Diamond Visionary logo

5/6()

2026

SHARE

    「金太郎飴」からの脱却と思いやり 変革を生むための個の価値観

    #05「金太郎飴」からの脱却と思いやり 変革を生むための個の価値観

    原石からダイヤへ

     現代の教育や社会のあり方を見渡すと、あまりに「危ないから」と遠ざけ、一律の枠に押し込めようとする風潮が強すぎると感じています。画一的な「金太郎飴」のような人間ばかりを育てていては、突出した才能は現れず、ひいては国際的な競争力も失われていくでしょう。

     手塚治虫氏が幼少期に虫の観察に没頭したように、あるいは突出した才能を持つ経営者が時に既存の枠組みを越えた歩みを見せるように、人にはそれぞれの特性に合った学びの形があるはずです。今の日本に必要なのは、一律に無償化を進めることだけではなく、個々の才能を伸ばすための多様な教育にこそ、大胆に投資することではないでしょうか。

     私たちが陥っている「一律」への固執は、働き方の現場や企業経営にも影を落としています。周囲に責められることを恐れ、誰もが同じ方向を向いて歩調を合わせる。しかし、それでは真の変革は起こせません。さまざまな意見にも耳を傾けつつも、「わが社はこうあるべきだ」と毅然と語り、自ら責任を取る覚悟を持ったリーダーが必要です。

     こうした「本来あるべき姿」を考える力は、幼少期の経験にも大いに影響されると思います。何に価値を置くかという自分なりの価値観を持っていれば、周囲の意見にも耳を傾けながら、自らの価値観の基準を高め、多くの経験を積み、自らの信念を育むことができます。これは、人生においても経営においても何よりも重要なことだと思います。

     人の心は、鏡のようなものです。自分が相手に対して思うことは、必ず相手にも伝わります。最近、いじめやパワーハラスメントが社会問題となっていますが、私はその境界線は「思いやり」の有無にあると考えております。

     相手を叱るとき、そこに「この人を良くしたい、共に歩みたい」という思いやりがあるかどうか。言葉のトーンやフォローの仕方にそれが滲んでいれば、たとえ厳しく言ったとしても、相手は素直な気持ちで学ぼうとするでしょう。逆に従わせるための攻撃的な態度であれば、相手は反発するだけでしょう。これはいつの時代でも、どのような場所でも、同じことでしょう。

     そして改めて思うのは、幼少期に身をもって感じた「思いやり」や「寛容さ」が、人の成長にとってどれほど大きな意味を持つかということです。豊かな経験を重ねるなかで、自分なりの価値観が形づくられ、やがてそれが一つの判断軸となり、人生において役に立ってくるものと思います。

     人は人生のどこかで必ず岐路に立ちます。そのときには知識も必要ですが、やはり頼りになるのは自分なりの価値観であり、すなわち「何を大切にするか」という根っこの部分です。

     私自身が両親から受け取った、「他者への敬意や思いやりを失わず、よりよい社会のために少しでもお役に立ちたい」という想いを、次の世代へも引き継ぐことができたらと願っております。

    #野本弘文#東急#東急電鉄#東急不動産#東急グループ#まちづくり#逆転の経営#現場主義#リーダーシップ#創業の精神#3つの日本一#ひとつの東急
    Diamond AI trial