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広島県初の女性知事・横田美香氏誕生!その経歴と期待される新しい県政とは
ビジョナリー編集部 2025/11/25
2025年11月、広島県知事選挙で横田美香氏が初当選し、県政史上初の女性知事として新たな一歩を踏み出しました。16年ぶりのリーダー交代となった今回、横田氏に期待されるものは何でしょうか?その経歴とともに分かりやすく解説いたします。
※ 記事内の情報は2025年11月時点のものです。
横田氏の原点
横田美香氏の原点は、広島県呉市の田園地帯にあります。幼少期の横田氏は、祖母や家族とともに稲作や畑仕事に携わり、自然の恵みと人の手の温かさを体いっぱいに感じて育ちました。田植えや稲刈り、収穫後のわらのベッドで遊んだ思い出は、今でも彼女の心に深く刻まれているそうです。
小学5年から中学3年までの約5年間は、父親の仕事の関係でブラジル・リオデジャネイロで過ごしました。現地の日本人学校に通いながら、ポルトガル語や多文化環境に触れ、視野を大きく広げた経験は、後のグローバルな物事の見方や柔軟な発想につながっています。
「異国での生活を通じて、多様性や違いを受け入れる力が養われました」と横田氏自身も語っています。
高校演劇から官僚の世界へ
ブラジルから帰国後、広島大学附属高校へ進学。ここで横田氏は、生徒会副会長を務めながら、同級生と劇団「碧(あお)」を立ち上げました。脚本、演出、音楽、衣装まですべて自分たちで作り上げ、3か月に1度の公演を開催。仲間とともにゼロから“何かを生み出す”経験は、組織作りやリーダーシップの原点となっています。
1995年には農林水産省に入省。行政官として、食品の規格や表示制度の法改正、食品企業のリスク管理、民間認証制度の創設などの改革に挑みました。若手時代から「自分の言葉で現場に説明する」ことを重視し、現場主義を貫いてきた点も特徴です。
民間企業への出向経験も持ち合わせており、コンサルティング会社や保険会社で働くなかで、官と民の違いや組織との連携、人事管理のノウハウを実地で学びました。
富山県副知事で培った現場感覚と多様性
2021年から3年間、横田氏は富山県副知事を務めました。ここでは、女性活躍推進やパートナーシップ宣誓制度の創設、ウェルビーイング(Well-being:一人ひとりの幸福)の実現など、県政全体の“新しい価値観”を取り入れる役割を担いました。
注目されたのが、アンコンシャスバイアス(無意識の思い込みや偏見)の解消に向けた庁内研究会の設立です。これは、男女問わず誰もが活躍できる職場環境を目指すものでした。横田氏は「富山での経験は今の自分に直結している」と語っており、多様な立場や価値観を尊重する姿勢が評価されています。
盤石な支援体制と、82%の得票率
今回の広島県知事選では、前任の湯崎英彦知事(4期)が突然の不出馬を表明し、横田氏に白羽の矢が立ちました。自民、立憲民主、国民民主、公明の与野党4党や200以上の団体が推薦し、議会3会派が9割近い議席を持つという“盤石の支援”を受けての出馬でした。
選挙戦は、与野党相乗り体制vs共産党系候補という構図の中で、横田氏は82%という圧倒的な得票率で勝利しました。
横田氏の政策
農林水産業の再生と次世代への継承
農業の生産力を強化し、地産地消を推進するとともに、学校給食や食育、観光資源として農業を活用しながら、新規就農者の支援や気候変動への対応強化も目指しています。
若者・女性が輝く“選ばれる広島”へ
若年層や女性が「住みたい」「働きたい」と思える地域や職場を作り、都市と農村のバランスを生かしながら利便性と暮らしやすさを追求すること、さらに文化やエンターテインメントの活用によって地域の魅力を高めることを掲げています。
広島県では、全国でも最悪の水準となっている若年層の人口流出(特に20~30代)が続いており、こうした課題に対して横田氏のリーダーシップが期待されています。
観光・歴史・文化の磨き上げとイノベーション
広島の観光はコロナ禍で大きな打撃を受けましたが、横田氏は“ストーリー性”や“体験”を重視した新しい観光戦略を打ち出すと見られています。具体的には、地域の物語や産業遺産、食文化をデジタル技術によって発信し、伝統工芸と先端技術の融合も促進しようとしています。また、体験型ふるさと納税や官民連携による観光資源の活用にも取り組む予定です。
防災・減災、危機管理の徹底強化
インフラの老朽化対策とデジタル技術による災害情報の共有を進めることに加え、迅速な避難指示体制の構築を進める予定です。また、これまでの教訓を生かしたタイムライン管理や訓練の徹底も目指していくと思われます。
核兵器廃絶と恒久平和の発信地としての使命
「国際平和拠点ひろしま構想」の推進や、被爆の実相を世界に伝えて核廃絶・平和構築におけるリーダーシップを発揮すること、さらには持続可能な平和のための研究や情報発信など、広島県知事ならではの“平和へのメッセージ”が注目されています。
問われる胆力と独自性
横田県政は、現職・湯崎県政の路線を継承しつつも、「自分の判断で政策を進める」と明言しています。議会とは「一心同体にはならない」と距離を置き、独自性を打ち出す姿勢も見せています。
一方、人口流出やジェンダーギャップ、地方創生、防災・減災など、課題は多岐にわたります。
特に、若い女性が地域に残りづらい「息苦しさ」や、性別役割分担に対するアンコンシャスバイアスの解消は、横田氏のリーダーシップに大きな期待が寄せられる分野です。彼女自身、「女性の声をもっと拾い上げていきたい」と述べており、新しい時代の価値観を県政にどう反映するかが注目ポイントとなります。
まとめ
横田美香知事の誕生は、女性知事としての新しい価値観やリーダーシップに期待が集まっています。
農業再生、人口流出対策、防災・平和発信など、多岐にわたる課題に対してどう取り組んでいくのか、これからの政治が問われていくのではないでしょうか。


