町人や武士階級にも広がっていきました。こうして、餅から金品へ、そしてお金へと、時代や暮らしの変化とともにお年玉の“中身”も変遷してきたのです。

    現代におけるお年玉の役割

    現代においても、お年玉は子どもたちにとって新しい一年の幸せを願う「お守り」のような役割を果たしています。

    例えば、ある家庭では、お年玉をもらった子どもが「大切にしたいおもちゃを自分で選んで買い、大事に扱うようになった」といいます。親がお金の使い方や価値を教えるきっかけにもなり、子ども自身も「どう使うか」を真剣に考える体験となります。

    また、親戚一同が集まり、お年玉を通じて会話が弾む――そこには「大人から子どもへのエール」や「家族の絆を再確認する時間」という側面もあります。大人たちは、お年玉を渡すことで“思いやり”を伝え、子どもたちは受け取ることで“感謝”を学ぶ。そんな相互作用が、お年玉文化の根底に流れているのです。

    お年玉の相場

    では、実際にどれくらいの金額を包むのが一般的なのでしょうか。

    2024年のアンケートや各種調査によると、未就学児(幼稚園児・保育園児)には1,000円以下が最も多く、次いで3,000円以内が相場とされています。小学校低学年では2,000~3,000円、高学年になると3,000~5,000円、中学生は5,000円前後が主流。高校生になると5,000円~10,000円、大学生や専門学校生では10,000円程度まで上がるケースも見られます。

    もちろん、金額は家庭ごとの考え方や親戚同士のバランス、地域性によっても違いがあります。近年は核家族化の影響で「人数が少なくなった分、1人あたりの相場が高め」という傾向も指摘されています。親族間で事前に相談し、子ども同士の“もらいすぎ・もらい足りない”トラブルを避ける工夫も大切です。

    お年玉の相場が上がっている裏側で、「贈る側の負担感」や「子どもがお金の価値を感じにくくなる」といった課題も生まれています。だからこそ、金額だけでなく“気持ち”や“贈るタイミング”にも配慮したいものです。

    ポチ袋のマナー

    お年玉といえば「ポチ袋」。カラフルで可愛いデザインが並ぶ一角は、正月前の風物詩にもなっています。もともと日本では、お金をそのまま手渡しするのはマナー違反とされてきました。そこで、懐紙やのし袋などに包んで渡す習慣が生まれ、やがて小さな封筒型の「ポチ袋」が主流に。ちなみに「ポチ」とは関西弁で「心ばかり」「少しだけ」という意味です。

    ポチ袋選びに迷ったら、子どもが喜ぶキャラクターや個性的なデザインのものを選ぶとよいでしょう。親戚や知人の子どもなど、礼儀を重んじたい場合は水引付きのものや上品なデザインを選ぶのもポイントです。

    お札はできれば新札を用意し、肖像画が表にくるように三つ折りで入れます。硬貨を包む場合も表面を上にして入れるなど、細やかな気配りが「あなたのために準備しましたよ」という気持ちを伝えてくれるのです。

    お年玉の管理と使い道――金融教育の第一歩

    実際にもらったお年玉を、子どもたちはどう活用しているのでしょうか。楽天のアンケートによると、圧倒的な1位は「貯金」。親子で銀行口座を開設し、貯蓄の大切さを学ぶきっかけになったという声も多く聞かれます。

    一方で、「おもちゃやゲーム機を自分で選んで買う」「お菓子や友達とのイベントに使う」といった体験も、子どもにとって大きな学びとなります。自分で欲しいものを選び、計算し、手に入れたものを大切にすることも、大切な経験になるのではないでしょうか。

    最近では、「投資信託にチャレンジする」「おこづかい帳で管理する」など、金融教育の一環として活用する家庭も増えています。2022年からは高校でも金融教育が必修化され、18歳で証券口座が作れるようになったことも背景にあります。お年玉は、子どもたちが“お金との付き合い方”を学ぶ絶好の機会になっているのです。

    まとめ

    お年玉は、ただの“正月の行事”ではありません。その中には、家族や親戚の温かい思いや、日本人ならではの伝統が息づいています。時代とともに形は変わっても、贈る側も受け取る側も「ありがとう」「うれしい」という気持ちを大切にしたいものです。

    そして、子どもたちが「もらったお年玉で何をしよう?」と考える時間は、お金の価値や社会の仕組みを学ぶきっかけにもなります。親子でお金について話し合うことで、金融リテラシーや計画性、自立心も育てることができる――それこそが、現代のお年玉が担う役割といえるでしょう。

    #お年玉#お年玉相場#お年玉袋#金融教育#おこづかい#ポチ袋#正月#家族の時間

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