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2025

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    社会を「丹(あか)と青」の豊かな色で鮮やかに彩る空間づくりのプロフェッショナル

    社会を「丹(あか)と青」の豊かな色で鮮やかに彩る空間づくりのプロフェッショナル

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    ディスプレイ業界をリードする丹青社は、店舗などの商業空間、博物館などの⽂化空間、展⽰会などのイベント空間等、⼈が⾏き交うさまざまな社会交流空間づくりを担うプロフェッショナルである。その業務は、調査・企画から、デザイン・設計、制作・施⼯、デジタル技術を活かした空間演出や運営まで多岐にわたり、空間づくりのプロセス全般をサポートしている。2024年2月にはグループ理念として「パーパス/私たちの存在意義」と「バリュー/私たちの価値観」を策定。また、創業100年を迎える2046年に向けて「私たちの未来ビジョン2046」を発表した。万博をはじめ同社の幅広い事業領域を経験し、2023年4月に代表取締役社長に就任した小林統氏に、100周年に向けた想いや取り組みについて伺った。

    ディスプレイ業界の存在意義を見つめて

    1984年に入社されてから幅広い分野で経験を重ねられて2023年に社長に就任されています。その間、どのような経験を積まれてきたのかお聞かせください。

    丹青社は、いわゆる空間づくりをしております。皆さんの身近なところでいうと、百貨店やショッピングモール、その中に入る各専門店、飲食店、アパレル、雑貨、飲食であれば和洋中のレストラン、ラグジュアリー系の高級なものから一般的なものまで。そういった商業領域の空間づくりのお手伝いをしております。

    また、そうした商業領域に相対するようなものとしてはミュージアムがあります。全国の地方自治体が有しているような博物館、郷土資料館、自然史博物館等の博物館や美術館を総称してミュージアムという括りで展示の方をお手伝いしている文化空間領域も手掛けております。さらに、今まさに開催されている大阪・関西万博に代表されるプロモーション領域と呼ぶイベント系の領域をはじめ、最近市場的に膨らんできているホテルの領域や、医療やオフィス領域など多岐にわたって空間づくりに携わっています。

    私の入社当時を振り返りますと、当時はそこまで細分化されておらず、最初に担当したのは商業領域のテーマパークの分野でした。その一方で、全国展開している物販店を担当させてもらったり、首都圏にも出先を作ってみようということで責任者として新設した営業所を任されたり。で、今度は本社に戻ってきて、営業全体のことを見ながら様々な営業戦略や戦術を作るようなセクションにも身を置いたこともあります。

    そして、その後に移ったのが、今まさに博覧会をやっているような、プロモーション領域の仕事に付き、その延長線上で企業のミュージアムや企業博物館なども手掛けてきました――ということで、今お話ししたほぼ全領域を担当させていただいたので、会社には感謝しています。また会社に貢献していくための、そのための素地が作れたのかな、とも感じています。

    貴社の社員は皆さんそのような幅広い経験をされるのでしょうか。

    いや、どちらかというと、私のような例は稀少でしょう。私の入社当時は特にそうでした。ただ昨今では一つの事業領域でもさまざまな要素が含まれることが多くなっています。そうした時に幅広い経験が生きてくることもありますし、チームを組んでプロジェクトを担当しますので、他の職種がどのような動きをするのかを把握するのも大切な要素です。ですので、ジョブ・ローテーションを通して皆さんにいろいろな経験をしてもらうことも積極的に行っています。事業部門の社員にスタッフ職に異動してもらい、事業部の仕事をスタッフ職がいかに支えているのかを実感してもらったり、その逆もあります。 けれども、私の入社当時は配置転換などに積極的ではありませんでした。ですから私がいろいろな経験を積めたのは幸運だと思いますし、これらの経験によって、経営側に立って会社を動かすための基礎が作れた気がしています。

    ご自分で社長になりたい、トップとして会社を動かす立場に就きたいと思われたのでしょうか。

    自分自身でこういうことをやりたい、これを担当したい、こういうポジションに就きたいとあえて言った記憶はないです。おそらくその時その時の仕事が評価されて社長への就任ということなのか……、特に理由は聞いていません。

    ただ自分自身で振り返ってみると、30代のとき千葉営業所を作れといわれて、担当に就いた頃の経験が大きかったと感じています。当時の千葉は開発が進んでいて、駅周辺では複数の百貨店でリニューアルがあるなど大きな動きがあった地域でした。

    そうしたリニューアルは本社側で既に関わっており、より地域に密着した営業活動として地元企業を中心にアポイントを取って新規開拓に意欲を燃やしていましたね。千葉営業所の2年目には成田空港の第二ターミナルの供用開始に伴う商業ゾーンの計画に参画することができました。これが大型受注となり業績をあげることができました。当時の千葉には大手ゼネコンがたくさん入っていて、各支店長ともお話しする機会がありました。

    先方は支店長でも取締役級、ところが私は支店長に就いたばかりの30そこそこの若造。当然気後れするわけですが、そこで出会った支店長の方々に、「看板背負って、支店長の名刺を持ってるんだから自信を持った方がいい」と言っていただいたことが、とても印象に残っています。年齢は関係ないと。そういった人たちの言葉に支えられた記憶があります。

    そうした目の前の仕事に自信を持ち、全力で取り組み続けた結果や、社外の方々と接する姿勢を見ていただき経営を任されたのではないかなと感じます。

    この当時のプロジェクトを通して出会った他の企業の方々の中には、すでにリタイアされた方も多いですが、長くお付き合いさせてもらっている方もいらっしゃいます。とても貴重なご縁ですし、これまでの私の人生の中でも大きな経験だと感じています。

    貴社は、昨年2月にグループ理念として「パーパス/私たちの存在意義」と「バリュー/私たちの価値観」を策定、また創業100年を迎える2046年に向けて「私たちの未来ビジョン2046」を発表されました。その意義をはじめ、そこへ向けて現在取り組まれていることや心がけておられることを教えてください。

    創業100年を迎える2046年に当社はどうあるべきかを示したものが「私たちの未来ビジョン2046」です。2022年から社内のメンバーだけで検討を始めてやり遂げました。

    よく会社のパーパスやバリュー、ビジョンの策定といったものは、ブランディングのことも関わってくるため外部のコンサルティングにお願いするケースが多いのですが、当社にはお客さまのブランディングにも関わるようなご提案もしているセクションがありますので、社内のみんなで作ってみようと取り組み始めました。1年ほどかけて大枠をまとめ、最終調整に半年くらいかけましたが、その半年間の密度は相当なもので、取締役自ら積極的に議論をするなど、産みの苦しみをみんなで共有しながら作り上げていきました。

    そうしてできたものが **「空間から未来を描き、人と社会に丹青(いろどり)を。」というパーパスです。**我々がつくり上げた空間を通じて新たな体験や価値を提供し、人と社会が豊かになり「いろどり」あふれる社会になってもらいたいという想いをここに込めました。 記事内画像社名の「丹青」は、赤(丹)・青の基本的な2色から“豊かな色彩”を示し、転じて絵画や画家、絵を描くことを広く指した中国に由来する語です。この社名の由来と私たちが目指す「いろどり」を重ね、「丹青」に「いろどり」とふりがなをふっています。

    100周年まではまだ20年以上あるので、まずはグループ理念やビジョンを社員にしっかり浸透させることに重点を置いています。また、現在の中期3カ年計画の最終年にあたる来年の80周年のタイミングで、さらに高みを目指しながら社会貢献を含めて事業を展開しております。80周年は、その過程の第一フェーズの中期3カ年計画が終わる年だと認識を持っています。また、切りが良く、何か皆さんの意識、特に従業員の意識を変えてもらう良いきっかけの年としたいと思います。

    大阪・関西万博に行けば、みなさんの未来を体験できる

    2025年4月から大阪・関西万博が開催され、貴社としても様々な取り組みをされていると思いますが、その取り組みを通して伝えていきたいことは、どのようなものでしょうか。

    55年前の大阪万博は、業界が最先端の技術を取り入れ、展示演出を手掛けることで大きく飛躍できたイベントと言えます。

    当社は当時50を超える各パビリオンに携わりお手伝いさせていただきましたが、他社さんを含め当時のディスプレイ会社がこぞってパビリオン内の展示をお手伝いすることで業界全体の認知を高めるきっかけとなりました。そして、その後の沖縄海洋博、つくば科学博、愛知万博と続いたわけですが、今回、再び大阪で博覧会が開催されることは、業界としても当社としても非常に意義深く感じています。当社も多くのパビリオンや店舗づくりのお手伝いをさせていただいておりますし、閉幕まで事故無く終了できるように尽力していくつもりです。

    2005年の愛知万博の時はまだSNSも発達しておらず、4月、5月は来場者数の伸びはゆるやかでしたが、6月以降あたりから口コミでどんどん増え、夏場には人気のパビリオンは入場まで何時間も待つような感じでした。今回もこれから来場者は増えていくといいですね。

    博覧会というのは、新しい未来を想像させるような展示がふんだんにあります。デジタル主体の今回も、こんな表現もできるのかといった、これまで見たことのないような演出がありますので、皆さんも実際に見たり体験されたりすることを強くお勧めします。

    1970年の大阪万博で展示された携帯電話や動く歩道など、その後世の中にどんどん導入されていきました。また、ファストフード業態が一気に根付いたのも万博効果だったと思います。まさに未来がそこにありました。今回の万博会場にあるようなものが、街で当たり前に見られるような、そんな時代になることが楽しみでもあり期待していますし、当社も積極的に提案して未来社会の創造に貢献していきたいと思います。

    「最後までやり抜くんだ」という強い意志を持つ

    社長に就任されてから2年経ちますが、改めて社長として大切にしておられることをお聞かせください。

    まず、私自身は「意志あるところに道あり」ということを常に念頭に置いて仕事をしています。何事にも強い意志を持って臨んでいかないと何の成果にも結び付かないと思っているからです。

    当社では、お客様の事業を成功に導くお手伝いをしておりますが、「最後までやり抜くんだ」という強い意志がなければプロジェクトを完遂させることはできません。どんな仕事でも、強い意志がないと乗り越えられない局面が多々あります。そこで社員の皆さんにも根底に同じような想いを持っていただきたいと思っています。

    もう一つ大切にしているのは人のつながり、コミュニケーションです。当社ではプロジェクト形式で仕事を進めています。そこではお客様とリレーションを結ぶ営業がいて、プランナーが企画したものを設計がデザインをし、その図面に基づいて制作チームが現場を仕上げていきます。

    ここでのコミュニケーションも非常に重要で、強い意志を持って臨んでいる人たちが、最終ゴールを見据えながら役割をシェアし、しっかりコミュニケーションを取っていくことで失敗することはないと信じています。

    そして、常に挑戦する気持ちを持ち続けることも重要です。領域も内装・展示をコア事業として、コンサルティング業務や施設運営など関連する業務もありますし、展示手法もデジタルソリューションを積極的に取り入れるなど常にアップデートしています。

    また、地域社会の活性化のために行政が民間の力を活用して取り組むPFIやPPPなどにも積極的に取り組んでいます。従来からの事業だけにとらわれず、新規事業なども含め周辺にある領域にも積極的に挑戦していく姿勢を大事にしたいと考えています。

    社員みんなが丹青社のファンである会社に

    事業領域が広がるなか、そこで期待する人材や、その確保について思うところをお聞かせください。

    採用活動では当社のことをまずは知っていただき ファンになっていただくということが大事 だと思っています。それは「今プライム市場に上場しています」であるとか、「業界トップクラスです」というのではなく、丹青社の空間づくりへの想いに共感してもらうことだと思っています。

    当社ではこの春から業界で初めてのテレビCMを始めました。業界初ということで丹青社のみならず、業界のことを知っていただくいい機会だと考えています。社員の皆さんにもご家族や知人などにCMを通して会社を紹介してもらったり、改めて仕事に誇りを持ってもらうきっかけになってもらいたいですね。

    採用にあたっては、他業界と同様人材の確保は大きな課題ではありますが、人の数を増やすということだけではなく、業界や会社の社風を理解してもらったうえで仲間になってもらいたいと思っています。

    当社のサービスは「人」が最大の魅力だと考えています。社員がいきいきと仕事に向き合い、その姿勢や空間を通してお客様もファンになっていただく。そうすることで当社をパートナーに迎えていただき空間づくりを通して社会を豊かな色で鮮やかに彩るお手伝いをしていく。そうした強い意志を持って、2046年の先も社会に影響を与え続けるような企業に成長していきたいと思います。

    #丹青社#空間デザイン#ディスプレイ業界#パーパス#バリュー

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