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2026

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    「魚の取り方」ではなく「生きる仕組み」を——100カ国で国境を越えてつなぐ人とビジネスの絆

    「魚の取り方」ではなく「生きる仕組み」を——100カ国で国境を越えてつなぐ人とビジネスの絆

     年中無休でおいしい本マグロをお客さまに提供するため、私は20代の頃から世界中を回って供給源を築いてきました。

     しかし、海外の現場へ赴くと、単に「買い付ける」だけでは解決できない大きな課題に直面することが多々ありました。例えば、「良い本マグロが獲れたから買ってほしい」と連絡を受けてモロッコへ足を運んだ際のことです。現地では定置網でマグロを捕獲するために、マグロの身がひどく傷つき、切り身を塩漬けにして保存していたため、そのままでは到底日本のすしネタとしては使えない状態でした。現地の社長は「日本のやり方を覚えるには3年はかかる」と泣きついてきましたが、私は「3年なんて待てない」と、買い付けから一転して約300人の現地漁師たちの教育に乗り出しました。

     言葉も文化も異なる現地で、通訳を交えながら自ら手本を示し、「釣る人」「切る人」「運ぶ人」「凍結する人」と役割分担を徹底しました。誰が包丁を使えるか見極めるため、砂浜に長い棒でまっすぐ線を引かせるなど工夫を凝らし、2メートルほどまっすぐ引けた16人の漁師を「うまいな!」と、切り出し係に抜擢したのです。

     やがて作業の様子を観察していると、漁師たちが処分予定のマグロの頭や内臓を密かに持ち帰っている姿を目にしました。「豊かになりたい」という強い欲求があることを見抜いた私は、作業量に応じた「歩合制」を導入しました。

     かつて中国で野菜加工を手掛けた際も、それまで1日10キロほどしか芋の皮を剥かなかった作業員たちに歩合制を取り入れたところ、1日100キロも剥くようになり、給与も増えて皆が心豊かになった経験がありました。固定給だけでやる気が出なかった現場に正当な対価の仕組みを整えたことで、生産性は飛躍的に上がりました。

     彼らに手本を示しながら2週間みっちり指導した結果、当初は20匹さばくのに20時間もかかっていた作業が、わずか1日6時間で150匹・30トンもさばけるようになり、見違えるような劇的な進化を見せてくれました。自らの成長を実感して涙を流す現地の方々に見送られて帰国した時、国境を越えて人と喜びを分かち合う商売の醍醐味を実感しました。

     国が違い、法律が違い、文化や考え方が違っても、同じ人間として「豊かな暮らしを送りたい」「成長したい」という本質的な思いは世界共通であり、人の働く意欲を引き出す基本は同じなのです。

     海外での指導や事業開発で私が一番大切にしているのは、単にお金や物資を寄付・支援することではありません。一方的な資金援助(ODAなど)だけでは、現地の自立にはつながりません。大切なのは、「どうすれば自らの手で持続的に価値を生み出し、生計を立てていけるのか」という仕組みと、技術を教えるだけでなく、「人は何のために生きるのか、何のために働くのか」を問いかけ、人に必要とされること、働くことの真の喜びを 知ってもらうことです。

     例えば、ソマリアで海賊問題が深刻化していた際も同様の考えで臨みました。単に彼らを排除するのではなく、マグロ漁の技術や冷凍・加工のノウハウを教え、捕獲したマグロを適正な価格で買い取る仕組みを作りました。人に必要とされること、働くことの喜びを理解し、自らの仕事でお金を生み出す。安心して生活していける選択肢を示すことで、彼らは海賊行為をやめ、立派な漁師として歩み始めることができたのです。

     インドネシアやスリランカなどでも、鮮度を保つ冷凍船の導入や加工工場の設置を支援し、品質基準を満たした水産物をしっかり買い取る体制をつくってきました。

     目先の買い付けや援助にとどまらず、現地の人々と向き合って「自ら稼ぐ仕組み」をともに構築していくこと。これは、幼少期に貧しさの中で自ら知恵を絞り、生き物を育てたり身の回りのものを集めたりしてお金を生み出してきた私の原体験と深く通底しているように思います。

     これまで100カ国以上でビジネスを展開してきましたが、相手を心から尊重し、人々の働く意欲と自発的な喜びを引き出す仕組みをつくることこそが、世界中のどこへ行っても通じる商売の真理だと確信しています。

    #木村清#すしざんまい#喜代村#創業者#マグロ大王#フロンティアスピリッツ

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