
集団で頑張る難しさーー 「リンゲルマン効果」の対...
8/11(月)
2025年
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ビジョナリー編集部 2025/08/08
「気づいたら周囲と同じ判断をしていた」「なぜか人気の店に並んでしまう」——そのような経験はありませんか?
ビジネスの現場でも、会議で多数派に流されたり、他社がやっているから自社も同じ戦略を選んだりと、「周りに流される」ことは少なくありません。
この現象の背景にあるのが、「ハーディング効果」と言います。
今回は、ビジネスマンが知っておくべきハーディング効果の具体例と、その効果に惑わされず最適な選択をするためのヒントをお届けします。
ハーディング効果とは、「多くの人と同じ行動をとることで安心感を得ようとする心理現象」を指します。「herd(群れ)」が語源で、動物が群れで行動するように、人間も周囲と同じ選択をすることで無意識に不安を和らげているのです。
自分の考えや判断があっても、「みんながやっているから」「周りと違うのは不安」と感じ、集団の流れに従ってしまう。この心理は、私たちの生活のあらゆる場面で見られます。
実は、ハーディング効果は「他人」の行動からだけでなく、「自分の過去の選択」からも発生します。これを「セルフハーディング効果」と呼びます。
というように、「過去の自分の判断」が選択の基準となり、結果として同じ行動を繰り返すのです。
ハーディング効果は安心感をもたらしますが、必ずしも最適な選択につながるわけではありません。集団の流れに身を任せることで、
などの弊害が生まれるのです。
特にビジネスの場では、「他社もやっているから」「慣例だから」といった理由で意思決定すると、本来とるべき独自戦略や新たな市場の開拓を逃してしまう危険性があります。
心理学者ソロモン・アッシュによる「アッシュの同調実験」では、グループの中で明らかに間違っている多数派の答えに、被験者の約75%が同調するという結果が出ています。
合理的に考えれば明らかに違うと分かっていても、「自分だけ違う意見を言うのは不安」「集団から浮きたくない」という心理が働き、間違った選択をしてしまうのです。
まず何よりも大切なのは、「自分がなぜその選択をしようとしているのか」を一度立ち止まって考えることです。
この問いかけだけでも、流されるリスクを大きく減らすことができます。
ビジネスマンは、「前例主義」や「業界慣習」にとらわれがちです。しかし、そのやり方が本当に正しいのか、「他業界の手法」や「最新の情報」と比較してみることも必要です。
多くの企業がしのぎを削るレッドオーシャン市場では、競争が激しくなりがちです。そこで、「他社と争わない新しい市場=ブルーオーシャン」を見つけることが、差別化と大きな成長につながります。
こうしたチャレンジは、「周りと同じ」から一歩抜け出す強力な武器となります。
過去の成功体験や習慣に頼りすぎると、より良い選択肢を見落とす危険があります。
そんな時は、「今の自分にとって本当にベストか?」と自分自身をアップデートする意識が重要です。
ハーディング効果は、ネガティブに語られがちですが、マーケティングや商品開発では活用できる武器にもなります。
ただし、ハーディング効果に頼りすぎず、「お客様が本当に求めている最新の情報や価値」を提示し続けることが、ファンを飽きさせず、長く支持される秘訣です。
人は、知らず知らずのうちに「周りと同じ」行動を選びがちです。
ハーディング効果の存在を知り、自分の意思と向き合い、「なぜこの選択をするのか?」を意識できる人こそ、変化の激しい時代において抜きん出ることができます。
これらを意識して、ぜひ今日からご自身の意思決定を見直してみてください。
ハーディング効果を上手にコントロールできれば、ビジネスでも人生でも「自分だけの道」を切り拓けるはずです。