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7/23(水)
2025年
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ビジョナリー編集部 2025/07/22
「AIが仕事を奪う」。このフレーズをニュースやネット記事で目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。ChatGPTやCopilotなどの生成AIが次々と登場し、私たちの働き方は大きく変わりつつあります。しかし、「実際にどのような仕事がAIに置き換わるのか?」、「一方でAIによって生まれる新しい仕事はあるのか?」、「この波にどう備えるべきなのか?」といった疑問や不安も広がっています。
この記事では、AIによる失業の現実とその先にある新しい可能性、そしてこれからの時代を生き抜くための考え方について、最新の事例や研究を交えながら解説します。
実は、技術が仕事を奪う現象は今に始まったことではありません。1800年代、イギリスで織機が普及した際、手織り職人が大量に失業し、「ラッダイト運動」と呼ばれる機械打ち壊し運動が起こりました。また、20世紀初頭には自動車の登場で馬車の御者が、電卓やコンピューターの普及で「計算手」という職業が消滅したこともあります。
このような「技術的失業」は資本主義社会では繰り返し発生してきたのです。
「AI失業」と聞くと、すべての職業がなくなるのでは…と不安を覚えるかもしれません。しかし、実態はもう少し複雑です。
AIに代替されやすい仕事の共通点は、以下の3つです。
具体的には、以下のような職種が該当します。
すでにスーパーのセルフレジや、銀行の自動融資審査など、私たちの身近な場面で「AI化」が進んでいることにお気づきの方もいらっしゃるでしょう。ある大手銀行では、AIを活用したフィンテックの普及により、ここ数年で約3万人から2.6万人に従業員数が減少したというデータも出ています。
一方で、「AIには置き換えにくい仕事」も確かに存在します。
たとえば、以下のような職種が挙げられます。
AIは、膨大なデータからベストな組み合わせを提案することは得意ですが、「ゼロから何かを生み出す」「人の心を動かす」力は、まだまだ人間の領域です。
ここで注意していただきたいのは、「職業が丸ごと消える」というよりは、「一つの職業の中の特定の業務だけAIに代替される」ケースが多いという点です。
たとえば、スーパーの店員は「レジ打ち」がAI化されても、商品陳列や発注などの業務は残ります。しかし、レジ業務が不要になれば、全体の雇用は減少する可能性が高いのです。
このように、「消える仕事」と「残る仕事」の間にはグラデーションがあり、多くの職場で「一部自動化」が進むことで、雇用のあり方が変わっていくことが予想されます。
AIが普及することで新たに生まれる仕事や、需要が高まる職種も存在します。
このほかにも、AIを活用した新規ビジネスや、AIと人間が協働する新しいサービスの創出など、「AI時代ならではの働き方」は今後ますます増えていくでしょう。
AIによる自動化は、単に「失業が増える」という単純な話ではありません。「どのように労働力が新しい分野へ移動できるか」が、社会全体の安定や成長に直結するのです。
歴史的に見ても、農業から工業、工業からサービス業へと、社会の生産性が上がるたびに人々は新しい産業へと移動してきました。今後も、AIによって生産性が大きく向上すれば、余剰となった労働力が「AI時代ならではの新産業」へスムーズに移動できるかどうかが重要なポイントとなります。
ゴールドマン・サックスの分析によると、米国ではAIによる自動化で最大25%の仕事が消える可能性がある一方、労働市場が柔軟に機能すれば実際に失業する人は7%程度に抑えられると試算されています。
日本は「転職や職種の変更が難しい」「企業間の労働移動が不十分」といった構造的な課題も抱えており、AI普及時に大規模な雇用ショックが起こるリスクも指摘されています。
ここまでで「どんな仕事がなくなり、どんな仕事が残るのか」、そして「新しく生まれる仕事や、労働の流動性」が重要であることをお伝えしました。
では、私たちは何を意識し、どんなアクションを取ればよいのでしょうか?
AIに仕事を奪われるかどうかは、「AIを使えない人」と「AIを使いこなす人」の差となって表れます。AIの知識や、プログラミング、データ分析スキルなど、AI活用の基礎を身につけることで、新しいチャンスを掴みやすくなります。
たとえば、AIエンジニアやデータサイエンティストといった職種は今後ますます需要が高まる見込みです。
AIにはできない「人の心を動かす力」「共感力」「創造性」を高めることも大切です。営業やコンサルタント、クリエイター、医療・介護など「人間の感情や直感」が不可欠な分野では、今後も人材への需要は続くと考えられています。
たとえば、広告や芸術分野では、「この人だから買いたい」「この作品に感動した」といった人間特有の感性が重要視されています。
一つの職業や企業に固執するのではなく、「自分の強みを活かせる分野」に柔軟に移動できるスキルやマインドを持つことが、AI時代のキャリア構築には不可欠です。転職や副業、リスキリング(学び直し)など、多様な働き方にチャレンジすることが、リスク分散にもつながります。
AIは確かに一部の仕事を奪う存在です。しかし、同時に新しい仕事やビジネスを生み出す「可能性のエンジン」でもあります。大切なのは、「AIにできること・できないこと」を見極め、自分の強みやスキルを磨き続けること。そして、社会全体で「労働力の流動性」を高め、新しい挑戦を後押しする環境をつくることです。
「AIで失業するかも…」という不安を、「AIとともに新しいキャリアを創る」ワクワクに変えてみませんか?
変化の波を恐れるのではなく、学び、挑戦し続けることで、きっとあなたにも新しいチャンスが広がるはずです。