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19歳で歴史を動かした少女ジャンヌ・ダルク――ビジネスマンが学ぶ「信念」と「リーダーシップ」の本質
ビジョナリー編集部 2025/08/21
「自分の仕事に本当に意味があるのだろうか」と立ち止まる瞬間はあるでしょうか。成果が見えず、チームの士気も下がる…
そのような迷いのなか、ビジネスパーソンにこそ知ってほしい人物がいます。
フランスの英雄にして、19年の生涯で世界を変えたジャンヌ・ダルクです。
ジャンヌ・ダルク――農家の娘が国を救った実在のヒロイン
ジャンヌ・ダルクと聞いて、映画や絵画、黄金の騎馬像を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、彼女の人生は想像以上にドラマチックです。
ジャンヌ・ダルクはどんな人だったのか
- 1412年ごろ、フランス東部の小さな村・ドンレミで生まれた農夫の娘
- 幼いころから敬虔なカトリック信者で、13歳頃から「神の声」を聴くようになったといいます
- 17歳でフランス軍に加わり、男性社会の真っただ中で指揮官を任される
- 1429年、イングランド軍に包囲されたオルレアンをわずか9日で解放
- シャルル王太子を国王に導き、フランス王国の再興に決定的な役割を果たす
- しかし19歳でイングランド軍に捕えられ、「異端」の罪に問われ火刑に――その後25年で名誉は回復され、1920年にはカトリック教会の聖人に列せられました
どのような功績を残したのか
ジャンヌは「百年戦争」の転換点で、疲弊しきったフランス軍と民衆に希望をもたらしました。彼女の登場により、士気は劇的に回復。戦局を一気にフランス有利に導いたのです。
- オルレアン包囲戦の勝利
これがフランス再興の起爆剤となり、民衆の心に火をつけました。 - シャルル7世の戴冠実現
王の正統性を確立し、フランス国民の団結を促進。国家統一の象徴となりました。 - 女性の社会的役割を拡張
男装し自ら剣をとった姿勢は、当時の常識を覆し、後の時代に「女性リーダー像」の原点を残しました。
ジャンヌ・ダルクは、長らく架空の人物と疑われていました。しかし19世紀になって詳細な裁判記録が発見され、彼女が実在したことが証明されます。読み書きができずとも、圧倒的な説得力とカリスマで人の心を動かした――その生き方が、現代にも通じる普遍の価値を持っています。
ビジネスに生かすジャンヌ・ダルクの思考法
ジャンヌ・ダルクの生き方には、ビジネスパーソンが明日から使えるリーダーシップのヒントが詰まっています。
使命感を明確に持つ
ジャンヌは、自らの使命を「フランスを救うこと」と明確に定めていました。
そのビジョンは、単なる理想論や精神論ではありません。オルレアン解放、シャルル7世戴冠という具体的な目標があり、それを実現するための道筋も見据えていました。
ビジネスで応用するには?
会社の理念やチームの存在意義を言語化し、全員に共有しましょう。「なぜ自分たちが存在するのか」を問うことが、日々の意思決定を強くします。
信念を持ち、行動に移す――やり切る力の重要性
ジャンヌ・ダルクの最大の強みは、自分の信じる道を疑わなかったことです。
家族の反対や、軍内部の偏見、命を脅かすリスクのなかでも、彼女は「自分は神の意志に従っている」とブレませんでした。
ビジネスの現場でも、困難に直面したときに信念を貫くことは簡単ではありません。
ですが、その「揺るぎなさ」こそが、周囲の心を動かします。
どうすれば信念を持ち続けられるか?
- 自己効力感の強化
過去の成功体験や、他者からのフィードバックを活用して「自分にもできる」と思える状態をつくる - メンターや仲間との対話
迷いが生じたとき、社内外の信頼できる相談相手に自分の考えをぶつけてみましょう。ジャンヌも家族や守備隊長との対話を重ねることで、行動を後押しされました。 - 行動計画を細分化し、小さな成功を積み重ねる
「やり切った」という経験のなかで信念は強くなります。日々の小さな目標をクリアし続けましょう。
注意点
信念と頑固さは紙一重です。柔軟に修正する勇気も、時には必要です。ジャンヌも周囲の意見を無視したわけではなく、必要に応じて戦略をアレンジしていました。
問題解決力――困難のなかで突破口を見つける
ジャンヌのオルレアン解放は、まさに前例のない課題解決の象徴です。彼女は、単に「前進せよ」と叫んだのではなく、戦場の状況を分析し、士気の下がった兵士たちを鼓舞し、戦略を柔軟に変えて勝利を導きました。
ビジネス現場で役立つスキル
- 分析力
問題の本質を見抜くためには、データや現場の情報を丁寧に洗い出すことが重要です。 - 創造力
既存の方法で解決できない場合、新しいアイデア(ブレインストーミング、マインドマッピングなど)を積極的に取り入れましょう。 - 決断力
迷ったときは「リスク」と「リターン」を見極め、タイムリーに決断する勇気が求められます。 - 実行力
計画を立てるだけでなく、プロジェクト管理やチームマネジメントで最後までやり切ることが肝心です。
具体例
新規事業で壁にぶつかった際、ある中堅企業のリーダーは、ジャンヌさながらに「いま何が最優先課題か」を徹底的に洗い出し、社内外の知恵を集めて解決策を立案。結果、半年で新サービスの黒字化を実現しました。
自己主張とコミュニケーション――想いを伝える力
ジャンヌ・ダルクは、読み書きができなかったにもかかわらず、自分の考えを堂々と主張し、周囲を説得しました。
ビジネスで求められる自己主張
- 自分の意見を持つ、要点をつかむ
- 明確かつ簡潔に表現する
- 他者へのリスペクトを忘れず伝える
- 状況に応じて自己主張の強さを調整する柔軟性
- チームの意志決定に自分の考えを活かす
注意点
「押しつけ」や「我の強さ」にならないよう、論理的な議論を心がけましょう。ジャンヌのように、相手を敬いながらも自分の価値観を守る姿勢が大切です。
ジャンヌ・ダルク流リーダーシップで、明日の現場を変える
ジャンヌ・ダルクの人生は、「信念を持って行動し、困難を乗り越え、周囲を動かす」ことの大切さを教えてくれます。
ビジネスマンへの提言
- 「自分の使命」を明確にしよう
会社、チーム、そして自分自身の「存在意義」を毎日問い直してください。 - 信念を持ち、行動に移そう
迷いが生じたら、まずは小さくても「できること」から始めてみましょう。 - 問題解決力と柔軟さを磨こう
現状分析と新しい発想を両立し、必要な場面では思い切って決断しましょう。 - 自己主張し、想いを言語化しよう
大切なのは「伝え方」。相手の立場を思いやりつつ、しっかり自分の考えを伝えてください。
まとめ――最も心を動かすのは「揺るぎない思い」
ジャンヌ・ダルクは、19歳という若さで命を落としましたが、その思いと行動は600年以上経った今も、世界中の人々を鼓舞し続けています。
明日からの自分の働き方に、ジャンヌ・ダルクの“信念”というエッセンスを加えてみませんか。
きっと、あなたの職場や人生に小さな奇跡が起きるはずです。


