
世界最強の投資家ウォーレン・バフェットの生い立ち...
9/4(木)
2025年
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ビジョナリー編集部 2025/09/04
テスラ、スペースX、ペイパル──私たちが日常で耳にするこれらの企業の背後には、一人の男がいます。その名はイーロン・マスク。
「2035年までに人類を火星に移住可能にする」
「人類を救うために、インターネット、エネルギー、宇宙産業で大きな企業をつくる」
彼の発言は突拍子もなく聞こえるかもしれません。しかし、彼は本気でその実現を目指し、前人未到なことを実際にやってのけてきました。
彼はどのような少年時代を過ごし、何を原動力にして世界を変え続けているのでしょうか?そして、これからどこへ向かうのでしょうか?
今回は、イーロン・マスクの生い立ちから功績、そして今後の野望までをひもときます。
イーロン・マスクは1971年、南アフリカのプレトリアで生まれました。父はエンジニア、母はカナダ出身のモデル・栄養士。幼少期のマスクは、読書好きで物静かな少年。社交的とは言えず、周囲に溶け込めず孤立しがちでした。そのため、学校では暴力的ないじめを長年受け、顔面骨折で手術を要するほどの大ケガを負ったこともあります。
しかし、孤独な時間はマスク少年に“2つの宝物”をもたらします。
1つ目は、読書。
1日10時間も本に没頭し、アイザック・アシモフの『ファウンデーション』や、J・R・R・トールキンの『指輪物語』などのSF・ファンタジーを貪るように読みました。
2つ目は、プログラミング。
10歳でプログラミングを習得し、12歳にして自作ゲームを売却。幼くして自身の制作したものに500ドルの価値がついたことで、自信が芽生え、実業家精神の土台が形づくられました。
壮絶ないじめを乗り越えた経験が、後の「どんな絶望的状況でも諦めない」不屈の精神を育てたのです。
南アフリカでのいじめ体験と、読書・プログラミングで培った知力。マスクは「自分の人生をやり直したい」と、18歳でカナダに単身渡ります。
クイーンズ大学を経て、ペンシルベニア大学で物理学と経済学を学び、スタンフォード大学大学院に進学。しかし、わずか2日で中退。理由は、「インターネットこそ人類の未来を変える」と確信したからです。
この問いに対し、「インターネット」「持続可能エネルギー」「多惑星居住」の3つの分野で事業を興すと決意しました。
最初の挑戦は、弟キンバルとともに設立したオンラインコンテンツ会社「Zip2」。オフィスに寝泊まりし、YMCAでシャワーを浴びる極貧生活にも、マスクは「貧しくても幸せでいられることがリスクを取る最大の助けだった」と回想します。
その後、オンライン決済サービス「X.com(後のPayPal)」を創業。
2002年、PayPalはeBayに売却され、マスクは1億8,000万ドルの資産を手にします。
PayPal売却後、マスクは次なるビジョンを求めます。
「人類の未来に最も大きく影響する課題は何か?」
その答えが、持続可能エネルギー(テスラ)と宇宙移住(スペースX)でした。 テスラは、電気自動車のイメージを「遅い・ダサい」から「速くてカッコいい」へと転換させました。最初の量産車「ロードスター」開発には4年半、1億4,000万ドルの資金が必要でした。失敗が続き、資金は底をつきかけます。
また、「火星に人類を送る」ことを本気で考え、ロケット開発に着手。しかし知識も経験もゼロからの挑戦。ロシアでICBMの購入を交渉するも断念。
「誰も作らないなら、自分で作る」──これがスペースX誕生のきっかけです。
4度目のロケット打ち上げで初成功(2008年)、NASAとの1,600億円超の契約を勝ち取ることで、スペースXもテスラも破産の危機を脱します。
テスラの「ロードスター」は、レオナルド・ディカプリオやGoogle創業者ら著名人の支持を集め、「電気自動車=ダサい」という常識を塗り替えるインパクトを与えました。
テスラ「モデル3」量産時には工場に寝泊まりし、自ら床で寝ることを選びました。
「社員が苦痛を感じているなら、その何倍もの苦痛を感じたい」──この姿勢が、部下の心を動かしています。
テスラは「自動運転」「低価格EV」など、次世代モビリティのリーダーとして進化し続けています。
「3年以内に2.5万ドル(約350万円)の完全自動運転EVを実現する」と公言。
今やトヨタ自動車の時価総額を上回る企業価値を誇り、世界の自動車産業そのものを塗り替えつつあります。
スペースXは「宇宙のサウスウエスト航空」を目指し、商業用ロケットの低価格・高頻度打ち上げを実現。
「2035年までに人類を火星へ」と本気で宣言し、Starshipによる火星移住計画が動き始めています。
少年時代のいじめや孤独、起業時代の極貧、幾度もの失敗──
どんな時も「諦めない」「必ず道はある」と信じ抜く姿勢が、常識を打ち破る原動力となっています。
「人類の未来に最も貢献できることは何か?」という問いを持ち続けていることが、事業の選択や意思決定の軸になっています。
「まずは現物の試作品を作ることが大切」と語り、理論だけでなく“行動”で結果を出すことを重視しています。
イーロン・マスクは「火星で死にたい」と語ります。
これは単なる夢想ではなく、彼にとって「人類が絶滅しない未来」を本気で考え抜いた結果の“覚悟”です。
「クレイジー」と揶揄されても、彼は前例も常識も恐れずに挑戦を続けています。
そのエネルギーの源は、幼少期の“孤独”と“読書”、そして“世界を救いたい”という真っ直ぐな思い。
あなたも、もし今いる場所で「自分には何もできない」と感じていたとしても、孤独や失敗、逆境を“チャンス”に変え、世界を変える原動力にできるかもしれません。
イーロン・マスクの生き方は、それを私たちに強烈に教えてくれています。