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100万ドルで永住権?──アメリカ新制度と世界に広がる移住の選択肢
ビジョナリー編集部 2025/12/15
世界中から人々が集まるアメリカは、移住先として人気を誇ります。そのような中、移民政策のあり方として注目を集めているのが「トランプ・ゴールドカード」の誕生です。これは、100万ドル(約1億5600万円)を支払うことで永住権を獲得できるという、従来の永住権取得の仕組みとは大きく異なる制度です。
この制度の導入で、アメリカ政府は1000億ドルを超える歳入を見込んでいると発表されました。
従来の永住権取得ルート
アメリカ永住権カードは、かつて緑色だったことから今でも「グリーンカード」と呼ばれています。 グリーンカードを取得できると、アメリカ国内で無期限の滞在と就労が可能になります。就職や起業、大学進学も自由にでき、さらに、5年以上保有すれば市民権申請の道も開かれ、アメリカ社会の一員として幅広い権利を享受できるのです。 代表的な取得ルートは以下の4つです。
1. DV抽選プログラム(多様性ビザ)
アメリカへの移民が少ない国籍者を対象にした抽選制度です。毎年10月から11月に応募を受け付け、全世界から数百万人が挑戦しますが、当選確率は1%未満という超難関。無料で応募できるため、毎年チャレンジする人も少なくありません。
2. 家族スポンサーによる申請
すでにアメリカ市民や永住権保持者となっている家族がいる場合、その家族がスポンサーとなることでグリーンカードを申請できます。配偶者や未成年の子供、親、兄弟姉妹が対象となりますが、スポンサー側には申請者の経済的サポート義務が生じます。
3. 雇用ベース(EBビザ)
アメリカ企業や大学がスポンサーとなり、専門的な職種や投資家、卓越した才能を持つ人材などに永住権を付与します。なかでもEB-5ビザは、一定額以上の投資(現行は最低80万ドル以上)(地域や制度改定により変動)を行い、雇用創出に貢献することで取得できる制度です。
4. 特別な状況に基づく申請
難民や人身売買・犯罪の被害者など、特定の困難な状況にある人も、条件を満たすことで永住権取得が認められるケースがあります。
グリーンカード取得のメリットと注意点
グリーンカードを持つことで得られるメリットは大きく、無期限の滞在権、就労・起業の自由、市民と同等の学費で名門大学に進学できる権利、さらには社会保障制度の利用など、生活のあらゆる面で“自由”が得られます。
一方で、「市民権」とは異なる点も押さえておく必要があります。選挙権はなく、FBIやCIAなど国家機密に関わる職業には就けません。また、1年の半分以上を国外で過ごすと「永住の意思なし」と判断され、永住権を失効する可能性があります。権利と義務のバランスを理解しておくことが大切です。
永住権が取得しやすい国はどこか?
「アメリカは難しそう…」「他の国も選択肢にしたい」──そんな方にとって、永住権取得のハードルが比較的低い国はどこでしょうか。近年、各国が経済活性化や多様性推進を目的に、移住者を積極的に受け入れるプログラムを設けています。ここでは、その代表例を紹介します。
カナダ
カナダは技術系人材や起業家、家族移民を積極的に受け入れており、ポイント制(エクスプレス・エントリーや州推薦プログラム)を導入しています。年齢・学歴・職歴・語学力などを総合的に評価し、高得点者から順に永住権の申請権が与えられます。現地での就業経験を積んだ後、永住権に“ステップアップ”できる柔軟さも魅力です。治安や教育、医療の水準が高く、家族連れにも人気があります。
オーストラリアとニュージーランド
オセアニア地域では、オーストラリアとニュージーランドが移住希望者にとって有力な選択肢となっています。両国ともポイント制を採用し、年齢や職歴、英語力、指定職種でのスキルなどを評価基準としています。特にオーストラリアは「職業リスト」に掲載された職種であれば、永住権取得のチャンスが大きく広がります。自然環境と都市生活のバランス、治安の良さも大きな魅力です。
ポルトガル・スペイン
ヨーロッパでは、ポルトガルやスペインが「ゴールデンビザ」プログラムを展開しています。一定額以上の不動産投資や雇用創出に貢献することで、まずは長期滞在ビザを取得し、数年後に永住権へステップアップできる制度です。ポルトガルは特に生活コストが低く、温暖な気候と治安の良さで欧州内外から人気を集めています。
マレーシア・タイ・フィリピン
物価が安く、温暖な気候と豊かな自然が魅力の東南アジア諸国も永住権取得を目指す人々に支持されています。マレーシアは「マイ・セカンドホーム(MM2H)」プログラムなど、一定の金融資産や収入証明があれば長期滞在が可能です。タイやフィリピンでは、リタイアメントビザや投資家向けビザが制度化されており、特にシニア層やリタイア後の生活拠点として選ばれています。
ドバイ・マルタ
近年、ドバイやマルタといった移住先も注目を集めています。ドバイの「ゴールデンビザ」は10年の長期滞在権を付与し、再投資や事業展開といった経済的貢献が条件です。マルタは不動産購入や政府への寄付などで永住権が認められ、ヨーロッパとアフリカの結節点として独自の魅力を持っています。
“住みやすさ”は永住権の取りやすさだけじゃない
永住権取得のハードルが低い国だからといって、そのまま「住みやすい国」とは限りません。例えば、医療や教育、治安、言語の壁、税制の複雑さなど、多くの要素が生活の質を左右します。現地の生活コストやインフラ整備の状況、気候や食文化、さらに宗教観なども、長期的な満足度に直結します。
現地での仕事探しや、家族の適応力、社会保障や医療体制も、移住前にしっかり確認したいポイントです。たとえば、カナダやオーストラリアは公共サービスが充実していますが、税負担が高い一面もあります。タイやフィリピンはコストパフォーマンスが高いものの、医療や治安には地域差があるため注意が必要です。
まとめ
アメリカの「トランプ・ゴールドカード」のような新制度が登場し、経済力を背景に永住権を得る選択肢が広がる一方、アメリカ以外にも魅力的な移住先は多様化し、「どの国でどんな人生を送りたいか」という問いに、より多くの答えが用意される時代になりました。
「新しい国、新しい人生」に挑戦したいと考える時に、永住権取得の仕組みや条件だけでなく、その国の文化や生活のリアル、家族や自分自身の価値観との相性をじっくり見極めてみてください。
「どこに住むか」は、人生を大きく左右する決断です。だからこそ、最新の制度や現地の情報を調べ、自分にとって納得のいく選択肢を選びましょう。アメリカの新制度も、各国の多様な永住権プログラムも、あなたの人生の扉を開くカギになるかもしれません。
※ 記事内の情報は2025年12月時点のものです。


