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11/5(木)

2026年

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    「金融の力と遺児支援が紡ぐ、未来へのチカラ」——あしなが育英会とMUFGが描く、次世代育成と持続可能な社会の実現

    「金融の力と遺児支援が紡ぐ、未来へのチカラ」——あしなが育英会とMUFGが描く、次世代育成と持続可能な社会の実現

     親の病や災害死、自死、あるいは親の障害などにより、経済的・精神的な困難に直面する子どもたち。半世紀以上にわたり、一貫してその歩みを支え続けてきたのが一般財団法人あしなが育英会である。同会の支援は単なる奨学金の貸与・給付にとどまらず、子どもたちの心のケアや学習支援、社会での自立に至るまで多角的に展開されてきた。

     この活動に深く共感し、強固なパートナーシップを構築しているのが、日本を代表する総合金融グループである三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)だ。

     同社は、掲げるパーパス「世界が進むチカラになる。」のもと、なぜあしなが育英会への支援に深くコミットするのか。そして、金融グループと遺児支援団体による共創が、これからの日本社会にどのような希望をもたらすのか。あしなが育英会会長の村田治(むらた おさむ;写真左)氏と、MUFG取締役執行役会長の亀澤宏規(かめざわ ひろのり;写真右)氏に、出会いの原点から未来への想いまでを熱く語り合ってもらった。

    奨学金団体を超えた「教育団体」としての歩みと現代の課題

    あしなが育英会様が長年掲げてこられた理念と、現在の活動内容についてお教えください。

    あしなが育英会 村田会長: 私たちの運動は、創始者である玉井義臣(たまい よしおみ)が約60年前に始めた交通遺児の支援からスタートしました。その後、病気や災害、自死で親を亡くした子どもたち、さらには親に障害がある家庭の子どもたちへと対象を広げ、高校や大学の奨学金事業を継続してきました。阪神・淡路大震災や東日本大震災の際には、全国・世界からのご支援を背景に心のケア施設「レインボーハウス」の建設や、エイズ遺児の支援をきっかけとしたサブサハラ・アフリカ地域40カ国以上からの留学生支援など、グローバルな活動へと発展しています。

     私たちが常に大切にしているのは、あしなが育英会は単に奨学金を出す団体ではなく、「教育団体」である という点です。近年、政府による大学授業料の無償化制度などが拡充されてきましたが、一方で理系分野の学費や教材費の負担、あるいは部活動等の費用までは支給されない高校無償化制度の限界など、遺児等には依然として高い経済的ハードルが存在します。

     さらに深刻なのが、小中学生段階からの「意欲格差」や学力低下の問題です。そのため現在は、奨学生の弟や妹を対象とした学習支援プログラム(LSP)や、全国各地で高校生・大学生が集まる「つどい」を開催しています。「つどい」では、同じ困難を乗り越えて大学へ進学した先輩学生や職員がロールモデルとなり、「必ず夢は叶う」という「希望」を伝えています。貧困の連鎖を断ち切るためには、大学進学にとどまらず、正規雇用者としての経済的自立まで責任を持って伴走すること が不可欠だと考えています。

    コロナ禍での対話とパーパスの策定。「世界が進むチカラになる。」への共感

    MUFG様があしなが育英会様への支援を決定された当時の背景や、きっかけについてお聞かせください。

    MUFG 亀澤会長: 2020年のことです。当時、世界はコロナ禍の真っ只中にあり、社会全体が未曾有の危機に直面していました。「MUFGの存在意義とは何か。すなわち、私たちはどのような存在であり、社会に対して何をすべきなのか」と改めて考えを深めていました。

     当然ながら、私たちは総合金融グループとして、本業を通じて社会課題の解決に取り組んでいかなければなりません。一方で、本業だけではどうしても支援の手が届きにくい領域があります。そうした課題にも向き合い、社会に貢献していくべきではないかという考えから、利益の一部を社会に還元する枠組みを新たに構築しました。その検討の中で、あしなが育英会様の活動と理念を知り、担当チームをはじめ私自身も強く感銘を受け、支援を決定いたしました。

     その後、私たちは、2021年に 『世界が進むチカラになる。』 というパーパスを策定・公表しました。

     この「世界」という言葉には、お客様や社員だけでなく、未来を担う子どもたちや地域社会が含まれています。経済的な格差や予期せぬ困難によって夢を諦めそうになっている若者たちが、自らの足で一歩を踏み出す「進むチカラ」を支えること。あしなが育英会様の取り組みは、まさに私たちの存在意義そのものと深く共鳴しています。だからこそ、一過性の寄付で終わらせるのではなく、基金という形を通じて継続的に伴走していく姿勢を確立いたしました。

    あしなが育英会 村田会長: 当初、MUFG様から大きなご支援のお申し出をいただいた際は、本当に心から感謝いたしました。その後、支援の具体的な形について1年ほどかけてじっくり議論をさせていただきました。単に資金を頂戴するだけでなく、 「継続的かつ社会に真のインパクトを与える支援とは何か」 を共に考えてくださる姿勢に、厚い誠実さを感じたことを覚えています。

    経済的困難を乗り越え、理系イノベーション人材の育成へ

    理系分野を中心とした高度人材の育成支援について、現場ではどのような変化が生まれていますか。

    あしなが育英会 村田会長: 非常に大きな手応えを感じています。日本の高等教育において、特に私立大学の理系学部は文系に比べて学費が1.5倍から2倍近くかかり、実験や実習の多さからアルバイトで学費を補うことも困難です。そのため、国公立の理系を目指しながらも、受験で叶わなかった場合に経済的理由から私立の文系へ転向せざるを得ず、本来の夢を諦めてしまう遺児たちが多く存在していました。

     日本の将来を見据えた時、2040年には深刻な理系人材不足が生じると試算されており、文理融合の重要性が叫ばれる中でも、理系基礎を備えた人材の育成は急務です。亀澤会長ご自身が理系出身(数学・整数論ご専門)という深いご理解もあり、理系分野を目指す遺児への給付型奨学金や進学準備金の制度を構築していただきました。

     このご支援のおかげで、 「経済的な理由で理系の夢を諦めなくていい」という希望 が生まれました。全国の「つどい」の場でも、理系で学ぶ先輩学生が高校生たちに自分の研究内容を生き生きと語り、それを聞く後輩たちが新たなロールモデルとして刺激を受けるという素晴らしい好循環が生まれています。

    MUFG 亀澤会長: 私自身も理系学生として学んできた背景がありますので、理系分野での学びや研究がいかに膨大な時間と費用を要するか、実感として理解できます。実際に奨学生の皆さんとお会いし、緊張しながらもご自身の研究内容や将来の夢を一生懸命に発表される姿を拝見した際は、胸が熱くなりました。彼らが経済的な制約によって可能性を閉ざされることなく、情熱を持って研究に打ち込める環境を整えることは、日本全体の未来の技術力やイノベーション力を高める上でも極めて重要な投資であると考えています。

    資産やノウハウを超えた「体験格差の解消」と共創の未来

    金融と遺児支援の掛け合わせにより、今後どのような共創の可能性が広がるとお考えでしょうか。

    MUFG 亀澤会長: 資金的なサポートはもちろんのこと、今後は 子どもたちの「体験格差」を埋める取り組み をさらに拡大していきたいと考えています。経済的に厳しい環境にあるご家庭では、学習資金の確保が優先され、スポーツ観戦や芸術鑑賞、旅行といった体験の機会がどうしても限られてしまいがちです。

     私たちは、国立競技場のネーミングライツ(MUFGスタジアム)の活用や、スポンサーを務めるラグビーの大会などを通じて、子どもたちを大規模なスポーツイベントや文化体験へご招待する取り組みを行っています。また、私たちが持つ金融経済教育の知見を活用し、将来子どもたちが社会に出た際に詐欺などのトラブルに巻き込まれないための「金融リテラシー」を提供する活動も推進していきたいと考えています。単なる資金提供にとどまらず、心動かされる体験や生きた知識を提供することを通じて、多様な学びの機会を提供していきたいと考えています。

    あしなが育英会 村田会長: 亀澤会長がおっしゃる「体験格差」の解消は、まさに現代の子ども支援における最重要課題の一つです。幼少期に本物のスポーツや文化、自然に触れて感動する体験は、好奇心を刺激し、「自分もやってみたい」という意欲や自己肯定感の原動力になります。

     また、MUFG様の支援の背景には、経営陣の意思だけでなく、社員の皆様一人ひとりが個人としても寄付や社会貢献活動に積極的に参加されていると聞き、深く感動いたしました。まさに 「会社という組織を通じて、個人と社会が温かく繋がっている」 という理想的な姿です。貧富の格差拡大が懸念される現代において、高いパーパスを掲げる企業と現場力を持つ支援団体ががっちりと組み、体験や教育の機会を創出していくことこそ、持続可能な社会を創る鍵になると確信しています。

    不確実な時代を生きる次世代と社会へ向けたメッセージ

    最後に、困難に立ち向かう全国の遺児たち、そして彼らを支える社会へ向けてメッセージをお願いいたします。

    あしなが育英会 村田会長: 困難な状況にある子どもたち、そして奨学生の皆さんには、自分が受けた教育や経験を糧にして経済的に自立し、 「自分の利益だけでなく、社会をより良い方向へ変えていく行動者」 に育っていってほしいと願っています。予期せぬ不幸や経済的な課題があったとしても、決して自分の可能性を諦めないでください。私たちあしなが育英会と、MUFG様をはじめとする温かい支援者たちが、皆さんの歩みをどこまでも応援し続けてまいります。

    MUFG 亀澤会長: 生成AIやデジタルの進化によって急速に社会が変わる時代だからこそ、若い皆さんには 「自分の頭で考え抜くこと」 、そして 「人とのリアルな出会いや繋がり、温かさを大切にすること」 を忘れないでほしいと思います。

     そして何より伝えたいのは、 「ほんの少しの勇気を持って、一歩を踏み出してほしい」 ということです。新しい場所へ出かけてみる、誰かに声をかけてみる、自分の夢を言葉にしてみる。その小さな一歩が、必ず新しい出会いや可能性のドアを開いてくれます。MUFGはこれからも、挑戦するすべての若者たちが前に進む力となり、共に未来を切り拓いてまいります。

    次世代の可能性を解き放つ、企業と志のパートナーシップ

     あしなが育英会が半世紀かけて耕してきた「遺児支援の現場力と人間教育」と、MUFGが掲げる「世界が進むチカラになる。」という普遍的なパーパス。両者の対話から浮かび上がってきたのは、単なるCSR(社会貢献活動)の枠を超えた、日本の未来に対する深い責任感と情熱であった。

     経済的な困難や体験の格差によって、若者の才能や希望が失われることがあってはならない。理系人材の育成からスポーツ・文化体験の創出に至るまで、両者が推進する多角的な伴走支援は、子どもたちの人生を大きく変える確かな「灯火」となっている。

     志を同じくする企業と支援団体が手を取り合い、次世代の一歩を力強く後押しする。この温かな共創の輪が広がる限り、どんな困難な時代であっても、若者たちは自らの可能性を信じて未来へ羽ばたいていくことができるはずだ。

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