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2026

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    10年の修業を2年に変えたすし職人育成——世界へ羽ばたく「すしエンターテイナー」の創造

    10年の修業を2年に変えたすし職人育成——世界へ羽ばたく「すしエンターテイナー」の創造

     私が水産業界に入った半世紀ほど前、築地の老舗寿司店では「シャリ炊き3年、合わせ5年、握り一生」と言われ、すし職人が一人前としてカウンターに立つまでに10年の歳月がかかるのが常識でした。このように、伝統的なすし職人の世界では、一人前になるまでに「10年」の歳月がかかると言われてきました。下積みの数年間は皿洗いや出前、小使いばかりで、肝心の寿司を握る練習すらさせてもらえません。

     しかし、長い下積み時代が壁となり、志を持った若者が途中で挫折してしまったり、すし職人のなり手そのものが減ってしまったりという深刻な課題がありました。全国で最盛期に5万軒あった寿司屋が1万5千軒を下回るまでに激減してしまいました。このままでは、日本が世界に誇る「すし文化」の担い手がいなくなってしまう。強い危機感を抱いた私は、伝統的な寿司界の常識を打ち破るすし職人養成学校「喜代村塾」を開講し、自社で本物のすし職人を育てる画期的な仕組みを作り上げました。

     私は、10年かかるとされていた修業期間を凝縮し、「2年」でカウンターに立てる教育システムを構築しました。入塾後の3カ月間は、午前中に衛生学や栄養学、調理師免許取得のための座学と接客教育を行い、午後からは実技に充てます。実技では入塾2日目から実際に魚をさばき、マグロやイカを握らせるのです。早い段階で「握る喜び」を体験させることで自発的な学習意欲を引き出し、その後1年9カ月の店舗実践訓練を経て、修了試験と調理師免許に合格すれば「すしエンターテイナー4級」の資格を与えてカウンターへ立たせます。

     やる気とセンスがある人間であれば、早ければ1年~1年半でカウンターに立つ者もいます。大切なのは、年功序列や無意味な下積みを強いることではなく、本人の「やる気」を引き出し、努力が正当に評価される環境を用意することです。意欲さえあれば、短期間でも確かな技術を身につけ、お客様に喜んでいただける。これまでにこの仕組みのもとで育った500人以上のすし職人を輩出してきました。

     ただし、ここで誤解していただきたくないのは、「ただ短くすればいい」というわけではないということです。近年、他所で「3カ月や半年で寿司職人になれる」とうたう短期スクールなどが出てきましたが、私はこれにはっきりと警鐘を鳴らしています。3カ月という極端な短期間では、どうしても技術の「粗製乱造」になってしまい、質の低い職人が生み出されてしまいます。

     私たちが実践している「2年」という期間は、基礎から徹底的に学び、確かな実力を持った本物のすし職人を育成するための、決して妥協できない最低限の時間なのです。

     さらに、私たちが育てているのは単なる「すしを握る調理人」ではありません。かつてのすし職人といえば、寡黙で気難しく、お堅いイメージがありました。しかし、お客様は美味しいお寿司を食べるだけでなく、その空間や時間を「楽しむ」ために来店されています。

     そこで私たちは、すし職人を「すしエンターテイナー」と位置づけ、これまでの概念を覆す教育を取り入れました。たとえば、プロの落語家を講師として招き、お客様を楽しませるための会話術や、引きつける「間・リズム・テンポ」の取り方を学ばせる型破りな講座を取り入れました。さらに英語講座も設け、外国のお客様へも自ら笑顔で話しかける勇気を養わせています。美味しいお寿司と心地よい会話で心から喜んでいただくことこそが、私たちが目指す新しいすし職人の姿です。

     こうして育ったすし職人たちには、将来自分の店を持ったり、世界へ羽ばたいていったりしてほしいと願っています。実際、当社を経てアメリカやヨーロッパ、東南アジアなどの海外で活躍しているすし職人が数多くいます。

     当社でも海外で活躍するすし職人には、これまでの給料から3割増し、5割増しといった高い報酬を用意しています。今アメリカに渡っているすし職人たちは月給100万円を超え、年収1,000万円プレイヤーとして活躍していますし、現在、東南アジアでの出店を計画していますが、ここでも月給70万円ほどの待遇を得られるように引き上げていくつもりです。

     自分自身の働く価値が高まり、正当な対価を得られることは、すし職人たちの何よりのモチベーションとなります。自らの価値を高めながら、世界中のお客様に「日本のすし」で喜びと感動を届けていく。国境を越えて活躍する彼らのたくましい姿は、私にとって大きな誇りなのです。

    #木村清#すしざんまい#喜代村#創業者#マグロ大王#フロンティアスピリッツ

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