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2026年

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    「日本のECを世界へ」――日本通販CRM協会が提唱する、技術を超えた“想いやり”のJapan CRM(以下「JCRM」)と業界改革の全貌

    「日本のECを世界へ」――日本通販CRM協会が提唱する、技術を超えた“想いやり”のJapan CRM(以下「JCRM」)と業界改革の全貌

     新型コロナウイルスの影響を経て、さらに競争が激化するEC業界。海外勢が強力な武器を携えて台頭する中、日本のEC業界は1企業単位での単発的なアプローチに留まり、グローバルな市場では苦戦を強いられている。

     こうした課題に対し、一般社団法人日本通販CRM協会(JCRM)の代表理事を務める向徹(むかい とおる)氏は、「日本の企業が世界で勝つための最強の武器は、私たちが古くから大切にしてきた『相手を想いやる心』にある」と語る。単なるシステム導入やマーケティングツールにとどまらない「経営的概念としてのCRM(Customer Relationship Management=顧客関係管理)」とは何か。そして同協会が推進する具体策について話を伺った。

    テクノロジー偏重へのアンチテーゼ。「おもてなし」をビジネスに昇華する「Japan CRM」

    協会の理念にある「Japan CRM(JCRM)」とは、従来のCRMと何が違うのでしょうか。

     ECというのはモノを世界に展開できる非常に優秀なビジネスモデルですが、残念ながら日本のEC業界は海外展開があまり上手ではなく、一言で言えば世界に負け続けている状況です。

     分かりやすく言うと、中国は大資本と国策を背景に大規模展開することを得意としています。また、韓国はK-POPなどのエンターテインメントと結びつけたり、ボトルや見た目のおしゃれさを高めたりすることで、若い女性がコスメを手に取る流れを見事に作っています。それに対して日本は、1企業単位で単発的に攻めているのが現状です。

     しかし、私たちがさまざまな国を視察してたどり着いた答えは、 「人が人を想いやる気持ちや関係性構築力において、世界で最も優れているのは日本である」 ということです。相手のことを先回りして考え、精度高く心地よい状態を作り続ける「おもてなし」の姿勢や文化は、日本人のDNAに刻まれています。このソフト面こそが、世界の人たちを魅了する最大の武器になります。

     世界基準のCRMというと「テクノロジーの進化でいかに最適なコミュニケーションをするか」という技術論が定説になっていますが、私たちはそれとは一線を画すため、頭に「Japan」のJを冠した「JCRM(日本的なCRM)」を提唱しています。※JCRMは、団体名と概念、の両方で使用しています。 日本らしい、人を想いやるCRMを通じて日本のECを世界に誇れる代表的な産業に押し上げ、「また日本の会社から買いたい」と思われるような商業的文化(ジャパンディメンション)へ発展させていくことこそが、日本経済の発展に繋がると確信しています。

    「コップに水を注ぐように関係を築く」――経営層が取り組むべき本質的CRM

    多くのEC企業が抱える課題と、それに対するCRMの役割をどう捉えていらっしゃいますか。

     現在のEC業界全体が抱える共通課題は、 「顧客獲得単価(CPA)の高騰」 と 「長期的な顧客関係の構築難」 です。

     多くの現場では、CRMを単なる「メール配信」や「コールセンターの運用」といった手法として捉えがちです。しかし、本質的なCRMとは 「経営層が号令をかけて取り組むべき経営概念」 であり、ひと言で言えば 「自分たちらしさの追求」 です。

     顧客との関係構築は、例えるなら「コップに少しずつ水を注いでいく作業」です。見返りを求めずに自分たちから価値を与え続け(ギブ)、水がフワッと溢れた瞬間に、顧客は自社を好きになり、密接な関係が熟します。

     短期的な売上だけを追うのではなく、この「ギブの姿勢」を長期的に維持できれば、 顧客の解約率が下がり、継続利用が増えるため、結果として売上は上がるしかなくなります。 この長期的視点を、経営戦略としていかに落とし込めるかが、企業としての成長を左右します。

    点での攻略から「オールジャパン」へ。業界を底上げする協会の具体的な取り組み

    1企業ごとの単発的な攻勢から脱却し、業界全体で成長するために協会ではどのような活動を行っているのでしょうか。

     海外市場や国内の厳しい競争で勝ち抜くには、1社単独ではなく「オールジャパン」で取り組む仕組みが必要です。そのため、当協会では約240社の加盟企業とともにさまざまな実践的取り組みを展開しています。

     1つ目は、「ギブ・アンド・ギブ」の精神に基づくコミュニティづくり です。企業間の前に、「個人対個人」の繋がりを重視し、自社のノウハウを先に提供し合う関係性を構築しています。自分が持っている1の情報を提示すれば、100社が集まる場で99の有益な情報を持ち帰れるような、クローズドで密な連携が生まれています。

     2つ目は、新人から経営者層までに向けたレイヤー別の教育活動 です。特に業界の未来を担う新人研修は、通常の研修会社のような利益目的ではなく、手弁当の原価で開催しています。自社への貢献だけでなく「業界や社会全体に貢献する意識」を持った人材を育てることで、5年後・10年後の業界の底上げを狙っています。

     3つ目は、「日本通販CRM大賞」と「カスタマープロミス制度」による優良企業の可視化 です。真摯に顧客と向き合う企業を1,000名以上の投票で選出・表彰するアワードのほか、健全な姿勢を証明するマーク制度を運用し、正しい取り組みを行う企業に光が当たる仕組みを作っています。

     そして4つ目が、産官学連携による「国策化」への働きかけ です。同志社大学との共同研究を実施したり、国への働きかけも行っています。「日本のECを世界へ」という動きを民間だけのものにせず、産官学が連携した国策として推進できるよう、私たちが架け橋として動いているところです。

    ビジネスを通じた社会貢献、そして世界へ

    最後に、これからのEC業界を担う次世代のビジネスパーソンへメッセージをお願いします。

     これからの時代を生きるビジネスパーソンには、単にお金を稼ぐことだけでなく、「ビジネスを通じた社会貢献意識」を持ってほしいと考えています。

     人口減少などの課題に対し不満を抱くのではなく、自国の歴史や「想いやり」という強みを正しく理解し、それをどう世界へ発信して日本を発展させるかという視点が不可欠です。

     私たちが提唱する「人を想いやるCRM」がビジネスの世界に広まれば、相手にギブする姿勢が社会全体に伝播していきます。優れたEC企業を日本中に増やし、そのビジネスモデルを世界へ広げていくこと。それこそが、CRMを通じて経済を発展させ、最終的には社会貢献や世界平和の実現へと繋がっていくと信じています。

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