Diamond Visionary logo

8/29()

2025

SHARE

    人手不足で給食が止まる? 危機的状況の給食センターを救う、厨房大手とAIベンチャーの「特許技術」がすごい

    人手不足で給食が止まる? 危機的状況の給食センターを救う、厨房大手とAIベンチャーの「特許技術」がすごい

    この記事で紹介された企業

    人手不足の給食センターを救う一手。厨房大手とAIベンチャーが共同開発した「3つのシステム」の全貌

    子どもたちの健やかな成長を支える学校給食。その裏側では、食中毒を予防するための厳格な衛生管理と、深刻化する人手不足という大きな課題が存在する。業務用厨房機器メーカー大手の株式会社中西製作所(本社:大阪市生野区、代表取締役社長:中西一真、東証スタンダード:5941)が設計・施工を手掛ける給食センターも、例外ではない。

    文部科学省が定める「学校給食衛生管理基準」に則った管理・運用はもちろんのこと、調理スペースのレイアウトや調理員の動線には、専門的な知識とノウハウが不可欠だ。加えて、地域や年度ごとに変動するメニュー、クラス数、児童数にも柔軟に対応しながら、最少人数で迅速かつ効率的に調理から配送までを行わなければならない。

    この困難な課題に挑むべく、中西製作所がタッグを組んだのは、AI技術に強みを持つ株式会社pluszero(本社:東京都世田谷区、代表取締役:小代義行 / 森遼太、東証グロース:5132)。両社が共同で開発し、特許を出願したという3つのAIシステムは、学校給食関連作業のさらなる業務効率化、品質と精度の向上を実現し、人材不足の解消を目指す、まさに“切り札”となり得るものだ。

    ①コンテナ積載最適化システム

    職人技をAIで代替する「積載の最適解」

    学校給食で使われる食器や食缶は、毎日コンテナやカートに載せられ、各学校のクラスへと届けられる。給食センターを計画する上では、学校ごとに必要なコンテナの台数を正確に算出する必要があり、そのための積載検討は、これまで人手に頼らざるを得なかったという。これはまさに職人技の世界であり、担当者には大きな負担がかかる、時間のかかる作業だった。

    今回開発されたシステムでは、食器の形状や数、クラスの人数といった情報を入力するだけで、AIがシミュレーションを実行。食器カゴへの詰め方から、給食の入った食缶との組み合わせまで考慮し、コンテナやカートへの最適な積載方法を瞬時に提案するという。

    この、AIによって積載シミュレーションを行い、最適な方法を導き出す技術について、両社は特許を出願している。

    記事内画像 ▲コンテナ積載図 記事内画像 ▲カゴ収納図 記事内画像 ▲現物収納写真

    ②配送最適化システム

    「調理後2時間」の壁を越える最適ルート

    学校給食には、「調理後2時間以内に給食」できるよう努める、という重要なルールがある。このルールを遵守するためには、各施設の給食時間やコンテナ台数を考慮し、トラックの効率的な巡回ルートを計画しなければならない。人手不足が叫ばれる昨今、トラックの台数を最小化し、最少人数の運転手で運用することは至上命題だ。地図を睨みながら人力でルートを考える作業は、現場にとって非常に負担の大きいものだった。

    本システムでは、こうした複雑な条件をAIが複合的に勘案し、最適な配送ルートを提案。トラックの大きさと配送コンテナ、巡回順序などを最適化することで、トラックと運転手の数を最小化し、現場の負担を劇的に軽減するという。

    配送地点の位置情報や給食開始時間といった諸条件から、最適な配送計画をAIに策定させるこの技術も、特許が出願されている。
    記事内画像 ▲配送計画案イメージ

    ③図面管理システム

    30年分の“知の資産”をAIで掘り起こす

    中西製作所には、過去30年以上にわたりCADで設計してきた、全国の小中学校の給食室や給食センターの図面が蓄積されている。その数、約75万枚。これらはまさにノウハウの塊だが、給食センターに求められる機能は時代や自治体ごとに異なり、過去の類似案件を参考にしようにも、図面がファイルサーバーに眠っているだけでは、その価値を十分に引き出せずにいた。検索性が低く、結局は同僚や上司の記憶に頼らざるを得ない状況だったという。

    この課題を解決するのが、図面管理システムだ。AIが過去の図面が格納されたフォルダーをクローリングし、図面の形状や設置されている機械の詳細を把握。それらの情報をキーワードやタグとして自動で保管する。これにより、膨大な過去図面の中から、必要な情報を瞬時に検索できるようになったという。

    図面に記載されたテキストデータの場所(座標)と意味をAIに組み合わせさせ、形状や特徴を判定させるこの独自技術についても、特許が出願されている。
    記事内画像 ▲検索画面イメージ

    今後の展望

    「いただきますの未来を作る。」をコーポレートスローガンに掲げる中西製作所は、2023年7月に厨房業界で初となるDX認定を取得するなど、業界の変革をリードする存在だ。

    中西製作所では、今後もAIをはじめとしたIT技術を活用したDXに積極的に取り組み、顧客の業務効率化、省人化、そして品質・精度の向上に貢献していく構えだという。今回の取り組みは、その大きな一歩となるに違いない。

    株式会社中西製作所について

    株式会社中西製作所は、1946年創業の業務用厨房機器メーカーです。学校給食向け厨房機器の製造・販売、設計、施工、開設支援までトータルサポートを行っています。現在は病院、福祉施設、社員食堂、大手外食チェーンなど多様な調理施設へも事業を拡大し、安心・安全で効率的な調理環境づくりを支援しています。
    https://www.nakanishi.co.jp/
    記事内画像

    株式会社pluszeroについて

    株式会社pluszeroは、AI・自然言語処理・ソフトウェア・ハードウェア等の各種テクノロジーを統合的に活用したソリューション提供・開発・保守・運用および販売、ならびに受託及びそれらに付帯するコンサルティング業務をおこなっています。
    https://plus-zero.co.jp
    記事内画像

    この記事で紹介された企業

    あわせて読みたい

    記事サムネイル

    ファスティングは「我慢」から「楽しむ」へ。サンス...

    記事サムネイル

    「なぜ貼れる?」――建設業界の常識を覆したニチバ...

    記事サムネイル

    なぜ、都心を知る人ほど「練馬」を選ぶのか? アク...

    記事サムネイル

    55周年の「ビーバー」は“おめでタイ”! 北陸の...

    Diamond AI trial

    ピックアップ

    Diamond AI