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2025

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    『自分は大丈夫』は危険!水辺で生き残るための泳ぎ方と安全対策

    『自分は大丈夫』は危険!水辺で生き残るための泳ぎ方と安全対策

    海や川辺で過ごす時間が増えるにつれ、水難事故のニュースが後を絶ちません。いざというとき、どんな泳ぎ方で自分の命を守れるのでしょうか。

    「水難事故に遭ったときは背浮きで救助を待つ」

    そう教わったことがある方も多いのではないでしょうか。
    しかし近年、救助のプロや専門家の間では、「背浮き」だけでは十分ではないという声が高まっています。
    たとえば、日本水難救済会と日本ライフセービング協会が2023年に横浜海上防災基地で行った実証実験では、泳ぎに自信のあるライフセーバーでさえ、波や風のある海で「背浮き」を維持することが困難であることがわかりました。
    波が顔にかかって呼吸がしづらくなり、結果的にパニックを引き起こすリスクが高まる。これは、あまり知られていなかった事実です。

    川や海の「見えない危険」――油断が命取りになる瞬間

    「自分は泳げるから大丈夫」「浅い場所だから安心」と思い込んでいませんか?
    実は、川や海は一見穏やかに見えても、急に深くなったり、流れが速くなったりすることが多々あります。実際、川では足が突然つかなくなり、そのまま流されてしまう事故が毎年起きています。
    人は1秒で溺れるとも言われており、とっさの状況では、精神的なパニックに陥り、何もできなくなってしまいます。
    この「油断」の先にこそ、重大な事故が潜んでいるのです。

    「イカ泳ぎ」とは?――救助を待つための泳法

    そこで今、専門家たちが推奨するのが「イカ泳ぎ」です。この泳ぎ方は、従来の「背浮き」の課題を克服し、誰でも比較的簡単に実践できるのが特徴です。

    参考動画はこちら

    イカ泳ぎの基本ポイント

    • 仰向けの状態でお腹を上にし、あごを引く
    • 両手両足をゆっくり大きく動かし、水をあおぐイメージ
    • 着衣や靴を履いたままでもOK。むしろ、脱がずに浮力や保温力を活かす
    • 顔を水面から出しやすく、呼吸がしやすい
    • 体力の消耗が少なく、長時間耐えやすい
       

    「イカ泳ぎ」は正式には「エレメンタリーバックストローク」と呼ばれ、水上で体を安定させ、呼吸を確保しやすいという点で、命を守る上で理にかなった方法です。
    また、声を出して助けを呼んだり、片手を振ってアピールできるのも大きなメリットです。

    緊急時に役立つ「身近な浮力体」活用術

    水難事故の現場では、浮き輪やライフジャケットがないこともしばしばです。しかし、身近なものでも「浮力体」として活用できることをご存じでしょうか。

    • ペットボトル(2Lサイズ以上がおすすめ)
      5cmほど水を入れて投げると、狙った場所に届きやすく、十分な浮力があります。
    • クーラーボックス
      空の状態でふたをしっかり閉じれば、しばらくの間しっかりと浮いてくれます。
    • ランドセル
      中に空のペットボトルなどを入れることで、簡易的な浮き輪代わりになります。
       

    ただし、これらはあくまで「緊急時の一時的な対処法」です。本当に大切なのは、ライフジャケットの着用です。最近は腰巻きタイプなどもあり、手軽に持ち運びできるものも増えています。

    事故を未然に防ぐ「準備」と「心構え」

    水難事故は「起きてから」対応するより、「起きる前」の備えこそが最も重要です。ここでは、事故を防ぐためのチェックリストを紹介します。

    海や川へ行く前の備え

    • 浮き身や息継ぎの練習をしておく
    • その場所の危険性(流れ、深み、波、天候)を事前に調べる
    • 天気予報をしっかり確認。特に急な天候変化に注意
    • 十分な睡眠をとり、体調を万全に
    • ライフジャケットや浮き具、防水携帯、笛などの装備品を点検
    • 1人で遊泳しない。必ず誰かと一緒に行動する
    • 防水バッグにスマホを入れて携帯しておく

    現地での注意点

    • 天候や波の変化をこまめにチェック
    • 準備体操を行い、身体を慣らす
    • 流された遊具を追いかけない
    • 風が強まったり、雷が鳴ったらすぐに水から上がる
    • 危険個所や救護所の場所を事前に把握しておく

    万が一のとき、あなたが助ける側になったら

    もし、目の前で誰かが溺れていたら――
    パニックにならず、以下の3つを冷静に分担してください。

    1. 通報する(118番など)
    2. 溺れている人から目を離さず位置を確認し続ける
    3. ペットボトルやクーラーボックス、ランドセルなど、浮き輪の代わりになるものを探して投げる
       

    決して自分が無理に助けに飛び込まないこと。救助者が二次被害に遭う事故も後を絶ちません。

    最後に――「知識」があなたと大切な人の命を守る

    水辺の事故は、誰にでも起こり得るものです。しかし、「イカ泳ぎ」をはじめとした正しい知識と備えがあれば、助かる命は格段に増えます。

    • 背浮きだけに頼らず、「イカ泳ぎ」を習得する
    • ライフジャケットや浮力体の重要性を理解し持参する
       

    あなたやご家族、友人の安全な夏の思い出のために、「備えること」「知ること」が何よりも大切です。

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