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2025

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    もし銀行が倒産したら?預金保険制度で預金を守る方法と知っておきたいポイント

    もし銀行が倒産したら?預金保険制度で預金を守る方法と知っておきたいポイント

    毎日の生活や将来のために、コツコツと貯金してきた大切なお金。預金通帳を見てホッとしたり、次の目標を思い描いたりする瞬間もあるのではないでしょうか。ところが、もしもその銀行が突然経営破綻したとしたら…
    実は、こうした心配に備え、日本には“預金保険制度”という強力なセーフティーネットが用意されています。
    本記事では、「もし大手銀行が倒産したら預金はどうなるのか?」をテーマに、預金保険制度の全貌と、預金者が知っておくべきポイントを解説します。

    あなたの預金を守る「預金保険制度」とは?

    預金保険制度の概要

    預金保険制度とは、金融機関が経営破綻し、預金の払い戻しができなくなった場合に、預金者を一定範囲で保護する仕組みです。

    • 運営主体は、政府・日本銀行・民間金融機関が共同で出資する「預金保険機構」
    • 原資は、金融機関が支払う預金保険料
    • 預金者は自動的に保護対象となり、特別な申し込みや保険料負担は不要

    制度の歴史と進化

    日本では1990年代後半に多くの金融機関が破綻し、金融システムへの信頼が大きく揺らぎました。その経験を経て、現在の預金保険制度は大きく強化され、預金者の資産保全と社会的な経済秩序の安定を担う役割を果たしています。

    保護される預金の範囲

    預金保険制度の適用範囲には明確なルールがあります。

    全額保護される「決済用預金」

    全額保護の対象となるのが「決済用預金」です。決済用預金とは、以下の3つの条件をすべて満たす預金を指します。

    1. 利息がつかない
    2. いつでも払い戻しができる(要求払い)
    3. 決済サービス(公共料金の引き落としなど)が利用できる
       

    このタイプの預金として代表的なのは、

    • 当座預金
    • 利息のつかない普通預金
       

    などです。これらは、破綻した場合でも預金全額が戻ってきます。

    限度額付きで保護される「一般預金」

    一方で、利息がつく普通預金や定期預金など、いわゆる「一般預金」は、1金融機関ごとに、預金者1人あたり元本1,000万円までとその利息が保護の上限となっています。
    たとえば、A銀行に1,500万円の定期預金がある場合、1,000万円とその利息は預金保険機構によって確実に払い戻されますが、残りの500万円分は破綻した銀行の財務状況次第となります。

    保護されない預金もある――対象外となる金融商品

    「預金」と名がついていても、預金保険制度の対象外となる場合があります。

    保護対象外の主な例

    • 外貨預金
    • 譲渡性預金(NCD)
    • 金融債(保護預り専用商品以外)
    • 元本補てん契約のない金銭信託
    • 投資信託
    • 無記名預金、他人・架空名義の預金
       

    これらは、万が一銀行が倒産した場合、預金保険制度の枠組みで保護されません。そのため、回収できるかどうかは破綻金融機関の財務状況や、破綻処理の進捗に左右されます。

    なぜ対象外なのか

    預金保険制度は、日常生活に不可欠な資金決済や貯蓄の安全を守ることを目的としています。投資性の高い商品や、為替リスクを伴う外貨預金などは、投資者自身の判断と責任に委ねるべきという考え方に基づいています。

    実際にペイオフが発動された事例

    2010年、日本振興銀行が経営破綻し、日本で初のペイオフが実施されました。同銀行は主に定期預金のみを扱っていたため、一般の生活資金への影響は限定的でしたが、

    • 1,000万円までとその利息は預金保険で保護
    • それを超える部分は銀行の財産状況を踏まえた「弁済率」で払い戻し
       

    という原則通りの処理が行われました。

    個人預金者ができること・気を付けたいこと

    「1,000万円を超える預金があるが、どうすれば…」と不安に思われる方も少なくありません。大切なのは、預金保険制度の仕組みを理解し、適切な分散と管理を行うことです。

    名寄せに注意

    1つの金融機関に複数の口座を持っていても、「同じ名義」の場合は合算(名寄せ)されます。たとえば、普通預金と定期預金をそれぞれ2口座持っていた場合でも、合計で1,000万円までしか保護されません。

    • 法人の場合も、本社・支店・営業所を問わず合算扱い
    • 家族名義で分散は可能。ただし借名や架空名義は対象外&贈与税のリスクも

    金融機関の分散も有効

    1,000万円を超える預金がある場合は、複数の金融機関に分散することで、預金保険の範囲を最大限に活用できます。たとえば、A銀行とB銀行にそれぞれ1,000万円ずつ預ければ、計2,000万円が保護対象となります。
    ただし、管理が煩雑になったり、相続などの際に手間が増えるデメリットもあります。

    全額保護の「決済用預金」への切り替え

    利息が不要な場合は、決済用預金(利息なし普通預金や当座預金)に切り替えることで全額保護を受ける方法もあります。主要メガバンクをはじめ、多くの銀行でこのサービスを提供しています。

    • 切り替えは簡単、手数料も不要
    • ただし金利はゼロ
       

    「安心をとるか、金利をとるか」――ご自身のニーズに合わせて選択することが大切です。

    よくある疑問・誤解を解消

    Q. 預金保険制度に加入手続きが必要ですか?

    A. 預金保険制度は、銀行が自動的に預金者を保護します。 預金者が手続きや保険料を支払う必要は一切ありません。

    Q. 利息も保護されるのですか?

    A. 1,000万円までの元本+破綻日までの日割り利息が保護対象です。 満期時の全利息ではなく、破綻日までの利息を日割り計算した分がカバーされます。

    Q. 1,000万円を超えた分は絶対に戻らない?

    A. 一部戻る場合もあります。 超過分は銀行の財産状況に応じて「弁済率」により支払われます。破綻した銀行の資産回収状況によっては、数割が戻るケースもあれば、ほとんど戻らない場合もあります。

    まとめ:預金保険制度を正しく理解し、賢く資産を守ろう

    「もし大手銀行が倒産したら預金はどうなるのか?」という問いに対し、多くの方が漠然とした不安を抱きがちです。しかし、預金保険制度を正しく知ることで、その不安は「知恵」に変わります。

    • 決済用預金は全額保護
    • 一般預金は1,000万円まで
    • それを超える分はリスクがあるが、全額が失われるわけではない
       

    こうした“ルール”を押さえたうえで、自分の資産の置き方を見直してみることが、預金者としての最善のリスク管理です。預金保険制度の正しい知識を身につけ、より安心できる資産管理を心がけてみてください。

    #預金保険制度#ペイオフ#銀行倒産#資産保護#金融リスク#銀行破綻#預金保障

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