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2025

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    人のせいにばかりしていませんか?ビジネスマンが知っておきたい「根本的な帰属の誤り」とは

    人のせいにばかりしていませんか?ビジネスマンが知っておきたい「根本的な帰属の誤り」とは

    同僚が遅刻してきた時、あなたはこう思ったことはありませんか?

    「また遅刻か…。きっとだらしない性格なんだろう。」

    一方、自分が遅刻したときはどうでしょう。

    「いや、今日は電車が遅れてたし、昨晩は急なトラブル対応でほとんど寝ていない。仕方ない…。」

    他人の行動はその人の性格や能力のせいにしがちなのに、自分の行動は状況や環境のせいにしてしまう——これこそが「根本的な帰属の誤り」です。
    今回は、根本的な帰属の誤りがなぜ起きやすいのか、そしてどのように向き合えば良いのかを解説します。

    根本的な帰属の誤りとは?

    心理学に「帰属理論」という考え方があります。これは、人は身の回りの出来事や行動の原因を、「内的帰属」か「外的帰属」に分けて説明しようとするというものです。

    • 内的帰属とは:原因をその人自身の性格や能力など「内的な要因」に求める
    • 外的帰属とは:原因を環境や状況など「外的な要因」に求める
       

    私たちは他人の失敗やミスを目の当たりにすると、つい「内的帰属」ばかりに目が向きがちです。逆に、自分のときは「外的帰属」で正当化してしまう傾向が強いのです。
    この偏りこそが「根本的な帰属の誤り」と呼ばれ、あらゆる組織やチームも起こりうるものです。

    よくある「根本的な帰属の誤り」の実例

    ケース1:部下のミスを「性格のせい」にしていませんか?

    Aさんが契約書の記載ミスをしてしまいました。上司のBさんは、「Aはいつも注意が足りない。やっぱりルーズな性格なんだ」と決めつけてしまったのです。でも実際には、

    • その日、Aさんは複数の案件を同時に処理していた
    • 前日に突然タスクが追加され、睡眠時間も削られていた
    • チーム全体が繁忙期でサポート体制が十分でなかった
       

    などの外的要因もあったかもしれません。本人の置かれている状況やチームの業務環境を無視してしまうと、成長の芽を摘み、組織全体の改善機会も失われてしまいます。

    ケース2:営業成績が伸びない理由は「やる気」だけ?

    営業担当者の成績が悪いと、「あの人は努力が足りない」「営業センスがない」と評価しがちです。でも、与えられたリストや担当エリアに

    • そもそも成約につながりにくい顧客が多かった
    • 市場全体が冷え込んでいた
       

    といった「外的要因」が隠れているかもしれません。 記事内画像

    なぜ「根本的な帰属の誤り」が起きやすいのか?

    即断即決が落とし穴に

    ビジネスの現場はスピードが命です。私たちは日々、多くの判断を瞬時に下しています。他人の行動の背景をじっくり考えるより、直感的に「あの人はこういう人だ」と決めてしまう方が楽で効率的に見えてしまうのです。
    また、自分自身の状況は細かく知っている一方で、他人の置かれている背景や事情は知る機会が少ないため、「内的要因」で片付けてしまう傾向が強まります。

    「自分を守りたい」心理

    人は「自分をよく見せたい」「自分のミスは状況のせいにしたい」という本能を持っています。「自己奉仕バイアス」という「自分の成功は自分の能力や努力のおかげ、自分の失敗は環境や他人のせい」と捉えてしまう心理があり、自分には甘く他人には厳しくなりがちです。

    放置すれば組織が危うくなる——根本的な帰属の誤りの怖さ

    チームの信頼や協力体制が崩れる

    • 他人に対して「性格や能力の問題」と決めつけてばかりでは、相手は納得せず反感を買ってしまい、正しく反省することが難しくなります。
    • ミスや失敗を個人の資質のせいにしてばかりだと、 組織全体での業務改善や仕組みの見直しが進みません。

    「改善」より「非難」が優先される悪循環

    • 問題の本当の原因を探るのではなく、誰かを責めることが目的になってしまいます。
    • 組織に言い訳や責任転嫁が蔓延し、健全なコミュニケーションが阻害されます。

    根本的な帰属の誤りにどう向き合う?

    1. 状況や環境を徹底的に確認する

    他人の行動やミスを評価するとき、どのような状況でその行動が起きたのかを必ず確認しましょう。

    • 「何か影響した事情があったのか?」
    • 「周囲の環境はどうだったのか?」
       

    と事実ベースで確認し、決めつけを避ける癖をつけましょう。

    2. 「自分が同じ立場なら?」と考えてみる

    もし自分が同じ状況にいたら、同じミスをしなかっただろうか?と自問自答してみてください。

    • 「私だったらどう行動しただろう?」
    • 「同じように失敗する可能性はなかったか?」
       

    この視点の転換が、相手の立場を理解する第一歩です。

    3. 自分のバイアスに気づく習慣を持つ

    • 「私はこの人の性格だけに原因を求めていないか?」
    • 「状況や環境もきちんと考慮できているか?」
       

    と、一度立ち止まる時間を持ちましょう。

    まとめ

    「根本的な帰属の誤り」は、誰もが持っている認知のクセです。

    • 事実と状況を冷静に分析する習慣
    • 相手への思いやりと視点の切り替え
    • 自分自身のバイアスを意識する自省力
       

    この3つを意識することが、組織の健全な成長や自分自身のリーダーシップ向上につながります。
    人のせいにする前に、ほんの一歩立ち止まってみませんか?それが、強いチームを生み出す第一歩になるはずです。

    #バイアス

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