
「注目バイアス」が武器になる理由──情報を“引き...
8/2(土)
2025年
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ビジョナリー編集部 2025/07/30
同僚が遅刻してきた時、あなたはこう思ったことはありませんか?
「また遅刻か…。きっとだらしない性格なんだろう。」
一方、自分が遅刻したときはどうでしょう。
「いや、今日は電車が遅れてたし、昨晩は急なトラブル対応でほとんど寝ていない。仕方ない…。」
他人の行動はその人の性格や能力のせいにしがちなのに、自分の行動は状況や環境のせいにしてしまう——これこそが「根本的な帰属の誤り」です。
今回は、根本的な帰属の誤りがなぜ起きやすいのか、そしてどのように向き合えば良いのかを解説します。
心理学に「帰属理論」という考え方があります。これは、人は身の回りの出来事や行動の原因を、「内的帰属」か「外的帰属」に分けて説明しようとするというものです。
私たちは他人の失敗やミスを目の当たりにすると、つい「内的帰属」ばかりに目が向きがちです。逆に、自分のときは「外的帰属」で正当化してしまう傾向が強いのです。
この偏りこそが「根本的な帰属の誤り」と呼ばれ、あらゆる組織やチームも起こりうるものです。
Aさんが契約書の記載ミスをしてしまいました。上司のBさんは、「Aはいつも注意が足りない。やっぱりルーズな性格なんだ」と決めつけてしまったのです。でも実際には、
などの外的要因もあったかもしれません。本人の置かれている状況やチームの業務環境を無視してしまうと、成長の芽を摘み、組織全体の改善機会も失われてしまいます。
営業担当者の成績が悪いと、「あの人は努力が足りない」「営業センスがない」と評価しがちです。でも、与えられたリストや担当エリアに
といった「外的要因」が隠れているかもしれません。
ビジネスの現場はスピードが命です。私たちは日々、多くの判断を瞬時に下しています。他人の行動の背景をじっくり考えるより、直感的に「あの人はこういう人だ」と決めてしまう方が楽で効率的に見えてしまうのです。
また、自分自身の状況は細かく知っている一方で、他人の置かれている背景や事情は知る機会が少ないため、「内的要因」で片付けてしまう傾向が強まります。
人は「自分をよく見せたい」「自分のミスは状況のせいにしたい」という本能を持っています。「自己奉仕バイアス」という「自分の成功は自分の能力や努力のおかげ、自分の失敗は環境や他人のせい」と捉えてしまう心理があり、自分には甘く他人には厳しくなりがちです。
他人の行動やミスを評価するとき、どのような状況でその行動が起きたのかを必ず確認しましょう。
と事実ベースで確認し、決めつけを避ける癖をつけましょう。
もし自分が同じ状況にいたら、同じミスをしなかっただろうか?と自問自答してみてください。
この視点の転換が、相手の立場を理解する第一歩です。
と、一度立ち止まる時間を持ちましょう。
「根本的な帰属の誤り」は、誰もが持っている認知のクセです。
この3つを意識することが、組織の健全な成長や自分自身のリーダーシップ向上につながります。
人のせいにする前に、ほんの一歩立ち止まってみませんか?それが、強いチームを生み出す第一歩になるはずです。