
ビジネスマンこそ要注意!「生存者バイアス」に潜む...
7/23(水)
2025年
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ビジョナリー編集部 2025/07/22
日々の商談やプレゼン、広告作り、あるいは社内資料のデザインに至るまで、私たちは「伝わる表現」に頭を悩ませています。しかし、実は多くのビジネスパーソンが見落としている「強力な心理現象」が存在します。それが、クレショフ効果です。
もし初耳だったとしても、あなたはすでにその影響下にあるかもしれません。なぜなら、この効果は私たちが日常的に受け取っている広告や情報に潜んでいるからです。
「顧客にもっと良い印象を持ってもらいたい」「自社商品に深いストーリー性を持たせたい」──そんな願いを持つ方は、ぜひ最後までご一読ください。
クレショフ効果とは、「本来関係のない画像や映像を連続して見せるだけで、私たちはそれらの間に意味や感情を勝手に見出してしまう現象」のことです。
この効果の名は、1922年にロシアの映画監督クレショフ氏が行った実験に由来します。彼は、無表情の男性の顔写真と、全く関係のない別の写真を組み合わせて見せることで、見る人の解釈が驚くほど変わることを示しました。
この現象は、映画やテレビCM、広告デザイン、ビジネスプレゼン資料に至るまで、あらゆる場面で人の印象や感情を操作する「隠れた力」として活用されています。
例えば次のような経験はありませんか?
これらも、クレショフ効果によって、無意識に連想をしているのです。
たとえば高級ハムを販売するとしましょう。
このように、商品の背景や一緒に映る要素によって、購入への動機や商品の価値そのものまで変わってしまうのです。
たとえば洗剤や柔軟剤のCMでよく見る「青空の下、真っ白なシャツがはためく」映像。
「この洗剤で洗えば、爽やかで清潔な香りと心地よい仕上がりが得られる」と感じてしまう……これもクレショフ効果の力です。
企業のブランドイメージを「誠実」「信頼」「革新性」などの抽象的な価値で表現したい場合、
こういった象徴的なイメージと自社ロゴや商品を並べることで、「この会社は爽やかで信頼できそうだ」と直感的に感じさせることが可能です。
このように、自分の印象を補正するための小道具選びも、クレショフ効果の一種といえるのです。
クレショフ効果は、受け手に「どんな印象を持ってほしいか」を具体的に設計したうえで使うのが鉄則です。曖昧なまま映像や画像を組み合わせると、意図しない連想が生まれてしまい、
というリスクが高まります。
まずは、商品を「高級」と感じてほしいのか、「親しみやすい」と思ってほしいのかなど、ゴールを明確にしてください。
クレショフ効果は「認知バイアス」に基づいているため、受け手の文化背景や価値観、生活環境によって、想定外の解釈が生まれることもあります。
例えば、日本では「青空=爽やか」「白=清潔」と連想されやすいですが、国や年代、ライフスタイルによっては異なる意味を持つこともあります。
ターゲット層の当たり前や共通体験をリサーチし、それに合ったイメージやストーリーを紡ぐことが大切です。
クレショフ効果は強力な分、使い方を誤ると「逆効果」となることもあります。
など、負の連想が発生するリスクにも十分に注意を払う必要があります。
「受け手の立場に立って、誤解や不快感を招かないか?」を常に問い直し、細部まで気を配ることが、成功のカギとなります。
クレショフ効果は、「脈絡のないもの同士を並べるだけで、強い意味や物語を生み出す」心理テクニックです。
こうした使い方ができる一方、「受け手がどう感じるか」に最大限の注意を払う必要があります。
今日から、ぜひクレショフ効果を取り入れてみてください。印象は「偶然」ではなく、「デザイン」できるのです。