
最低賃金はいつ誰が決めるのか。どのようなときに上...
9/3(水)
2025年
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ビジョナリー編集部 2025/09/02
毎日の生活や将来のために、コツコツと貯金してきた大切なお金。預金通帳を見てホッとしたり、次の目標を思い描いたりする瞬間もあるのではないでしょうか。ところが、もしもその銀行が突然経営破綻したとしたら…
実は、こうした心配に備え、日本には“預金保険制度”という強力なセーフティーネットが用意されています。
本記事では、「もし大手銀行が倒産したら預金はどうなるのか?」をテーマに、預金保険制度の全貌と、預金者が知っておくべきポイントを解説します。
預金保険制度とは、金融機関が経営破綻し、預金の払い戻しができなくなった場合に、預金者を一定範囲で保護する仕組みです。
日本では1990年代後半に多くの金融機関が破綻し、金融システムへの信頼が大きく揺らぎました。その経験を経て、現在の預金保険制度は大きく強化され、預金者の資産保全と社会的な経済秩序の安定を担う役割を果たしています。
預金保険制度の適用範囲には明確なルールがあります。
全額保護の対象となるのが「決済用預金」です。決済用預金とは、以下の3つの条件をすべて満たす預金を指します。
このタイプの預金として代表的なのは、
などです。これらは、破綻した場合でも預金全額が戻ってきます。
一方で、利息がつく普通預金や定期預金など、いわゆる「一般預金」は、1金融機関ごとに、預金者1人あたり元本1,000万円までとその利息が保護の上限となっています。
たとえば、A銀行に1,500万円の定期預金がある場合、1,000万円とその利息は預金保険機構によって確実に払い戻されますが、残りの500万円分は破綻した銀行の財務状況次第となります。
「預金」と名がついていても、預金保険制度の対象外となる場合があります。
これらは、万が一銀行が倒産した場合、預金保険制度の枠組みで保護されません。そのため、回収できるかどうかは破綻金融機関の財務状況や、破綻処理の進捗に左右されます。
預金保険制度は、日常生活に不可欠な資金決済や貯蓄の安全を守ることを目的としています。投資性の高い商品や、為替リスクを伴う外貨預金などは、投資者自身の判断と責任に委ねるべきという考え方に基づいています。
2010年、日本振興銀行が経営破綻し、日本で初のペイオフが実施されました。同銀行は主に定期預金のみを扱っていたため、一般の生活資金への影響は限定的でしたが、
という原則通りの処理が行われました。
「1,000万円を超える預金があるが、どうすれば…」と不安に思われる方も少なくありません。大切なのは、預金保険制度の仕組みを理解し、適切な分散と管理を行うことです。
1つの金融機関に複数の口座を持っていても、「同じ名義」の場合は合算(名寄せ)されます。たとえば、普通預金と定期預金をそれぞれ2口座持っていた場合でも、合計で1,000万円までしか保護されません。
1,000万円を超える預金がある場合は、複数の金融機関に分散することで、預金保険の範囲を最大限に活用できます。たとえば、A銀行とB銀行にそれぞれ1,000万円ずつ預ければ、計2,000万円が保護対象となります。
ただし、管理が煩雑になったり、相続などの際に手間が増えるデメリットもあります。
利息が不要な場合は、決済用預金(利息なし普通預金や当座預金)に切り替えることで全額保護を受ける方法もあります。主要メガバンクをはじめ、多くの銀行でこのサービスを提供しています。
「安心をとるか、金利をとるか」――ご自身のニーズに合わせて選択することが大切です。
A. 預金保険制度は、銀行が自動的に預金者を保護します。 預金者が手続きや保険料を支払う必要は一切ありません。
A. 1,000万円までの元本+破綻日までの日割り利息が保護対象です。 満期時の全利息ではなく、破綻日までの利息を日割り計算した分がカバーされます。
A. 一部戻る場合もあります。 超過分は銀行の財産状況に応じて「弁済率」により支払われます。破綻した銀行の資産回収状況によっては、数割が戻るケースもあれば、ほとんど戻らない場合もあります。
「もし大手銀行が倒産したら預金はどうなるのか?」という問いに対し、多くの方が漠然とした不安を抱きがちです。しかし、預金保険制度を正しく知ることで、その不安は「知恵」に変わります。
こうした“ルール”を押さえたうえで、自分の資産の置き方を見直してみることが、預金者としての最善のリスク管理です。預金保険制度の正しい知識を身につけ、より安心できる資産管理を心がけてみてください。