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なぜ「エンタメの聖地」が開発者に? 東京ドームが自社開発XRで狙う「世界標準」への勝算
ビジョナリー編集部 2026/01/22
エンタメの聖地から生まれた「世界標準」のXRソリューション
エンターテインメントの聖地として知られる東京ドームが、XR領域において新たな挑戦を始めている。特に挑戦的なのは、これまでにほとんど実績のない「オリジナルのコンテンツ開発」を自社主導で進め、それらを東京ドームシティにとどめることなく「日本全国」に広げるという点にあるようだ。その戦略の一翼を担うのが、 東京ドームと株式会社日本XRセンターが共同開発した、施設向けオールインワンXRソリューション「XRミッション」 だ。
すでに東京ドームシティで2024年11月から常設で稼働実績を持ち、年間8万人を超える利用ペースを記録している同シリーズは、世界最大級のXRアワード「Auggie Awards」VR部門で最優秀賞を受賞したという。さらには世界最大級のアミューズメントEXPOである「IAAPA EXPO(米国フロリダ州)」へプロダクトを出展するなど、グローバルでも通用する「世界標準」のソリューションとして展開されている。その高品質な体験と、遊園地運営で培われた高回転・高収益を実現するビジネスモデルが、国内外の施設運営者の注目を集めているようだ。

1.製品の核心 — 「安定稼働」かつ「稼げる」XRの実現
「XRミッション」が持つ最大の強みは、 「高品質な没入感」と「高い事業性」の両立 にあるという。これは、従来のVRアトラクションが抱えていた「設営・運営・管理の煩雑さ」、工数の多さによる「回転率の低さ」という二大課題を、技術と運営ノウハウによって克服した結果とのことだ。
(1)フリーローミング型による高い没入感
最新のHMD(Meta Quest 3)を装着し、実際の空間を自由に歩き回れる「フリーローミング型」を採用。身体の動きと映像が完全に同期するため、自身があたかもその世界に飛び込んだかのような体験が可能になる。また、その結果として、VR特有の酔いを大幅に軽減し、世界観や演出のこだわりに対して操作をシンプルなものとすることで、幅広い年齢層に受け入れられる安全で快適な体験を実現しているという。
(2)有力な開発パートナーが開発を担当する高品質コンテンツ
「XRミッション」はすべてのコンテンツを開発パートナーである株式会社日本XRセンターが手がけている。彼らの持つ技術力が世界トップクラスのクオリティとオペレーション性を両立したアトラクション構築を実現しているそうだ。同社はこういったスタートアップ企業との協業についても積極的に進めているという。
(3)パッケージ化された高回転モデル
遊園地などのレジャー施設で重視される「高回転率」を前提に体験時間を設計。完成度の高いコンテンツと機材一式をオールインワンパッケージとして提供することで、高い満足度を維持しながら、高収益を可能にする運営モデルを確立した。従来のフリーローミング型VRは1時間に2~3回転程度しかできないというのが通常であったが、5~6回転を実現し、東京ドームシティでは1日に最大450人が体験することが可能だという。
(4)魅力的なコンテンツラインナップ
現在、近未来の世界を舞台にした第一弾「XRミッション バトルワールド2045」が稼働中だが、さらに、日本の「忍者」をテーマにインバウンドやグローバル市場を意識した第二弾「ニンジャブレイカー 妖魔決戦」、東京都中野で大人気のゾンビシューティング「ZOMBIE STORM」など、コンテンツ数を急拡大している。これらのコンテンツが多彩な魅力を持つため、幅広いターゲットやリピート性を高く実現することが見込まれる。
(5)導入・運営がスムーズかつ安定
これらのメリットがありながらも導入がスムーズで、トラブルが少ない点も魅力の一つだ。具体的には以下の特徴が挙げられる。
- 機器構成・運営方法ともに非常にシンプルで運営マニュアルもセットで提供されるため、運営における導入のハードルも低い
- 機材構成がシンプルでネットワークに依存しないため、トラブルが少なく安定した稼働が可能
- 複数コンテンツを同一ハードウェア・同一エリアで展開可能であり、これらのコンテンツを柔軟に切替可能
これらの導入・運営におけるメリットの設計も、東京ドームが長年アトラクションの開発や運営を担ってきたからこその目線が生きていると言えるだろう。


XRミッションバトルワールド2045
XRミッション ニンジャブレイカー 妖魔決戦
2.展開戦略 — 施設活用の革新とグローバルな市場獲得
XRミッションの目標は、東京ドームシティのノウハウを国内外の多様な施設へ横展開し、エンタメ市場全体の活性化を図ることにあるという。その核心は、 場所のポテンシャルを最大限に引き出すソリューション としての価値提供にあるようだ。
(1)商業・レジャー施設への提供価値:坪効率のよさ・遊休スペースの熱狂化
本パッケージは、様々な規模の商業施設やレジャー施設に導入できる汎用性の高さが最大の魅力とされている。
- 集客力とリピート性の両立
高品質な映像クオリティと高いゲーム性・ランキングシステムにより新規顧客を引きつけ、そしてコンテンツを柔軟に切り替えられる特性によって、リピート来場を促すフックとして機能するという。 - 省スペース・利用単価の両立
基本、設置面積は1エリア4m×6mまたは4m×10mと非常にコンパクト。少ない坪数で展開でき、ある程度の単価(東京ドームシティの利用料1,300円)を獲得できるという側面から坪効率も非常に高いようだ。 - 遊休スペースの有効活用
コンパクトであるがゆえに、商業施設内の空き区画やレジャー施設のデッドスペースを、集客力と収益性の高いエンタメ空間へと変革し、施設全体の価値向上に貢献することができるという。 - コスト・期間・運用の面で導入ハードルが低い
導入コスト:月額最低50万円〜 という金額設定で導入におけるハードルを最大まで低減。
導入期間:最低1カ月から導入が可能 と非常に短期間での導入が可能であり、繁忙期のさらなる収益化や集客に苦戦する閑散期においても目玉イベントとして導入が可能だ。
設置期間1日: 機材を極限までシンプル化し、わずか1日で設営・運用トレーニングが完了。即座に運営を開始できるとしている。
(2)国内展開の加速:全国30カ所への拡大と地方市場の活性化
東京ドームシティでの成功を受け、 すでに国内5カ所(北海道・山形・千葉・東京・福岡)への導入実績がある。 今後さらに展開を広げ、全国30カ所の展開実績を2年間で目指していく方針だ。その中で、特に地方においては活用のシーンと効果が非常に高いといえる。すでに、龍宮城スパホテル三日月(千葉県)、伊達大滝CHILDHOOD(北海道)、リナワールド(山形県)といった地域観光・レジャー施設の展開実績があり、地方市場からのニーズが高いことがうかがえる。地方の課題である「コンテンツ不足」の解消に加え、「世界標準の体験価値がどこでも楽しめる」という価値は地方市場の活性化やエンターテインメントの可能性を拡大できる非常に魅力的なポイントだろう。
(3)グローバル市場への本格参入:日本発のエンタメ輸出
本パッケージは、日本の高度なXR技術とエンタメ運営の知見を融合させた「日本発のソリューション」として、世界市場を狙っていくという。 - 国際舞台での訴求力
世界最大級のXRカンファレンスである「AWE Asia 2024」や「AWE USA 2025」に加え、同じく世界最大級のアトラクション展示会「IAAPA EXPO 2025」(米国フロリダ州)への出展を通じ、グローバル市場への本格参入を進めていく。特にVRの持つ「ノンバーバルなイマーシブ体験」に加え、国際的に認知度の高い「忍者」をテーマにしたコンテンツ力、「多言語対応」によって、グローバルな集客力と展開力を確保し、国際舞台での訴求力を高めていく見込みだ。

- グローバルな導入支援体制の確立 高品質なXRアトラクションを、開発コストを抑え、スピード感を持って導入できるサブスクリプション型のパッケージで提供。国内外のパートナー施設に対し、グローバルなネットワークと体制を持つ日本XRセンターとタッグを組むことで、設置・トレーニング・運営マニュアル・保守までの一式提供し、国をまたいでもスムーズなビジネス展開をサポートしていく。それらの体制を今後確立していくことが直近の目標だという。
「XRの聖地」が生む「熱狂」のパッケージで世界を変える
東京ドームの「XRミッション」は、単なる最新技術の導入に留まらない。長年のエンタメ事業で培った顧客視点と運営ノウハウを、XR技術という強力な武器で昇華させた、極めて具体的なビジネスソリューションと言える。これにより東京ドームは、遊休スペースの活用から、地方の活性化、そしてグローバル展開まで、多角的なビジネスチャンスを生み出していくことだろう。
東京ドームシティでは「XRミッション」に加え、「ゴジラAR」「THE MOON CRUISE」といった3つのXRコンテンツをすでに展開している。さらに、XRをテーマにしたハッカソン「enXross」の開催実績もあり、ここからは「XRの聖地」としても業界のポジションを確立していく。そこで実績を積んだソリューション・ナレッジを国内外のパートナー施設に展開するとともに、共創パートナーをさらに増やしていくことで、「場所」を提供する企業という要素に加え、「熱狂」を生むソリューションを「グローバル」に提供する企業として、世界のエンタメ体験をアップデートするリーディングカンパニーへと進化を遂げていく考えだ。

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