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いま知っておきたい戦争と紛争:現代まで続く世界の火種
ビジョナリー編集部 2025/10/06
「世界はいつ平和になるのか?」――この問いを一度は考えたことがある方も多いのではないでしょうか。
ニュースで流れるウクライナやパレスチナの情勢、SNSで話題になる戦争の映像。どこか遠い世界の出来事のようでいて、私たちの暮らしにも影響を及ぼしています。
本記事では、20世紀の二つの巨大な戦争――第一次世界大戦・第二次世界大戦――の全体像と、その後も続く「紛争」について、押さえておきたいポイントと現代の事例を交えながら解説します。
たった一つの事件が世界を巻き込む――第一次世界大戦とは?
「戦争はすぐ終わる」と多くの人が信じていた
1914年、オーストリア皇太子が暗殺されたサラエボ事件をきっかけに、ヨーロッパを中心とした世界大戦が幕を開けました。多くの人々は「クリスマスまでに終わる」と楽観的に考えていましたが、現実はまったく異なりました。
4年半にも及ぶ総力戦となり、死者は1000万人超。戦争の規模も、参加した国の数も、当時としては前代未聞でした。
協商国 vs 同盟国――対立の構図
第一次世界大戦は、
- 協商国(イギリス・フランス・ロシア・後にアメリカ・日本など)
- 同盟国(ドイツ・オーストリア=ハンガリー・オスマン帝国など)
という二大勢力に分かれて戦われました。
長期化した理由:国家総動員と新兵器の登場
戦争が長期化した背景には、「総力戦」という新しい戦い方がありました。国民全員が戦争に動員され、兵士だけでなく、工場での生産や食料供給、情報戦まで国家のあらゆる資源が投入されました。
また、戦車・飛行機・毒ガス・潜水艦といった新兵器が次々と実戦投入され、人類史上初めて「近代戦争」の姿を見せたのです。
日本の立場と変化
日本はアジアでドイツの拠点を占領し、戦後には南洋諸島などの領土を獲得しました。戦場にならなかった日本は一時的な経済成長(大戦景気)を享受しますが、戦後恐慌で大きな経済的打撃も受けます。
終戦とその後の世界
1918年、ドイツの降伏により戦争は終結。ヴェルサイユ条約でドイツには厳しい賠償が課せられ、それが後のナチス・ドイツの台頭や第二次世界大戦の原因の一つとなります。
アメリカはこの戦争を通じて経済的・軍事的に世界のトップに躍り出て、ヨーロッパは荒廃し、多くの国が国力を失いました。
歴史上最大の惨事へ――第二次世界大戦の全貌
ナチスの台頭と新たな火種
第一次世界大戦の傷が癒えない中、ドイツではヒトラー率いるナチスが、「ヴェルサイユ条約の不当さ」や経済不安を背景に急速に支持を拡大しました。そして1939年、ドイツがポーランドに侵攻。
イギリス・フランスがドイツに宣戦布告し、第二次世界大戦が始まります。
枢軸国 vs 連合国
第二次世界大戦は、
- 枢軸国(ドイツ・イタリア・日本など)
- 連合国(アメリカ・イギリス・ソ連・中国など)
が世界中で戦いました。日本は資源獲得と勢力拡大を狙って参加し、アメリカとの対立が決定的となります。1941年の真珠湾攻撃は、日本がアメリカと全面戦争に突入する大きな転換点でした。
総力戦の極致と新兵器の脅威
第二次世界大戦は、第一次大戦を上回る「総力戦」となり、民間人を巻き込む被害が激増します。
- 戦死者は5000万人以上とも言われ、ホロコーストなどの大量虐殺も発生
- 航空戦・レーダー・原子爆弾といった新兵器が初めて使われ、戦争の様相を一変させました
- 広島・長崎への原爆投下は、人類史に深い爪痕を残しました
終戦と戦後の世界秩序
ドイツ・イタリアの降伏、日本の敗戦(ポツダム宣言受諾)により、1945年に戦争は終結しました。
この戦争を経て、アメリカとソ連が二大超大国として台頭し、「冷戦」と呼ばれる新たな対立構造が生まれます。
また、日本は連合国軍(GHQ)による占領統治を受け、憲法や社会制度の徹底的な改革が行われました。
世界では国際連合(UN)が創設され、「二度と同じ過ちを繰り返さない」という強い決意が表明されました。
現代も続く「紛争」――戦争の形は変わったのか?
紛争と戦争の違い
「戦争」と「紛争」、この二つはどう違うのでしょうか?
戦争は国家間の大規模な武力衝突を指すことが多いですが、紛争は国家同士だけでなく、国内の勢力間や民族、宗教、資源など多様な要因で起こる武力衝突全般を含みます。現代では、「宣戦布告」がないまま始まるケースが増え、ニュースで「紛争」「内戦」として報道されることが一般的です。
紛争が起きる主な原因
紛争の背景には、以下のような要素が複雑に絡み合っています。
- 宗教・宗派の違い(例:イスラム教スンニ派とシーア派の対立)
- 民族の対立(例:ルワンダのフツ族とツチ族)
- 資源の争奪(例:ダイヤモンド、石油、穀物など)
- 政権の不安定や大国の介入
- 土地や歴史的経緯(例:パレスチナ問題)
特に、冷戦終結後は民族や宗教の対立を背景にした内戦や紛争が世界各地で頻発しています。
現在も続く紛争の実例とその影響
「戦争は過去のもの」と考えるのは危険です。2025年現在も、世界各地で深刻な紛争が続いています。
パレスチナ問題
パレスチナの土地を巡るユダヤ人とアラブ人の対立は、70年以上も続いています。
イスラエル建国後、パレスチナ人は難民化し、ガザ地区やヨルダン川西岸では深刻な人道危機が続いています。2023年のハマスとイスラエルの軍事衝突では、多くの民間人が犠牲となり、ガザへの人道支援が急務となっています。
ウクライナ侵攻
ロシアによるウクライナ侵攻(2022年~)は、「現代最大の戦争」とも言われます。
NATO加盟を巡る緊張や歴史的背景が絡み合い、戦闘は泥沼化。
世界的な食料・エネルギー価格の高騰も引き起こし、アフリカなど遠く離れた地域にも影響が広がっています。
シリア内戦
2011年の「アラブの春」以降、シリアでは政府軍と反政府勢力、さらにはイスラム国(ISIL)も絡む複雑な内戦が続いています。
死者は40万人超、難民は1000万人規模とも言われ、「今世紀最悪の人道危機」との呼び声も。
アフガニスタン、リビア、イエメン、ミャンマー…
これらの地域でも内戦や政権争い、大国の介入、宗教・民族対立が絶えません。
紛争が長期化することで、子ども兵士や難民、教育機会の喪失、感染症の拡大、貧困の悪化といった副次的被害が深刻化しています。
紛争がもたらす私たちへの影響
「遠い国の出来事」と思うかもしれませんが、紛争は実は私たちの生活とも無縁ではありません。
- 世界的な食料・資源価格の高騰
- 難民問題の拡大
- グローバルな経済不安
- 感染症やテロのリスク増加
たとえば、ウクライナ紛争による小麦価格の高騰は、日本のパンや麺類の値上げにも直結しています。
未来に向けて:紛争をどう防ぎ、どう向き合うか
紛争解決に向けた取り組み
紛争を防ぐためには、「予防外交」や「予防軍縮」、国際司法裁判所・国連など国際機関の介入、そしてNGOの草の根支援が不可欠です。
また、教育や医療支援、子ども兵士の保護など、長期的な人道支援の取り組みも進められています。
私たち一人ひとりにも、寄付や募金、継続的な関心という形でできることがあります。
まとめ
- 第一次世界大戦・第二次世界大戦は、世界の構造を根底から変えた
- 戦争・紛争は今も形を変えて続いており、私たちの暮らしにも影響している
- 宗教・民族・資源・政治・経済など、さまざまな要因が絡み合って「争い」は生まれる
- 国際社会・個人の双方にできることがある
今この瞬間も、どこかで争いが起き、誰かが苦しんでいます。だからこそ、歴史の事実を知り、自分にできる行動を考えること――それが、未来の平和に向けた第一歩となるのではないでしょうか。

