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2025

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    「未知への挑戦」がビジネスを動かす──杉田玄白に学ぶ現代仕事術

    「未知への挑戦」がビジネスを動かす──杉田玄白に学ぶ現代仕事術

    「杉田玄白」と聞いて、あなたはどんなイメージを持つでしょうか?
    歴史の教科書で「解体新書」の名前とともに登場した医師。江戸時代の蘭学者。もしかすると「偉人だけど、現代の自分には関係なさそう」と思うかもしれません。しかし、現代ビジネスにも直結するヒントが、玄白の生き方や考え方には詰まっています。
    未知への果敢な挑戦力、チームで成果を生む協働力、そして知見を惜しまず次世代に伝える教育力。どれも、変化の激しい現代ビジネスで求められる力そのものです。
    この記事では、杉田玄白の生涯と功績を紐解きながら、彼の思考法がいかにビジネスパーソンの武器になるのか――そのエッセンスを具体的にご紹介します。

    杉田玄白とは

    杉田玄白は、1733年に江戸に生まれ、父も医師という家系に育ちました。彼が若くして興味を持ったのは、当時日本の主流だった漢方医学ではなく、西洋の最先端医学でした。
    21歳の時、日本初の人体解剖を行った医師・山脇東洋の報告に衝撃を受け、自らも人体の仕組みを自分の目で確かめたいと強く願います。町医者として独立した後、江戸の大都市で様々な人と交流し、博学な発明家・平賀源内ら知識人たちと刺激し合いながら、知見を深めていきました。

    「読めない本」への無謀な挑戦

    転機が訪れたのは39歳。
    後輩医師の中川淳庵が、オランダ語で書かれた医学書『ターヘル・アナトミア』を手に入れます。精密な解剖図を見て欲しくなり、自ら藩に掛け合い、高価な本をどうにか購入します。

    4年を費やした解体新書の翻訳

    『ターヘル・アナトミア』の翻訳作業は困難を極めます。
    頼れるのは質の低い辞書と、唯一オランダ語が少し分かる前野良沢の知識だけ。専門用語も皆無に等しい中、図と文脈を頼りに一行一行訳し続け、4年かけて翻訳を完成させます。
    1774年に『解体新書』として出版。
    内容も用語も日本初づくし。「神経」「軟骨」「盲腸」など、今も使われる言葉は、彼らがこのとき生み出したものです。
    この本がきっかけとなり、西洋医学は全国に広がり、近代医学の扉が大きく開かれました。

    杉田玄白のビジネスに活きるマインドセット

    「未知への挑戦」──できないからこそやる

    杉田玄白の最大の特徴は、自分にできないことへの徹底した挑戦心です。当時、オランダ語どころかアルファベットも知らない玄白が、世界最先端の医学書を訳そうと決意した――これは現代でいえば、未経験の分野に飛び込むスタートアップ精神そのものです。

    ビジネスでの応用例

    • 新規プロジェクトや未知市場への参入 「前例がない」ことを理由に諦めるのではなく、「誰もやっていないからこそ自分がやる」と発想を転換する。既存のノウハウやスキルが通用しない場面でも、必要な知識やスキルを一から学び取る覚悟を持つ。

    実践力──知識を現場で価値に変える

    杉田玄白は、単なる翻訳者でも研究者でもありませんでした。町医者として、江戸の町で1,000人以上の患者を診察し、手に入れた知識を現場で使い、実践を通じて医学の精度を高めていきました。また、教育者として、私塾「天真楼」を開き多くの弟子を育てました。

    ビジネスでの応用例

    • PDCAサイクルの徹底
      得た知識やアイデアはすぐに現場で試し、失敗も改善の糧にする。
    • 机上の空論を避ける
      理論だけで終わらせず、実際の現場や顧客に接しながら、ビジネスの仮説検証を繰り返す。

    長寿と健康管理──自己マネジメントの知恵

    当時の平均寿命が45歳ほどの中で、杉田玄白は85歳という長寿を全うしました。その背景には独自の健康哲学があります。

    玄白の養生七不可

    1. 昨日非不可恨悔(昨日のことは恨まない・悔やまない)
    2. 明日是不可慮念(明日のことは悩まない)
    3. 飲与食不可過度(飲みすぎない・食べすぎない)
    4. 非正物不可苟食(傷んだ食べ物は口にしない)
    5. 無事時不可服薬(何もない時に薬を飲まない)
    6. 頼壮実不可過房(むやみに精力を使いすぎない)
    7. 勤動作不可好安(体を怠けさせない)
       

    これは、現代でいう「セルフマネジメント」や「ウェルビーイング」にも通じるものです。特に「過去や未来にとらわれず、今を大切にする姿勢」は、ストレス社会を生き抜くビジネスマンにとっても大きなヒントになるでしょう。

    ビジネス現場で杉田玄白の思想を活かすためのポイントと注意点

    実践ポイント

    • 「できる・できない」で判断するのではなく、「やるべきかどうか」で行動する
    • 成果を急ぎすぎず、地道な積み重ねを恐れない
    • 仲間の力を信じ、多様な視点を融合させる
    • 知識やノウハウを独占せず、次世代や周囲に広げていく
    • 健康とセルフマネジメントを重視し、自分の「働く土台」を整える

    注意点

    • 完璧を求めすぎて行動が遅れるリスク
      前野良沢は「翻訳が未完成」として『解体新書』への名前記載を辞退しましたが、玄白はまず「世に出す」ことの価値を重視しました。ビジネスでも「80点でも早く出す」マインドが重要な場面があります。
    • 独善的にならず、チーム力を活かす
      玄白のように柔軟に人を巻き込むことが、困難なプロジェクトを乗り越える鍵です。
    • 自分の健康や心身のバランスを軽視しない
      過労や無理な働き方は、長期的には成果を損ないます。

    まとめ

    杉田玄白が体現したのは「できないことに挑む勇気」「知識を現場で価値に変える行動」「学びや経験を周囲に伝える力」でした。これらは、どのような時代や業界であっても、ビジネスマンにとって普遍的な武器です。

    「前例がない」「自分には無理」「完璧でなければ意味がない」

    そのような思い込みを捨て、まずは一歩踏み出してみてください。
    杉田玄白が「解体新書」を世に出したあの一歩が、日本の医学と社会を大きく変えたように、あなたの行動も必ず新しい未来を切り拓くはずです。

    #ビジネス#杉田玄白#歴史から学ぶ#イノベーション#挑戦#セルフマネジメント#リーダーシップ#仕事術#自己成長

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